C&Y地球最強姉妹キャンディ 夏休みは戦争へ行こう！ の商品レビュー

山本弘【著】

2024/01/07

最強の頭脳と運動能力を持った姉妹の痛快空想科学冒険活劇！　
メカとアクションてんこ盛り、快活で爽快な物語だけどそれだけじゃない。「戦争」を児童書体裁ならではに、真正面から堂々と書き切る手腕も素敵。
是非アニメ化を！

2016/05/09

戦争をどうやって終わらせるか。
どんなことをすれば、どんな力を使えば戦争を終わらせることができるか。
ここにあるのは一つの策。
しかし、それを読むにつけ、戦争を終わらせることの難しさを感じます。

人を殺さないで済むこの国だけど、また別の意味で人を殺しているのだと思います。
最大の凶器は無関心。

2014/06/21

11歳小学生としては地球最強の肉体を持つ夕姫と、地球最強の知能を持つ11歳小学生の知絵。この二人がひょんなことから、何百年もの間戦争を続けているタガール国とバンダ国に関わることになる。小学生を戦争の現場に放り込んでどうするよ？という心配をよそに、二人はそれこそ知恵と勇気で二国間の戦争を止めるばかりか、死の商人まで葬り去ってしまう。非常に痛快なストーリーだ。さりげなくノーチラス号やヤマトがネタとして使われているのも楽しい。
その一方で戦争に関する描写に手抜きはない。あるとすれば、流血沙汰を減らすために、兵隊ではなくロボットに戦わせる展開になっているということ、子どもたちの武器が普通の銃ではなく人間を固まらせる（＆電気ショックで復活可能）Ｐ光線を発する銃になっているということ。この二点をのぞけば、戦争がもたらす悲劇、人間の愚かさ弱さが誤魔化しなくきっちり描かれている。
戦争をやめさせたからといって、正義の味方ヅラなどけっしてしない知絵はちゃんとわかっている。（ほかにも「読書感想文は大人を喜ばせるために書くの」という名台詞もある）その気になれば地球を滅ぼすことのできる知能の持ち主なので、考えることは大人と同等かそれ以上。このことが物語を嘘っぽくしないし、深みを出している。

2011/08/29

「正義と悪は正反対のものじゃないんだわ、と知絵は思う。人を殺す正義もあれば、人を救う悪もある。わたしの力は悪魔の力かもしれないけれど、人を救うことができる。」

キャンディ、２冊目！！
今回もとっても面白かった！！！
ふたりの大活躍っぷりがとてもわくわくどきどきしてしまうし、物凄く魅力的！！！

そして、年齢は幼いながらに、やはりこのお話は、大人向けだなぁ、と思うのは引用部の正義と悪のお話。
これは、生きていく上での本当に大きなテーマ、なのではないかしら、って思ったよ。
凄い！！
それを分かりやすく噛み砕いているのだから、やはり、ますます子どもたちに読んでほしいなぁ、と思う１冊。

今回もとても良かった！！

【8/13読了・初読・市立図書館】

2010/05/26

途中まではほのぼのコメディー、最後に至るまで軽妙なタッチでサックリ読めるけれど、テーマはシリアス。今日はマイケル・サンデルを読んでこれを読んで、正義論ばかり読んでいるような気がする。ところで、戦争をやれという人たちは前線に立たない人たちだとステレオタイプにこの主人公も言うけれど、それは政治家や文化人よりも、より前線に近い人にあてはまると僕は思う。凶悪事件や重大事故に対して、遺族感情や市民感覚を持ち出して厳罰を求める市民たち、それを肯定し持ち上げるメディア、そして理解を示す政治家という構図は、戦争をやめられない構図と同じだと思うんだ。