鷺と雪 大活字版(2) の商品レビュー

北村薫(著者)

2023/08/10

華族の栄子と運転手のベッキーさんが小さな謎やトラブルを解決していくベッキーさんシリーズ。

直木賞受賞ということを覚えていたので読んでみたのですが、ベッキーさんシリーズはこの本の前に2冊出ているので、そちらを先に読むべきでした。シリーズものの最終巻を最初に読んでしまうあるある。

北村さんの本を読むのはずいぶん久しぶりで、華族の話ということもあって入り込むのにちょっと時間がかかりましたがとても楽しく読めました。コノハズクの鳴き声が夏の東京で聞けたり、梅若万三郎が面をつけて鷺を舞ったりしたのは事実らしく、そうしたエピソードのあしらい方が上手だなあ、と思いました。
ベッキーさんは、こういう謎解きものでは割とステレオタイプな謎の女探偵役ですが、最後に戦争を好まない主義だと言及されているので、そういうメンタリティを知るためにも、また、登場する軍人さんなどの絡みを理解するためにも前巻から読んでおけばよかったと思いました。キャラ的には櫻子さんがかぶるので、「櫻子さんの足下には死体が埋まっているシリーズ」といっしょにどうぞ。