「清張」を乗る の商品レビュー
なかなかユニイクな企画ですな。 わたくしも清張作品は大好きであります。反骨精神を保持しながらも、読者にご馳走を提供しませうといふ娯楽作品に徹する姿勢は、物書きの鑑ではないでせうか。 本書は、その清張作品に登場する鉄道の場面に絞つて論じたものです。原著のみならず、映画化作品につい...
なかなかユニイクな企画ですな。 わたくしも清張作品は大好きであります。反骨精神を保持しながらも、読者にご馳走を提供しませうといふ娯楽作品に徹する姿勢は、物書きの鑑ではないでせうか。 本書は、その清張作品に登場する鉄道の場面に絞つて論じたものです。原著のみならず、映画化作品についても言及してゐます。 サブタイトルにもありますやうに、その主要作品は昭和30年代に集中してゐるのです。 テツと呼ばれる方々は、昭和30年代は鉄道の黄金時代だつたと何かにつけて仰います。 確かに当時の時刻表復刻版なんかを見ますと、相当の充実ぶりであります。涎が出さうですね。 しかしその実態は、清張作品(及びその映画)を見ますとあまり乗客本位になつてはゐませんね。快適な旅とは程遠く、難行苦行にすら見えます。 何しろ当時の国鉄といへば、駅まで足を運べば列車に乗せてやらんでもない、といふくらゐの横柄さ。航空機がまだ高嶺の花で、自家用車を持つ人もほんの一握りだつた時代だけに、庶民は外に選択肢がなかつたのであります。国鉄はこれに胡坐をかいたと申せませう。そのツケがどのやうにまわつたか、それは皆様の記憶に新しいことと存じます。 それはともかく、文学作品の鉄道場面をなぞる旅といふのは面白い。もつとこの種の企画はあつても良いなと思ひます。少なくともわたくしには、廃線跡などよりも興味深い。 清張ファン、テツの人々共にどうぞ。 http://ameblo.jp/genjigawa/entry-11341216800.html
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昭和30年代の国鉄を中心とした鉄道の様子が、松本清張の小説には描かれていた。当時と現在の様子を紹介する一冊。「砂の器」は、中央線ではなく、島根県の木次線が取り上げられている。
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