亥ノ子の誘拐 の商品レビュー
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徳川家斉と松平定信の大御所時代。盲目の大学者、塙保己一が謎解き。これって時代ミステリ、かな。南町の根岸鎮衛(「耳袋」の筆者)と親交があったとは初耳。 この手の話にしては実在の人物の割合が多いので、作者は敢えての縛りを課してる模様。その分、地味目だけど、頓狂な感が少なく、地に足がついてる感じで、安心して読める。
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盲目の大学者・塙保己一(はなわほきいち)を探偵役にした、連作形式の捕物小説。友人として、南町奉行の根岸肥前守鎮衛や狂歌の大田南畝らが登場する。保己一が取り組んで『群書類従』編纂・刊行プロジェクトの様子も作中に描かれていて興味深い。 「観音参りの女」 塙保己一は、根岸の里に古くか...
盲目の大学者・塙保己一(はなわほきいち)を探偵役にした、連作形式の捕物小説。友人として、南町奉行の根岸肥前守鎮衛や狂歌の大田南畝らが登場する。保己一が取り組んで『群書類従』編纂・刊行プロジェクトの様子も作中に描かれていて興味深い。 「観音参りの女」 塙保己一は、根岸の里に古くからの友人である、木綿問屋の隠居・河田屋善右衛門を訪ねた。そこで、近所で起きた七日前の火事で、若い母親と赤子が逃げ遅れた事件の話を聞く。火が出たのは榊屋藤兵衛という日本橋呉服町で大店を構える者の隠居所で、藤兵衛と一緒に暮らしていたお初という二十六になる女と、生まれて一年足らずの赤子が焼け死んだという…。 「五月雨の香り」 保己一の門弟の吉田作右衛門は、史料収集のために派遣された川越からの戻りに、板橋の近くで二人組の強盗に襲われて難儀なところを、元川越藩士の刈谷左兵衛に助けられた。その半月後、左兵衛は、亡くなった妻の死の謎を探るために、「五月雨」という香のことを尋ねるために、本所の惣録屋敷を訪ねた…。 「亥ノ子の誘拐」 十月初めの亥の子の日に、吉原の妓楼の一粒種が誘拐され、身代金二百両が取られたうえに、子どもは大川に投げ込まれて死んだという。この誘拐劇はなぜ起きたのか、保己一の推理が冴える。
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