われら猫の子 の商品レビュー
表題作「われら猫の子」を含む11作品からなる短編集。読んでいると現実と空想の間を浮遊しているような感じになるような作品が多い。 義父母に子どもを強く求められつつも、それを静かに拒み続ける成人、そして妻であり彼らの子でもあるマサコは強く反発をする。この『われら猫の子』は、前に読んだ...
表題作「われら猫の子」を含む11作品からなる短編集。読んでいると現実と空想の間を浮遊しているような感じになるような作品が多い。 義父母に子どもを強く求められつつも、それを静かに拒み続ける成人、そして妻であり彼らの子でもあるマサコは強く反発をする。この『われら猫の子』は、前に読んだ『植物診断室』でもそうだったが、既存の固定観念や常識というものに、自分でもはっきり認識できないほど静かに、でもはっきりと、抵抗の意を示しているような人を描いているよう。マサコの同僚であるリュウちゃんは恐らく同性愛者なのだろうが、彼の女友達に自分の子どもを作るために「腹だけ貸してほしい」と言ったのは(尤も、これはもしかすると世間では受け入れられないことかもしれないが)、彼にとっての新しい生存証明の形だったのかも。 そういえばこの本の中の『トレド教団』や『エア』という話などもまた、同性愛者が絡んだ話。とかく否定的に思われる彼らの存在が、どこか世間の常識に対するアンチテーゼとして描かれているのか?なんてことをふと思う。「男」とか「女」とか分かりやすい形でカテゴライズするのは簡単だけれども、カテゴライズされることによって見えなくなるものや、そのカテゴライズの中で葛藤する人々がいるといるわけで、そんな彼らの存在自体を示してくれているようだ。
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短編で色んな話があったけど、表題作の「われら猫の子」より最後の「エア」が一番面白かった。「夢を泳ぐ魚たち」「紙女」も印象的。
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どれも好きな話だけれど、特に「紙女」がよかった。 紙であることがどういうことなのか、言葉を書くということがどういうことなのかについて考えさせられる。 すべてが終わったあとに書かれたこの話を紙に印字された本という媒体によって読むことを思うと、渦巻きにはまっていく気がする。
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面白かったが、一部の話があんまよくわからなかったです。 深いのかもしれないですが。 ペーパームーンと雛が好き。 紙女が悲しかった。
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ちょっと怖さを覚えたような幻想譚でした。 (ファンタジーって言えない気がする) 「夢を泳ぐ魚たち」と「エア」あたりが 飛んでて良い感じでした。
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