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斜線の旅 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2022/09/17

 著者は1958年生まれ。翻訳者、詩人。比較詩学研究、コンテンツ批評、映像文化論を専門とする学者さん。  本書刊行当時に一度手に取ったのですが、その時は通読できず。なんとなく、また手にとり、今回は最後まで読みました。  『風の旅人』という雑誌に連載された旅行記・滞在記を中心に...

 著者は1958年生まれ。翻訳者、詩人。比較詩学研究、コンテンツ批評、映像文化論を専門とする学者さん。  本書刊行当時に一度手に取ったのですが、その時は通読できず。なんとなく、また手にとり、今回は最後まで読みました。  『風の旅人』という雑誌に連載された旅行記・滞在記を中心にまとめられた本です。仕事が終わって家に帰ってきてから寝るまでの短い時間で、途切れ途切れに読み継いでいくのにちょうどいい本でした。  ”そんな風にかけ離れた土地が誰かの生涯において突然に、長い斜線を引くようにしてむすびつけられることには、どこか人を魅了するものがある。その旅は征服の旅、侵略の旅、探究の旅、抵抗の旅、強いられた旅、無根拠な旅、放埒な楽しみの旅、いろいろな性格のものでありうるだろう。だが客観的な善悪の判断、有意義無意味の区別を超えて、遠い連結にひめられた魅力は、否定しがたい。(中略)いまもぼくらの旅のすべてが、その背後に多くの倫理的な問題を隠しつつ、見たことのないものを見たい、思ってもみなかった何かを知りたい、見て、知って、自分のものにしたいという気持ちに立って、構想され、実現されてゆく。” p14  旅というのは、どこかとどこかの土地を、欲望によって結びつけるものであるという指摘から本書ははじまります。欲望の良し悪しはひとまず留保されます。  しかし、この本のあちこちで、良し悪しは問われ続けます。旅そのものに対してというより、もっと広く、ヒトの営みについて。植物伐採、資本主義、インターネット、芸術、大学。それらについて論じられたあと、本書の最後で、また旅についての著者の思いが述べられます。それに同意するかどうかはあまり重要ではなく、旅をする人それぞれが、旅の持つ意味を考えるためのきっかけとしてこの本を味わえばいいのかなと思いました。旅をしにくくなっているコロナ禍に再度手に取ってよかったです。

Posted byブクログ

2013/02/17

旅行記と思い、手にした本。 旅行記だが、「普通」の旅行記とは一線を画する、引用の多さが印象的だった。 この本を読んで、旅行には行きたいがなかなか行けない大人の抱える物理的な束縛感をどういなして、それとどうつきあっていけばいいのか、というのを考えさせられた。

Posted byブクログ

2012/03/08

菅 啓次郎著『斜線の旅』読了。単なる旅行記とは一線を画する物凄く深い余韻。余韻、また余韻。圧倒的な文章力と経験を伴った博識さをもって語られる物語。浅学な僕には理解の難しいくだりもたくさん。辞書を何度もひきつつ、google検索も駆使しながらの素晴らしい読書体験でした。

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2011/08/27

旅での思索をめぐる極上のエッセイ。 言葉の一つ一つが珠玉のように輝いている。 装丁も含め、文句なしの五つ星。

Posted byブクログ

2010/11/09

なんともいえない高揚感(まるで旅している時みたいな!)をこの本から得られました。 なんてすばらしい本なんだろう! これからも、心の閉塞感を感じた時に何度も手に取るでしょう。

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2010/06/29

出逢えてよかった一冊。そしてこれからもまた、時おり手に取ることができたら嬉しいと思う。この世界観に寄り添う時間は心地よいのだ。

Posted byブクログ