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“文学少女"見習いの、傷心。 の商品レビュー

4.2

35件のお客様レビュー

  1. 5つ

    14

  2. 4つ

    4

  3. 3つ

    9

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深層心理という真理を学んだ菜乃

喜怒哀楽(『中国の五情』という括りでは、これに「怨」が加わるらしい)という、主に人と人との関係に端を発し、因縁や遺恨という形でエスカレートする暗澹とした感情が見え隠れしながら、人の業が蠢いて図らずも他人を傷付けてしまうやるせない物語が今回も真っ正面から描かれている。これは同時に、...

喜怒哀楽(『中国の五情』という括りでは、これに「怨」が加わるらしい)という、主に人と人との関係に端を発し、因縁や遺恨という形でエスカレートする暗澹とした感情が見え隠れしながら、人の業が蠢いて図らずも他人を傷付けてしまうやるせない物語が今回も真っ正面から描かれている。これは同時に、理想ばかりを思い描く夢見る少女な菜乃ちゃんが、人の心に巣食う闇のようなネガティブ感情を知り、これに戸惑いながらもどう理解するかを見付け出す「初体験」物語でもあった。全編が菜乃ちゃん視点、その独白はフツーの女子高生らしい無邪気に満ちていて眩しいくらい。その眩しさを遮るように心葉から、そして次々と現れる本編の主要メンバーから意味深な言葉を投げ掛けられては悩んで落ち込む菜乃ちゃん。そりゃあ、本編で愛情と怨嗟がぐるぐる交錯した果てに死線すら彷徨った面々からすれば菜乃ちゃんなんて能天気なお子ちゃまに写ることでしょう、いーよいーよ、菜乃ちゃん、あの人達は異常体験者だから、菜乃ちゃんがフツーなんだから、などと擁護のひとつもしたくなるところだが、そこはタフ過ぎる前向き雑草魂の持ち主。真摯に考えて、悩んで、省みて、一歩ずつ着実に真相という名の真理に近づいていく、その成長の過程が豪胆な行動とともにじっくり描かれていた。パンドラの箱に残された最後の1つを見付けるような一縷の望みを感じさせる展開である。「ここでアイツが出て来たか」という驚きのある結末も良かった。しかし、心葉クンも変わったねぇ。随分となよっちい部分がとれて、芥川君とのやおい疑惑まで生じる後輩からの人気者になっている。遠子先輩を追いかけながらも良い意味で依存を脱して自立しようとしている。最後に現れた思わぬ伏兵をどうあしらうのか楽しみである。それとも、いつの間にか出来上がっていた“心葉ハーレム”に仲間入りか?

DSK

2023/12/24

心葉くんも菜乃さんも、千愛ちゃんも成長が目覚ましいし、菜乃さんの純粋さ (単純さ?) もほほえましい。でも、最後の展開は読めなかった。それにしても、ななせちゃんの報われる日はいつくるのかしら...

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2020/09/07

「きみが大嫌いだ」──心葉にそう告げられてしまった菜乃。その日以来、心葉は本心を見せず、取り繕った笑みで菜乃に接するようになる。そんなのは嫌だ! と夏休み、菜乃はある行動に出るが……。傷心の夏が過ぎ、秋。文化祭に向け賑わう校内で、菜乃はまた新たな出会いを体験する。不吉な影を背負っ...

「きみが大嫌いだ」──心葉にそう告げられてしまった菜乃。その日以来、心葉は本心を見せず、取り繕った笑みで菜乃に接するようになる。そんなのは嫌だ! と夏休み、菜乃はある行動に出るが……。傷心の夏が過ぎ、秋。文化祭に向け賑わう校内で、菜乃はまた新たな出会いを体験する。不吉な影を背負った少女。彼女に関わる中で、菜乃は彼女の、そして心葉やななせ、皆が様々に心に抱える闇と光を見つめることになる。もうひとつの"文学少女"の物語、第2弾!!

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2019/11/07
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

見習い②。 短編と長編の2本立て。 [傷心] 前回ラストの「君が嫌いだ」発言から、貼り付けた笑顔しか見せなくなったコノハについて麻貴先輩と共謀して合宿をする話。 かつて遠子先輩と被る部分も多く懐かしく感じられた。 コノハにデレて、怯える魚谷さんが可愛かった。 [怪物] 最作はフランケンシュタイン。 この作品は人が悪魔や怪物に成り果てるものが多い。 本作はまだ救いがあった方ではないかな?

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2017/01/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 文学少女シリーズ続編2幕。◆本編は全体構成上、最終巻に遠子本人の謎解きを持ってこざるを得ず、中盤は遠子のチートさが際立っていた。が、遠子が舞台から退場した結果、展開のパターンが外れ、逆に登場人物が相互に影響し合う関係が生じ、各々が夫々に成長・変化を来すという輻輳的な展開が可能になった。そのため、ある出来事が皆を成長させる好循環を生んでいる。◇真っ直ぐな菜乃の思慕が、遠子への閉鎖的な恋慕に囚われがちな心葉を解放する。菜乃は未体験の人間の黒い部分に直面。ななせは遠子への妬心や心葉への捻じ曲がった恋慕が素直に。 十望子や雫など直接的に本巻に関わるキャラクターはもちろん、臣のようなおよそ本題とは関係なさそうな人物までが、この中に含まれている。生きていれば、そして、前を向いて歩いていれば、人は、あるいは、人との関わりあいや繋がりあいは変えることができるのだ、文学少女全編に流れるこのモチーフを最もよく体現した一書のような気がしている。実に素晴らしい。

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2016/01/23

★★★☆ 3.5 外伝2作目。やっとななせや菜乃が心葉に思いを寄せても共に寄り添えない理由が理解できた気がする。そういう意味で今回菜乃の成長、中々報われることがなかったななせの気持ちが報われる機会ができたことは読んでいて「ああ、よかったなあ」という気にさせてくれた。と思いきやラス...

★★★☆ 3.5 外伝2作目。やっとななせや菜乃が心葉に思いを寄せても共に寄り添えない理由が理解できた気がする。そういう意味で今回菜乃の成長、中々報われることがなかったななせの気持ちが報われる機会ができたことは読んでいて「ああ、よかったなあ」という気にさせてくれた。と思いきやラストに衝撃の展開。次はどうなるのだろうか。早めに続きを読んでいきたい。最初の頃の展開を忘れていたので再読するときには期間をあけずに連続して読んだ方が楽しめるということも付け加えておきたい。

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2014/10/22

「フランケンシュタイン」という本をモチーフに書かれたお話。 嫌いという言葉よりも、何気ない態度の方が辛いものがありますよね。 周りから見ると羨ましい光景でも、裏側はドロドロで見たくもない。 そんな風に感じる物語でした。

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2014/05/28

「文学少女見習い」シリーズの第2弾。 合唱部の仙道十望子(せんどう・ともこ)が、文化祭のためのコーラス劇の脚本執筆と、劇の出演を依頼します。題材はシェリーの『フランケンシュタイン』。仕方なく依頼を引き受けた心葉ですが、菜乃ばかりかななせも出演することになります。 ところが、劇...

「文学少女見習い」シリーズの第2弾。 合唱部の仙道十望子(せんどう・ともこ)が、文化祭のためのコーラス劇の脚本執筆と、劇の出演を依頼します。題材はシェリーの『フランケンシュタイン』。仕方なく依頼を引き受けた心葉ですが、菜乃ばかりかななせも出演することになります。 ところが、劇の練習を始めると、不気味な出来事が立て続けに起こります。合唱部の部員たちは、劇で使われる曲にまつわる「怪物」の仕業だと言い、菜乃は「怪物」の正体を探ることになります。 やがて菜乃は、十望子の親友だった烏丸雫(からすま・しずく)を名乗る少女と出会い、彼女と十望子の間にあった確執を知るようになります。しかし、彼女が雫だと思い込んでいたのは、麻貴先輩が呼び出した、別の人物でした。 というストーリーですが、臣くんを再登場させた意図がいま一つ把握できませんでした。続編シリーズでのななせのポジションにも、これ以上続けるとますます不憫になってしまうだけなのになあ、と思ってしまいます。

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2013/08/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

この見習いシリーズの主人公、菜乃ちゃんは巻を追うごとにますます魅力的になっていきますね! 真っ直ぐで一生懸命で明るくて、もうすごく可愛い! 今回は「フランケンシュタイン」の怪物がテーマ。 皆誰しも心の中に怪物が潜んでおり、それまで善良だった人がある日いきなり怪物になってしまうこともある。 それを逃げ続けていても、怪物はいつまでも追ってくる。 自分が自分の意思で怪物と向き合わなければいけないのだと。 そして愛する人の中に怪物のような異質なものがあったとき、こんなのはあの人じゃないと切り捨てるのはとても残酷なことだと、教えてくれました。 どんなにそれが恐ろしいものでも、丸ごとその人を受けとめれる強さが私は欲しい。 いつもこの作品は、テーマが深く色々考えさせられます。

Posted byブクログ

2013/04/01

嫌いだ、と言われた次の日から、完全に仮面をかぶった先輩。 それがとても嫌で、色々行動を起こしてみる後輩。 最初の短編は、何だか懐かしいものがあります。 場所と条件? そしてメイドさんをしてくれている、ちっちゃな彼女。 手紙のやり取りは、主に身長の話でしょうか?w 文化祭は、ま...

嫌いだ、と言われた次の日から、完全に仮面をかぶった先輩。 それがとても嫌で、色々行動を起こしてみる後輩。 最初の短編は、何だか懐かしいものがあります。 場所と条件? そしてメイドさんをしてくれている、ちっちゃな彼女。 手紙のやり取りは、主に身長の話でしょうか?w 文化祭は、まさかの合同。 しかもその背景にあった陰湿なものにびっくりです。 まぁ腹の探り合いが通常装備の人達ですから 当然と言ってはその通り、なのですが。 最後に登場して、綺麗に去って行った彼。 と思いきや…最初っから周囲にいたのか! という落ち。 あちらもいいように使われている気がする…w

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