狂人失格 の商品レビュー

中村うさぎ【著】

2012/08/10

　初中村うさぎ作品。なんでこの人のこの本なのかというと、この本で出てくる実在の人物のモデル問題に興味があって眼を通したかった。ノンフィクションエッセイ？
　ネットで有名？な自称作家の女性の存在をしった著者は、彼女のサイトにある掲示板に一緒に本を出したいと書き込みをして会う約束をする。著者の自分に対するナルシシズムの分析と彼女の言動と分析と起きる騒動と顛末。自称作家の名前は仮名にしているが実在する人物。ネットですぐにわかる。
　自分の嫌な部分を客観的に鋭い分析で書いていて身につまされる箇所があった。そして彼女は自分の投影でそれを見つめたいと願う著者だが単純にというか当たり前というか相手はただの狂人でしかなくて……　
　筆力あるなあと感じた。ギリシャ神話の話に納得がいった。メデューサの石化と視線の考察は膝を打った。自意識の地獄の恐ろしさと論考はうまい。ただ、全体的に散漫とした印象がある。完成度を求める内容や種類の本では無いのはわかってるだが……
　みんなやめとけというのにこういう人物に触れてしまう著者の頑固さとか壊れっぷりには脱帽する。

2012/03/23

なんとも痛々しい内容です。
不思議の国にすむ住人とふれあった話って感じですかね？
でもうさぎさんの言ってる事はいつも通り最もだ、と納得できますね。

2012/01/17

この作品は、中村うさぎの私小説だと思う。
タイトル「狂人失格」であるが、まだまだその狂人っぷりは顕在！
自分が狂人であることを冷静に見つめる事ができた頃の中村うさぎよりも、自分の狂人っぷりを冷静に見れなくなっている今の中村うさぎの方が、危険だと思う。
今後、彼女の狂人っぷりは、ホンモノの域に達しそうな予感がするので、期待できると思う。
ただ、精神のすり減らし度合いが尋常ではないと思うので、心配ではあるが・・・・。

2011/05/08

いつから中村うさぎ氏は本人本ばかりかくようになったのだろうか、と本を見るたびに思う。
私が最初に読んだのはゴクドーくん漫遊記で、最初のころはおもしろくよんでいたのを覚えている。
そして途中から文体がまがりはじめたのも記憶している。
そこからしばらく読んでいない。
なにかのきっかけで中村うさぎ氏のインタビューを読んだのだが、
ひっかかるものがあったので
多く出ている本人本からこの本を選んで読んでみた。
軽快によめてしまう一冊である。

ほぼノンフィクションの内容であるうえに
冷静にみれば振り回されている出来事自体は重いのだが
その重さを感じさせない軽快な文章だ。
このあたりはライトノベルに近いものを感じた。

あらすじとしては
「自称」ネットアイドル兼小説家の卵の優花ひらりという人物をしった
中村うさぎ氏が彼女を小説家デビューさせようと試みるが、
憶測とは全く違う行動をする、そしてその行動の意味がまったく不明で自分勝手な優花ひらりに
中村うさぎ氏はいよいよキレてほったらかしてしまう。
中村うさぎ氏は彼女に「見たことのない自分」を期待していたのだが、
優花ひらりは全く違うものを見せてしまった。

しかし、あとがきを読むと中村うさぎ氏のこれまでとこれからの人生に対する苦悩が書かれている。

2010/12/23

毎ページ同じことを堂々巡りで吐露されてるような、そんな感じ。中毒に苦しんだ経験のある人は激しく共感するのだろうか。
ダメ男としりながら、好きになる感じをおもいだした

2010/08/09

20100802
中村うさぎさんの本をまともに読んだのは初めてだけど、読みやすくて、よかった。昔のも読んでみようかしら

2010/07/07

月曜会の課題本になっていたため初めて中村うさぎさんの本を読みました。普段の読むジャンルとはかすっているんだけど、かぶっていないワタクシ（西原さんやくらたまさんの漫画など無頼系なのは一緒なのに）。
最初に読んだときはこの本って、「自分って痛い人間だわ」と妙な選民
思想を持っている人しか楽しめないのかなと思いましたが、なかなか読み込んでみると発見がありました。
感想としては、人は何もないところから自分を見ることが出来ないから、他人を見ることによって（他人を通じて)自分の気持ちを認識するのかなぁと。
そして、その対象が自分と異なる（と思いこんでいればいるほど）自分が気付いていなかった自分を発見するということでしょうか。
本よりもむしろ講演会が非常に楽しかったです。

あ、本にサイン頂きました（本人本だけに）、ありがとうございます。

2011/08/06

中村うさぎ、いろいろなことをしているなあとは思っていたけど、こんな心持ちでいたとは。正直いって、これまではそれほど興味を持っていたわけではないけれど、今後のこの人がすごく気になります。それにしても、逆鱗に”ぎゃくりん”、妄執に”もうしつ”、悪臭芬々に”あくしゅうぷんぷん”とルビを振ってみせるとは、編集者、まじめにやれ。

2010/04/04

「有名作家になって河村隆一とテレビに出た～い♪みんな応援してね！」とネットで公然と言ってのけ、自身のホームページの大炎上をものともしない究極ナルシスト”優香ひらり”。その彼女の存在を知った著者は彼女を本当に作家デビューさせて世間をアッと言わせてやろうと画策する。しかし彼女は著者の想像を遥かに上回るボスキャラだった・・・。まず、企てが歪んどりますなあ。さらには想像を遥かに上回った彼女のキャラをもてあまし操縦不能に陥ってしまい、彼女はネット上で無邪気に暴走を始めてしまう。まるで外来種を持ち込んで飼い切れずに野に放ってしまったかのような光景です。
狂人vsモンスター必見です。