心のありか の商品レビュー
心の哲学における心的因果をめぐる問題について、ジェグウォン・キムの仕事を中心に手際よく紹介している本です。 本書では、デイヴィドソンによって心の哲学における反因果説から因果説への転回がなされたことと、彼の提唱するスーパーヴィーニエンスの概念がキムによってどのように批判されたのか...
心の哲学における心的因果をめぐる問題について、ジェグウォン・キムの仕事を中心に手際よく紹介している本です。 本書では、デイヴィドソンによって心の哲学における反因果説から因果説への転回がなされたことと、彼の提唱するスーパーヴィーニエンスの概念がキムによってどのように批判されたのかということを、わかりやすく解説しています。そのうえで著者は、心的因果を救い出す道をさぐる考察を展開していきます。著者は、因果関係を物理的な外延主義の立場からのみとらえる見方がかならずしも妥当ではないということを明らかにしたうえで、日常的な行動説明のなかで心的因果による説明が受け入れられていることに立脚して、脳や神経の働きにかんする物理学的な説明が適切であるかどうかのものさしとして、日常心理学における心的因果の理論を擁護することを試みています。 心の哲学の議論を広く紹介した本ではありませんが、心的因果をめぐる哲学上の議論についてわかりやすく解説されており、おもしろく読むことができました。
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