「全国学力テスト」はなぜダメなのか の商品レビュー
『「全国学力テスト」はなぜダメなのか―本当の「学力」を獲得するために』 (尾木直樹、2009年、岩波書店) 「全国学力テストは、いたずらに競争をあおるだけだからやめたほうが良い」という視点に立脚し、「学力とは何か」について考察し、最終的に日本の教育の現状と行く末までを論じている...
『「全国学力テスト」はなぜダメなのか―本当の「学力」を獲得するために』 (尾木直樹、2009年、岩波書店) 「全国学力テストは、いたずらに競争をあおるだけだからやめたほうが良い」という視点に立脚し、「学力とは何か」について考察し、最終的に日本の教育の現状と行く末までを論じている。 タイトルからもわかるが、左からの立脚点である。少しフェアではないと感じるのは、学力テストが果たす役割や競争が「学力」の向上につながることは本当にないのかということが考慮されていない点である。この点は、学力観や教育観という立脚点によって変わってくるのだろうが、反対説も認めたうえで、やはり教育に競争はよくないということを立証すればよいのに、と思う。 なお、左派の学者のかたはフィンランドなどの北欧諸国の教育制度を見習うべきだと主張する場、人口や経済水準、社会体制の違い(北欧諸国は伝統的な社会民主主義諸国である)があることから、額面通りに比較することはできないのではないかと思う。 (2010年4月22日 大学院生)
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