リスク・リテラシーが身につく統計的思考法 初歩からベイズ推定まで の商品レビュー
一言でまとめると「いかに世の中の人が数字の意味を正しく理解せず、間違った判断を下してきたか」ということと「では、どのようなアプローチをすれば、数字に絡んだ誤解が減るか」ということを、わかりやすく説明した本である。 ここで言う「世の中の人」とは、一般人のみならず、いわゆる数字によ...
一言でまとめると「いかに世の中の人が数字の意味を正しく理解せず、間違った判断を下してきたか」ということと「では、どのようなアプローチをすれば、数字に絡んだ誤解が減るか」ということを、わかりやすく説明した本である。 ここで言う「世の中の人」とは、一般人のみならず、いわゆる数字によく接する専門家(例えば、医者であったり研究者そして検察官など)のことを含む。裁判で、被告の有罪(もしくは無罪)を立証するにあたり、確率を用いることが多いが、実は不正確な情報が陪審員に伝えられ、関係者全員がその間違いに気づかずに判決を下す・・・ということが、過去に(過去といっても、つい最近までの話だが)多々あったそうだ... (全文は、こちら↓) http://ryosuke-katsumata.blogspot.com/2011/01/blog-post_16.html
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この本では、数学オンチを3つに類型化(リスクに関する無知、リスクの伝達ミス、的外れな考え方)し、それに基づく対策を提示していること、例えば、リスクを見分けされるための教育に必要な要件として以下の3つのステップを挙げている。 1.確実性という幻の打破(日常生活の不確実性、不確実性と...
この本では、数学オンチを3つに類型化(リスクに関する無知、リスクの伝達ミス、的外れな考え方)し、それに基づく対策を提示していること、例えば、リスクを見分けされるための教育に必要な要件として以下の3つのステップを挙げている。 1.確実性という幻の打破(日常生活の不確実性、不確実性と過度についての因果関係の理解) 2.リスクに対する無知の克服:リスクを推計するツールの使い方を教えること(無知の内的源泉の克服)、リスクの推計を邪魔しようとする勢力があることに気づかせること(無知の外的源泉の克服) 3.直観的にわかりやすいリスクの伝達方法(「相対リスクでなく絶対リスクを」、「確率ではなく自然頻度を」) 主張は非常に明快ではあるが、後年ギーゲレンツアーに対して批判的な研究が出ているようなので、鵜呑みにするのは良くないかもしれない。 また、19世紀における三種類のタイプの医師による論争(リスエーニョ・ダマドールに代表さえる「技」と直感に頼る芸術家タイプ、ピエール=シャルル=アレクサンドル・ルイに代表される統計家タイプ、生理学者クロード・ベルナールに代表される決定論者(実験重視)タイプ。1920~30年代にイギリスの統計学者サー・ロナルド・フィッシャーが統計と実験を結びつけて溝が埋まったようである)は初めて知ったことで、個人的には興味深い。今後、詳細について調べてみたい。
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主に医療と司法の場におけるリスク・リテラシーを扱った本です。 研究者向けと言うよりも一般人向けですね。 確かに本書に出てくる例は、考えれば考えるほど、頭が混乱し、最終的に間違った判断を下しがちなものが多くありました。 しかし、本書の提案通り、確率を%ではなく、頻度で表す...
主に医療と司法の場におけるリスク・リテラシーを扱った本です。 研究者向けと言うよりも一般人向けですね。 確かに本書に出てくる例は、考えれば考えるほど、頭が混乱し、最終的に間違った判断を下しがちなものが多くありました。 しかし、本書の提案通り、確率を%ではなく、頻度で表すと、あら不思議。問題がスムーズに解けます。ここに本書の肝があります。条件付き確率や相対的効果のトリックにだまされないようになります。 それ以外の統計的な思考についてのブラッシュアップは、望めないので、★4つ。 ただ、乳ガン検査、HIV検査の陽性率、インフォームド・コンセントは「意思決定の分かち合い」、妻への虐待と配偶者殺しの関連、訴追者の誤謬、DNA鑑定は100%正確ではない、目盛り効果(※個人的にはこれに一番感心した)など、随所に例としてすぐれたもの、実践的ものを含むのが本書の効用である。
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指紋ですら鑑識官の主観が入るものだとは知らなかった。ベンジャミン・フランクリンが言ったように「死と税金以外に確実なものはない」という言葉のように、確実性ということがこれからも幻であることがわかる。世の中には不確実性が至る所に存在するが、それらをより正しく理解するには、ベイズ推定の...
指紋ですら鑑識官の主観が入るものだとは知らなかった。ベンジャミン・フランクリンが言ったように「死と税金以外に確実なものはない」という言葉のように、確実性ということがこれからも幻であることがわかる。世の中には不確実性が至る所に存在するが、それらをより正しく理解するには、ベイズ推定のようなツリーを構築した考え方で、自然頻度(例えば100人中、何人が◯、何人が□等)で分けた考え方の方が理解しやすい。色々な事象が確率(%)で述べられているが、%で書かれたものは全て同じことを言っている訳ではない。絶対的な確率(全体のうちの何%)、相対的な確率(例えばある薬を使うと致死率が何%〜何%に減った割合とか)。これらを混同すると全体の理解が全くことなる。自らの誤解もあるが、確率提供者が故意に誤解を招くこともあるので注意が必要である。特に医療における検査等にはこのような確率の記載があるが偽陽性、偽陰性についてを自然頻度で理解する方が良い。医療的な情報は、www.ctfphc.orgや、www.cochrane.orgなどで得られる。
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エッセンスを凝縮して「偽陽性」「ベイズ推定(条件付確率)の頻度による簡易計算方法」の2点に絞ってまとめれば、現代人に必須の資料となる。 本書は具体例が多くてしみじみと納得させる読み物としては優れているが、一冊を読み通すと重複の内容も多い。
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もう少し一般論かと思ったが乳がん検診のエピソードしか思い出せない( ̄▽ ̄;) 後半でまとめに入って少し納得。統計で嘘をつく法がやはり名著
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事後確率問題がわからなかったときのことをよく覚えている。イヤな汗がでるようないやな思い出だ。いまでも、事後確率を暗算で正しく算出し、わかりやすく伝えてあげてと言われるとイヤな汗がでる。この本を読んだ後には、そのようなことはないだろう。自然頻度で表現することによって、劇的に分かりや...
事後確率問題がわからなかったときのことをよく覚えている。イヤな汗がでるようないやな思い出だ。いまでも、事後確率を暗算で正しく算出し、わかりやすく伝えてあげてと言われるとイヤな汗がでる。この本を読んだ後には、そのようなことはないだろう。自然頻度で表現することによって、劇的に分かりやすくなるからだ。 この本からの教訓は、ほぼこの「自然頻度で表すと事後確率問題は分かりやすくなるよ」に集約される。我々が不確実な世界に住んでいること、その不確実性をリスクとして推測することの重要性も指摘されるが、それは他の類似書でも示されていることだ。 しかし、この本の教訓が指摘する現実場面での問題は深刻なものだ。第二部は実生活における「統計オンチ」の害について述べられている。ここで明らかにされることは、少なくとも僕が、世の統計情報をいかにいい加減に理解していたかを教えてくれる。 是非一読を勧めたい。
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「数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために」の文庫版 医療や裁判などで統計的なデータを証拠(エビデンス)として取り上げる場合、確率をそのまま計算するより整数で頻度を計算するほうが理解しやすいので頻度による計算を薦めています。確かにそのほうが直感的...
「数字に弱いあなたの驚くほど危険な生活―病院や裁判で統計にだまされないために」の文庫版 医療や裁判などで統計的なデータを証拠(エビデンス)として取り上げる場合、確率をそのまま計算するより整数で頻度を計算するほうが理解しやすいので頻度による計算を薦めています。確かにそのほうが直感的でわかりやすいのですが、それはそれで落とし穴があります。実際、著者が取り上げる事例には不適切と思われること含まれています。 そもそも確率の意味を定義する際に頻度主義によるものとベイズ主義によるものとがあって議論があるところです。繰り返し実験ができない1回きりの出来事に対して確率を考えるときは主観的確率を用いるベイズ主義が有効だと言われています。本書の議論は頻度に偏りすぎてやや統計的思考法と呼ぶには一般性を欠いています。 ただ分かりやすいという点では、この手の本の中では一番でしょう。
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「リスク・リテラシーが身につく統計的思考法」 著者 ゲルト・ギーレンツァー 訳 吉田利子 出版 早川書房 p25より引用 “錯覚についてどれほど理解したとしても、 錯覚そのものは事実上、克服できない。” 確実と思われている世の中の出来事が、 実は不確実な事であると気づくた...
「リスク・リテラシーが身につく統計的思考法」 著者 ゲルト・ギーレンツァー 訳 吉田利子 出版 早川書房 p25より引用 “錯覚についてどれほど理解したとしても、 錯覚そのものは事実上、克服できない。” 確実と思われている世の中の出来事が、 実は不確実な事であると気づくための方法を、 教えてくれる一冊。 身の回りにあふれている危険性を表す数字を、 理解しやすくする方法が紹介されています。 自然頻度という方法は、 数字が大変単純な物に置き換わるので、 確かにパッとみてわかりやすいと思います。 データの数字を見ただけで嫌になる、 なんていう人に読んでもらいたい一冊です。
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