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岩波 新・哲学講義(7) の商品レビュー

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2022/06/06

法哲学や政治哲学は純粋な「哲学」ではなく「思想」であり、この巻は「不純」である。と責任編集者の井上達夫が冒頭で自虐的に述べている。という意味では哲学シリーズモノとしては異色の巻であると言えるのかもしれない。 興味深いのはセミナー3の「情報革命」と権力(廣瀬克哉)の箇所。所謂「IT...

法哲学や政治哲学は純粋な「哲学」ではなく「思想」であり、この巻は「不純」である。と責任編集者の井上達夫が冒頭で自虐的に述べている。という意味では哲学シリーズモノとしては異色の巻であると言えるのかもしれない。 興味深いのはセミナー3の「情報革命」と権力(廣瀬克哉)の箇所。所謂「IT政治」がテーマであり、98年刊なので少々古く感じる部分もある。しかしながら、ここで述べられている「覇権化・アナーキー化・民主化の相剋」については、現代においてはパンデミックによる監視社会やテクノソリューショニズム、GAFAの台頭、SNSの発展に伴うネット世論の形成等々の新たな様相を見せており、さらに問題が複雑化しているように思われる。よって、政治思想的には今後さらに研究が重要視されるテーマと言えるだろう。ただし、やってる人はあまり居なさそうではあるが。

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2017/11/30

井上達夫の誌上講義では、リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムの間の論争を参照しながら、国家、市場、共同体の三者間の適切なバランスを実現することをめざすべきだとする考えが示されます。また、三者のうちの一つが突出する、全体主義、資本主義、共同体主義などの専制形態を概観...

井上達夫の誌上講義では、リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムの間の論争を参照しながら、国家、市場、共同体の三者間の適切なバランスを実現することをめざすべきだとする考えが示されます。また、三者のうちの一つが突出する、全体主義、資本主義、共同体主義などの専制形態を概観し、それぞれが抱えることになる問題について考察をおこなっています。結論はやや微温的な印象があるものの、とりあげられている問題への切り込みは鋭く、興味深く読みました。 続く四つのセミナーは、嶋津格、杉田敦、廣瀬克哉、森村進の四人が担当しています。嶋津の論考では、トマス・モア、エンゲルス、ノージックの「ユートピア」論が取り上げられ、杉田は政治的アイデンティティに関する問題にポストモダンの視点から切り込んでいます。また廣瀬は、インターネット空間における秩序について考察をおこない、森村はアナルコ・キャピタリズムの有効性を主張しています。

Posted byブクログ