「赤毛のアン」がテレビアニメになった日 の商品レビュー
スタジオぴえろに続いて日本アニメーション。 1988年〜1990年までYKKの社内向け機関誌『隣人』に連載したアニメ・レポートをまとめたもの、ということでアニメにあまり詳しくない人に当時の現場やアニメをめぐる状況を語った軽めのエッセイという感じです。 (著者は日本アニメーショ...
スタジオぴえろに続いて日本アニメーション。 1988年〜1990年までYKKの社内向け機関誌『隣人』に連載したアニメ・レポートをまとめたもの、ということでアニメにあまり詳しくない人に当時の現場やアニメをめぐる状況を語った軽めのエッセイという感じです。 (著者は日本アニメーションの企画・制作プロデューサー。YKKの担当者とは近所の居酒屋で知り合ったという。) ちなみに当時の世界名作劇場は『小公子セディ』、『ピーターパンの冒険』、『私のあしながおじさん』、1990年に『ちびまる子ちゃん』がスタートしてます。 軽めのエッセイなので期待以上の話は出てきませんが、アニメ制作現場が夜中に働いて昼出勤だとか、童貞と処女率高くて社内恋愛が多いとか、フリーのアニメーターが各社を渡り歩くことの弊害とか、当時の雰囲気は伝わってきます。(タイトルの『赤毛のアン』はほとんど出てこない。) 宮崎勤事件が起きてアニメーターが家族から「お前は大丈夫なのか」「転職しろ」と言われたという話はおもしろかった。実際にあの事件以降、オタクへの風向きが変わったと言われますね。 タレントのなべおさみと著者はともに映画少年で映画館に通ううちに友達になった幼馴染ということで巻頭メッセージをよせてます。これはちょっといい話。 今の20代の子たちに聞くと「海外文学は難しそうで敷居が高い」と言われてしまうんですが、私は『小公女』、『若草物語』、『あしながおじさん』、『赤毛のアン』などの少女小説から自然に英米文学に進んでいったので、その土台として日本アニメーションの世界名作劇場がはたした役割は大きかったと思います。 (1997年の『家なき子レミ』で放映終了。) また、カルピスやハウスなどスポンサーがきちんとついた1年間制作枠が決定しているというのは、アニメスタジオにとっても重要だったんだろうなと思います。 子供向け放送に『フランダースの犬』のような暗い話をなぜ選んだのかとか、おそらく当時はマイナーだった『あらいぐまラスカル』や『ペリーヌ物語』などのセレクト事情も聞いてみたい気がします。
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※このレビューにはネタバレを含みます
赤毛のアンにはじまる数十のアニメの絵はでてきますが、 赤毛のアンに始まる数十のアニメの源流を必ずしも突いていないように感じました。 コミックマーケットなど、現在のアニメをささえる現象を解説しています。 実際のアニメを作る人の視点でも、アニメを見る人の視点でもなく、制作側の視点でしかないような気がしました。 背景情報としては有用ですが、アニメに対する思いが伝わりません。 制作側の疲弊を反映しているという意味で、参考になりました。
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