バスチーユ回想 の商品レビュー
一八世紀きっての戦闘的ジャーナリスト、シモン・ニコラ・アンリ・ランゲの著名なパンフレットの翻訳。封印令状によって裁判を受けることもできずにバスチーユに収監されたこと、この監獄が極めて劣悪な環境であること、などを告発することによって、バスチーユをフランスの専制の象徴とし、最後にこの...
一八世紀きっての戦闘的ジャーナリスト、シモン・ニコラ・アンリ・ランゲの著名なパンフレットの翻訳。封印令状によって裁判を受けることもできずにバスチーユに収監されたこと、この監獄が極めて劣悪な環境であること、などを告発することによって、バスチーユをフランスの専制の象徴とし、最後にこの監獄の破壊を主張する。一七八九年に果たして実際にバスチーユが破壊されたことを思えば、このパンフレットの歴史的意義は計り知れないものがあろう。とはいえ、訴訟手続はともかくとして、バスチーユがランゲが記述するほど劣悪な環境だったわけではないことは、訳注でも触れられている。バスチーユの実態の研究とバスチーユが専制の象徴と化していくプロセスの研究、どちらも踏まえればよりこのパンフレットを玩味できるだろう。
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