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ソシュールの思想 の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2013/08/06

前半はソシュールの生い立ち。後半はソシュールの思想、考え方などについての説明、考察です。 ソシュールについては初めてこの本で触れましたが、まず考え方がとても合理的。ソシュールがもしも後世に論文を残していれば、もっともっと著名な学者として名を遺したことでしょう。 そう思わせてくれる...

前半はソシュールの生い立ち。後半はソシュールの思想、考え方などについての説明、考察です。 ソシュールについては初めてこの本で触れましたが、まず考え方がとても合理的。ソシュールがもしも後世に論文を残していれば、もっともっと著名な学者として名を遺したことでしょう。 そう思わせてくれるソシュールの理論についての解説が書かれています。 ただし、理解するまでに時間がかかる思想だと思います。とっかかりがつかめればとても納得がいきます。しかし、つかむまでが私は長かった…! 福祉の考え方でナラティブアプローチというものがありますが、その考え方をご存知の方はもうちょっとわかりやすいかもしれません。 『真実はいつもひとつ』と言っている某小学生探偵がいますが、ソシュールは違います。 『真実は人の数だけある』と私はこの本を読んで捉えました。 物事、それそのものに意味はありません。意味をつけるのは、それを感じ取った私たち自身です。 これまで得てきた経験が誰しも違います。その分だけ考え方、捉え方があります。過去の思い出に、今ある現状に、意味をつけているのは私たち自身であるのだということを教えてくれた本でした。 言語学学者による考え方の解説本ですが、考え方にかなり応用がききます。それこそ、今はやりの自己啓発にまさに当てはまることでしょう。大変有意義に頭を悩ませることができました。 ぶっちゃけて言いましょう。一回読んでも意味わからんです。一気に読んでなんとなく意味が分かります。おそらく本当に理解するためにはもっと読み込むことが必要でしょう。私にとっては大変難しく、しかし、興味深い本でした。

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2013/02/24

これまでどうにも解らなかったシーニェ、シニフィアンのシーニュ理論が、ボンクラな私の頭でもわかったような気になれる。有難い本です。 丸山圭三郎先生のソシュールの思想に対する敬愛(エロス)が強く感じられる素晴らしい本です。 先生ご自身の奥底から出る問題意識によって言葉のわけわから...

これまでどうにも解らなかったシーニェ、シニフィアンのシーニュ理論が、ボンクラな私の頭でもわかったような気になれる。有難い本です。 丸山圭三郎先生のソシュールの思想に対する敬愛(エロス)が強く感じられる素晴らしい本です。 先生ご自身の奥底から出る問題意識によって言葉のわけわからなさや恐ろしさに迫られているため、私が長い間抱いてきた言葉に対する不信が氷解しました。 是非「まえがき」だけでも読まれることをお薦めします。

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2009/10/07

ソシュールにとって言語は、(1)社会的産物であると同時に歴史的産物である。(2)人為、文化の産物、恣意的価値体系である。というこの2つからなると考えていた。 ・コトバがあってはじめて概念が生まれる。 ・シーニュに1つの機能、1つの価値を与えることが可能となるのは記号感の差異によ...

ソシュールにとって言語は、(1)社会的産物であると同時に歴史的産物である。(2)人為、文化の産物、恣意的価値体系である。というこの2つからなると考えていた。 ・コトバがあってはじめて概念が生まれる。 ・シーニュに1つの機能、1つの価値を与えることが可能となるのは記号感の差異によってのみである。 『個は全体があって初めて存在し、価値を生ずる。(p290)』これは主知主義や経験主義に反対する思想となり、この考え方を別な分野に持ち込んだのがレヴィ=ストロースなどの構造主義者となる。 ただ、この本の中で一番気になったのは、「言葉は人間に個性を与えたが、同時に個性を奪った。一つの言葉が他人に理解されることで、複雑な生活様式を与えられたであろうが、文化を得た代わりに、真実は失ったかもしれない。」(川端康成『新文章読本』)という引用が一番気になった。

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2009/10/04

素晴らしい!!もちろんソシュールの概念を描ききっているところも、それを初心者にもわかりやすく書いているところも素晴らしいけど、なにより、著者自身の考えがソシュールの概念と混ざり合って一つの解答を示してくれる。そして、なによりソシュールのラングというどちらかという非人間的でそこから...

素晴らしい!!もちろんソシュールの概念を描ききっているところも、それを初心者にもわかりやすく書いているところも素晴らしいけど、なにより、著者自身の考えがソシュールの概念と混ざり合って一つの解答を示してくれる。そして、なによりソシュールのラングというどちらかという非人間的でそこから抜け出すことのできない、閉塞感と絶望感を示すのに対してのパロールという彼の解答、ラングの中から意味をつむぎだしそれを突き破るという、自分たちのあるべき道を示しているところで、この本は単純な言語学、哲学の本ではなく、人はどうあるべきかを示した思想書だといえるだろう。

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