火星に生命はいるか の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
この本は、主にバイキング探査機による火星の生命探査と火星から飛来した隕石ALH84001について書かれています。 後者は言わずと知れた、生命の痕跡らしきものが発見されたと騒がれた隕石です。 著者は生命化学者。 天文学や惑星科学の視点ではなく、生命科学の視点から火星について書かれた本はあまり多くなく、新鮮です。 発行が1998年ですから、 マーズ・パスファインダー以降の火星探査の成果には触れられていません。 とはいえ、内容が古いわけではありません。 バイキングやALH84001は今でも重要なトピックです。 著者は火星探査の最前線に加わっていたこともあり、 非常に熱気が伝わってくる文章です。 かつ、バイキング探査については自己批判や問題点も含めしっかり詳述されています。 終章では、ALH84001ような不確定性を持つ、 しかも人類の宇宙観に大きな影響を与える科学的成果を発表することに対する問題を、 裁判劇風に描いて提示しています。 古本でしか手に入らないかもしれませんが、 ぜひ読んで欲しい一冊です。
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