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われ=われの哲学 の商品レビュー

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2015/01/03

著者は、人間が否応なく主体として判断することを迫られる「現場」と、日常的な価値観や社会のヒエラルキーに埋没している「場」を区別し、「現場」に立つ人びとどうしが「われ=われ」のつながりを作っていくことの重要性を主張しています。 また、物質的な豊かさに取り巻かれる中で主体性を喪失す...

著者は、人間が否応なく主体として判断することを迫られる「現場」と、日常的な価値観や社会のヒエラルキーに埋没している「場」を区別し、「現場」に立つ人びとどうしが「われ=われ」のつながりを作っていくことの重要性を主張しています。 また、物質的な豊かさに取り巻かれる中で主体性を喪失することに陥りがちな現代という時代や、複雑な政治的・社会的状況の中で被害者が同時に加害者にならざるをえないという悲劇を見据えながら、そこで生きる人びとが「現場」の論理と倫理にめざめ、連帯を築いていく可能性について語られています。 いつでも希望を見いだしたいという著者のスタンスのせいかもしれませんが、本書の冒頭では、空襲を経験した著者の「現場」体験や、黒人が差別に直面する「現場」などを例にとって、人びとがいやおうなく「現場」に巻き込まれてしまうことへの鋭い視点が見られますが、そこからあまりにも性急に、主体性の確立へと議論を急いでしまっているように思えます。

Posted byブクログ