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がんと命とセックスと医者 の商品レビュー

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2010/12/16

ニューヨーク在住のゴルフジャーナリストの著者が、ある日突然「子宮頸がん」の宣告を受ける。子宮摘出と聞いて彼女が感じたのは「命」の不安と同時に、「セックスはできなくなるのか?感じ方は変わってしまうのか?女ではなくなるのか?」という「女」に対する不安だった。女でなくなってしまうぐらい...

ニューヨーク在住のゴルフジャーナリストの著者が、ある日突然「子宮頸がん」の宣告を受ける。子宮摘出と聞いて彼女が感じたのは「命」の不安と同時に、「セックスはできなくなるのか?感じ方は変わってしまうのか?女ではなくなるのか?」という「女」に対する不安だった。女でなくなってしまうぐらいなら、生きていたくない、とも。 私がもし同じ境遇になったらどうだろうか。今、あまりリアリティのない状態で考える限りでは、そりゃ当然「命」が優先でしょ、と思う。死んでしまったら元も子もないじゃないかと。でもいざ病気を宣告され、「女」の機能を失うことになったら、どんな風に感じるだろうか。 「性」というのはアイデンティティのどれほど深いところまで根ざしているものなのだろうか。 p.49に筆者の不安がとてもよく理解できる記述がある。 「「命」と「女」。どちらも不安だった。だが、両親や植竹医師に対して口に出して言えるぶん、「命」に対する不安のほうが少しだけラクに思えた。「女」に対する不安は誰にも言えない……。」 話せない、聞けない、わからない、というのが何より不安でつらいことなのだと思う。 著者はその後、部分的な切除手術を受け、回復し、仕事にも復帰する。抱えていた不安や恐怖も乗り越えて。彼女を支えたのは、医師とのコミュニケーションでもあったが、それ以上に他の「子宮頸がん」経験者の声だった。そして、自分の経験を同じ不安を抱えている誰かに伝えたい、と本書の執筆を決意するのである。 同じ境遇にある人の声がいかに人を支えるものかを実感した。この本は、今の私にとっても「いつか自分にもふりかかるかもしれない話」として参考になるものだし、著者の不安や勇気には共感できるが、いざその「いつか」が来た時には、また意味合いが変わってくると思う。 本文では訴訟のリスクから医師が思うようにふるまえない苦しさなどについても語られている。医師と患者が信頼関係を築き、安心して適切な医療を受けるために、必要なことはいろいろとあるようだ。

Posted byブクログ