フッサールにおける“原自我"の問題 の商品レビュー
フッサールが、晩年の『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』やその他の草稿などで言及している「原自我」(Ur-Ich)の概念について考察をおこなっている研究書です。 後期にいたって間主観性という問題に踏み込んでいくことになったフッサールが、晩年に「原自我」という概念を基軸にみず...
フッサールが、晩年の『ヨーロッパ諸学の危機と超越論的現象学』やその他の草稿などで言及している「原自我」(Ur-Ich)の概念について考察をおこなっている研究書です。 後期にいたって間主観性という問題に踏み込んでいくことになったフッサールが、晩年に「原自我」という概念を基軸にみずからの思想をあらためて語りなおそうとしていたことは、けっきょくのところ彼は独我論的な発想を克服することができなかったということを意味しているのではないかという解釈があります。これに対して著者は、フッサールが早くから「視る」の明証性を求めて思索を展開してきたことに注目し、そのなかであらゆる現象があたえられるための「媒介」の役割を果たしている、「自明性」の次元がクローズ・アップされてきたことを示そうとしています。 そのうえで、このような「自明性」の次元が、フッサールの時間論においては「立ちとどまる現在」へ向けての思索として展開されていることを示し、同様のロジックが他者性の顕現を可能にしている「媒介」としての「原自我」においても成り立つと論じられます。 さらにこうした「自明性」への探求は、あらゆる確証がわれわれにあたえられるための根源的な地盤であるとともに、そのような根源的な「生」がみずからを隠すことによって、なにかが現象するという事態が成立しうるという問題圏と密接なつながりをもっていることが示されています。 晩年のフッサールの思想の中心にあるものを学ぶうえで、有益な内容の本だと感じました。
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自己について知りたくて読んだものの、自我との違いが分からず敗退した。もう少し現象学、特にフッサールについて詳しくなることができれば、明らかに読みやすい内容だと思う。いつか、もう一度トライしたい。
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