藍坂素敵な症候群(1) の商品レビュー
心の奥底に潜む嗜好をデフォルメしたテーマが光る
表紙カバーイラストとオビのセリフで「お子ちゃまヒロインかぁ」と敬遠しかけたが、普段はフツーの喋り方だった。内容的には作者の既刊『C3(シーキューブ)』シリーズと同様な雰囲気&歪み方だが、歪む方向が少し違っていた。人の内面深くに潜む特殊な嗜好や癖みたいなものを極端にデフォルメして見...
表紙カバーイラストとオビのセリフで「お子ちゃまヒロインかぁ」と敬遠しかけたが、普段はフツーの喋り方だった。内容的には作者の既刊『C3(シーキューブ)』シリーズと同様な雰囲気&歪み方だが、歪む方向が少し違っていた。人の内面深くに潜む特殊な嗜好や癖みたいなものを極端にデフォルメして見せている。当初はタイトルが「藍坂、素敵な症候群」なのか「藍坂素敵な、症候群」なのかと考えたが、少なくとも前者ではない。もたらされる結果を素敵と感じるのは当事者のみである。行き過ぎたがために哀しく醜い所業が克明に描かれ、これをある覚悟を持って“治療”するヒロイン【藍坂素敵】という構図である。さらには彼女が創部した「医術部」の部員達それぞれにも背景と素敵との関係をしっかり持たせて奥行きを出すとともに、一見して残酷な素敵の“処置”にも、それを行う理由や可能にさせる条件(これは少し超展開?)を描いて、主人公【那霧浩介】の反目とその後の理解を織り交ぜている。これらの要素が縦横に絡まりながら展開される奥深さが素晴らしい。内心に罪の意識や葛藤を秘めながら、その明確な答えを見出だせないまま、秘密裏に人道に反する(ように見える)“手術”を独り黙々と真摯に行い続ける素敵の凛とした心持ちと、そんな彼女への恩返しと同時に孤立させないよう側に居る部員達との暗黙の繋がりが重層的に描かれていて心地良い。そして、そんな素敵の“素敵”な姿をいつまでも見続けたいと思った浩介に最大の使命がもたらされる結末である。読み終えた時には、こうした嗜好と症状を「罹患」と呼ぶならば、人はみな何かに罹患している、病んでいるとも言えそうで考えさせられる。なお、現時点ではラヴ要素がまだ細やかだが、今後の展開次第では面白いことになりそう。ただ、部員の【宵闇ヶ原陰子】と浩介との犬猿の仲はいずれ和解して欲しいところ。
DSK
普通に見えてある特殊な疾患が頻発する街へと越してきた主人公、そしてそれをただひとり治療できるというヒロインを軸に、人の精神の暗部や心の機微を扱った物語。 テーマや登場人物など設定は興味深く、文体やストーリーに破綻もなく、全編通して読みやすくはあった。一方で、展開や伏線に突出した...
普通に見えてある特殊な疾患が頻発する街へと越してきた主人公、そしてそれをただひとり治療できるというヒロインを軸に、人の精神の暗部や心の機微を扱った物語。 テーマや登場人物など設定は興味深く、文体やストーリーに破綻もなく、全編通して読みやすくはあった。一方で、展開や伏線に突出した部分はなく、物語の進行をただ追っているような退屈感がある。読後の爽快感やカタルシスはあまり感じない。 全体的にライトノベルというジャンルはこういうものであるという例題作品といった印象を受けた。 さらりと読みきってしまうのによい作品という気がする。
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途中までは、男主人公のハーレム系高校生活だと思ってなめていた。藍坂素敵の隠れていた顔が見えてシリアスになってきてから、面白くなった。とは言うものの、やっぱり女の子とのコメディ部分は合わないです。続刊は出たのかな?
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巻数を重ねてきたからか、話の展開がうまいな。最近読んだラノベの中では一番かも。相変わらず少しグロいけど。
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自分の快楽(フェティシズム)に対して他人の迷惑(死)すら構うことが なくなってしまう耽溺症候群という病気と それに立ち向かっていく医術部部長である藍坂素敵やその仲間のお話 医術部のメンツはそれぞれキャラが立っていて、 耽溺症候群を治療することができる藍坂素敵 傘を溺愛し素敵に好...
自分の快楽(フェティシズム)に対して他人の迷惑(死)すら構うことが なくなってしまう耽溺症候群という病気と それに立ち向かっていく医術部部長である藍坂素敵やその仲間のお話 医術部のメンツはそれぞれキャラが立っていて、 耽溺症候群を治療することができる藍坂素敵 傘を溺愛し素敵に好意を抱く宵闇ヶ原陰子 言葉使いが乱暴な金髪ヘッドフォンの黒崎空 それぞれが耽溺症候群に対する複雑な過去と未来を持つ人達です それに対して主人公のキャラが若干弱い気がしました 1巻の内容は「おはなしやさん」という耽溺症候群を重症化させてしまう人との闘いを描いたもの 個人的にはもう少し引っ張っても良い話のような気がしました 1巻で終わらせてしまうのがもったいないような敵キャラでした 医学要素はまったくなく、コメディ要素もふんだんに含まれているので気楽に読めます 続きに期待したい話です
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