未来への周遊券 の商品レビュー
この本もレビューで知りました。 科学をめぐる往復書簡。タイトルそのものの内容。 暑い日に冷房の効いた部屋の中で、ビートルズを聞きつつ、ビールを飲みながら読むのにピッタリの本。 今見ている星が、とてつもなく昔の光であることを父に言うと、 「なるほど、見る場合はそうかもしれないな...
この本もレビューで知りました。 科学をめぐる往復書簡。タイトルそのものの内容。 暑い日に冷房の効いた部屋の中で、ビートルズを聞きつつ、ビールを飲みながら読むのにピッタリの本。 今見ている星が、とてつもなく昔の光であることを父に言うと、 「なるほど、見る場合はそうかもしれないな。しかし、考える場合はどうだ。今地球のことを考えている。次に遠い星のことを考える。これはなんら時間を要しない。人間の思考は光より速いということになるぞ」と父から返される星新一の話とか。 「明日さえわからないのに未来など考えられないとうそぶくのではなく、明日生きることをまず考える」との最相さんの文章とか。 未来に少し勇気が持てる。 久しぶりに星新一のショートショートが読みたくなった。
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ノンフィクション作家の最相葉月さんと博士号を持つサイエンス系作家の瀬名秀明さんが往復書簡形式でエッセイを綴る。 私にはちょっと難しいところもあったけれど、とても良かったです。 未来、というものに希望と光が注がれていく。 そんなイメージ。 過去・現代・未来の科学者達の熱い情熱を知るにつけ、世の中にはこんなに世界のことを考えてくれている人がいるんだ、と感動しきり。 それを書かれる最相さん、瀬名さんの文章もなんだかとてもロマンティックで読了後は少し浮遊感を感じました。(特に瀬名さんのラストエッセイ!) 俳優マイケル・J・フォックスがパーキンソン病を発症してから唱えているというお祈りの言葉「神様、自分には変えられられないことを受け入れる平静さと、自分に変えることは変える勇気と、そしてその違いがわかるだけの知恵をお与えください」という言葉には胸打たれました。
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未来に向けての往復書簡。それぞれが出すテーマを重ね合わせる二人のシンクロした文章が心地よい。その時々の情勢や、個々の状況が反映される。2009年頃の話で、2011年以降だと、どのような展開になっただろうと思いつつ読み流す。自らの思考や感情が、2011で変わっている事を改めて実感す...
未来に向けての往復書簡。それぞれが出すテーマを重ね合わせる二人のシンクロした文章が心地よい。その時々の情勢や、個々の状況が反映される。2009年頃の話で、2011年以降だと、どのような展開になっただろうと思いつつ読み流す。自らの思考や感情が、2011で変わっている事を改めて実感する。
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書簡集という体裁の本で、ゆったりとした対談的なもの、《科学》というモノをキーワードにして、《未来》をテーマに書き連ねられている。 未来について悲観的な部分について目を背けることなく、楽観的な展開を見せる。根拠のない楽観性ではなく、信念的なものもあり前向きではあるが、その反面発行は2010年であり、未曾有の震災が起きる前とあって、現在の感覚で読むと多少の違和感は生じる。 とはいえ、良い本であり、他の良書への窓口となる本でもある。
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作家 最相葉月氏。初めて読んだ氏の「絶対音感」で、その高い取材能力とテーマに真摯に取り組む姿勢に感銘を受けました。そして、何より、その無駄がなく、真実に率直に迫る文体、それでいて温かみのある文章に強く惹かれ、ファンになりました。 本書は、その最相葉月氏が自ら指名した小説家 瀬名秀...
作家 最相葉月氏。初めて読んだ氏の「絶対音感」で、その高い取材能力とテーマに真摯に取り組む姿勢に感銘を受けました。そして、何より、その無駄がなく、真実に率直に迫る文体、それでいて温かみのある文章に強く惹かれ、ファンになりました。 本書は、その最相葉月氏が自ら指名した小説家 瀬名秀明氏との「往復書簡」をおさめた作品です。 お互いが直接対談するのではなく、あくまで「往復書簡」の形で進められる「未来」への思考。読み進むうちに、両氏が書簡を通して繰り広げつくり上げる「マインドマップ」に触れ、私自らがその「マインドマップ」を書き足す・・・そんな錯覚に陥りました。 「未来への周遊券」、その名の通り、本書は決して未来への答えを読者に与えてくれる訳ではありません。それどころか、それよりも貴重な財産、「未来を思考するとはどういうことか」を我々読者に思考させる、そんな一冊です。 「「運命への平静さと勇気と知恵」を持ちたいと願うとき、少なくとも、他社の息づかいを感じとる無線機だけは手放さずにいたい」(本書P173 最相葉月) 生涯の書の一冊として、手元に・体内に入れさせて頂ければ幸いです。
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先月,仙台文学館で行われていた「瀬名秀明資料特集展 科学と文学の境界を超えて」でふと目にしたこの本。 いろんなことを優しい言葉で書かれた素敵な書簡だった。
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混迷の時代だからこそ、すべての人に手に取ってほしい本。 科学を軸とした往復書簡ではあるが、1通1通が美しく、小さいけれど確かな光を放っている。 その光とは、私たちが未来を結ぶ手がかりとして、これからの科学と、そしてこれからの私たちとをつなぐ光であり、2人の立ち姿がとても清々しく凛...
混迷の時代だからこそ、すべての人に手に取ってほしい本。 科学を軸とした往復書簡ではあるが、1通1通が美しく、小さいけれど確かな光を放っている。 その光とは、私たちが未来を結ぶ手がかりとして、これからの科学と、そしてこれからの私たちとをつなぐ光であり、2人の立ち姿がとても清々しく凛々しい。 科学への尊敬と世界の調和のために私たちに必要な勇気を与えてくれる。何度も読み返したい。
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短い通勤時間に少しずつ、じっくりと周遊を楽しんだ。 小学生の時に初めて買った小説が『ぼっこちゃん』だっただけに星新一のエピソードには深く共感。 宇宙、いのち、パラリンピック・・・往復書簡というかたちは未来へのまさに開けていくかんじを強烈に届けてくれた。
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すごい本に巡り合えた。 図書館で借りた本だが、買って娘の本棚にそっと忍ばせておこう。 未来を語る旅を続ける2人の思いは、日本各地にとどまらず、南極にも宇宙にも、自由自在に飛び回る。もちろん、時空を超えて古代から未来にも。そして、恐竜からウイルスまで。 1か月ほど前から読み始め...
すごい本に巡り合えた。 図書館で借りた本だが、買って娘の本棚にそっと忍ばせておこう。 未来を語る旅を続ける2人の思いは、日本各地にとどまらず、南極にも宇宙にも、自由自在に飛び回る。もちろん、時空を超えて古代から未来にも。そして、恐竜からウイルスまで。 1か月ほど前から読み始め、敢えて一時休止していた。そして、いま、読み終えた。少し気分が落ちているときに、終着駅に着きたかったからである。それは未来を期待したからだ。科学は万能ではないかもしれない。手に余る科学もある。自然は厳しい。でも未来のために科学はある。 巻末にはブックガイドもある。 文系科学オタクにはたまらない。 ミシマ社っていい本作っているなぁ。
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