みだら畑で抱きしめて の商品レビュー
主人公を取り巻く人間模様が上手く描かれている
【世李子】 33歳の人妻。農業に開眼した夫に着いて来た人 【初美】 30歳のOL。憂いを湛えた旅行中の人 【ちあき】 25歳(あるいは26歳)の教師。天然マイペースで結構自由な人 【美佐江】 38歳のキャリアウーマン。居丈高で印象の悪さには理由がある人 【眞美】 20歳の...
【世李子】 33歳の人妻。農業に開眼した夫に着いて来た人 【初美】 30歳のOL。憂いを湛えた旅行中の人 【ちあき】 25歳(あるいは26歳)の教師。天然マイペースで結構自由な人 【美佐江】 38歳のキャリアウーマン。居丈高で印象の悪さには理由がある人 【眞美】 20歳の町役場受付嬢。幼馴染みならではの不憫さが最後に報われる生娘 全5章立てで5人ヒロイン。基本的に1章1人ずつなので、ヒロイン当たりの情交場面が淡泊になるのは否めないものの、その密度は意外にも低くなく、青空セックスから主人公宅の離れに人妻宅の寝室、果ては滝に打たれながらだったり大木に体を預けてだったりブルーシートを広げてだったりとシチュエーション&バリエーションも豊富である。 しかし、何より物語がよく出来ている。訳あって大学を中退して農業を継ぐことになった主人公の東京への未練、何かやり残したことがあるような、ぼんやりした不安を描く序盤から、夫に連れて来られた都会的な世李子や傷心旅行の初美に同胞的感覚を得る中盤、ほんわかしながらも唯我独尊なちあきに翻弄されたり、高圧的な態度の美佐江(裏属性あり)に違和感を得たりする終盤を経て、最終的には眞美とのちょっとした過去を乗り越えて結ばれ、安らぎのある田舎にも思いを傾けていくまでの心情が上手に描かれている。 かなりの超展開ながらユニークな面白さで作品の明るい部分をも担っていたちあきだったり、逆に切ない一夜を初美と過ごしたりと、いろいろ情感のある交わりが描かれており、最後に一役買った世李子の豹変から、一途で健気な想いを真正面からぶつける眞美と結ばれる場面などはちょっと感動的ですらあった。こうした人間模様の描き方が優れている。
DSK
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