新古今集新論-二十一世紀に生きる詩歌- の商品レビュー
わたしのなかで、ときどき起きる和歌ブーム。 わたしは、なんか新古今が好きなんだよね。 というわけで、ちょっと読んでみた。 「新論」というだけあって、かなり切り口が面白い。 普通だったら、新古今のハイライトともいう歌を順番に解説していくとかいう流れになるのだろうが、ここでの...
わたしのなかで、ときどき起きる和歌ブーム。 わたしは、なんか新古今が好きなんだよね。 というわけで、ちょっと読んでみた。 「新論」というだけあって、かなり切り口が面白い。 普通だったら、新古今のハイライトともいう歌を順番に解説していくとかいう流れになるのだろうが、ここでの切り口は、六百番歌合、千五百番歌合。 この2つの歌合から、新古今に選ばれた歌が多いというか、新古今和歌集に収録することを意図して行われた歌合だとのこと。 ここにフォーカスするところで、当時のニューウエイヴだった派閥と万葉集とかを範とする旧来の歌風の人々との対立、論争をとりあげる。そして採用された歌と採用されなかった歌の対比を通じて、新古今の特徴をうかび上がれせていく。 そして、後鳥羽院と定家との確執、そして、後鳥羽院が隠岐に流された後に後鳥羽院が新古今から気に入らない歌を削除して作られた隠岐本新古今。これも、選ばれた歌ではなくて、削除された歌にフォーカスされる。 採用されなかった歌にフォーカスというのが、最後のほうででてくる定家の「見渡せば花も紅葉もなかれけり浦の芦屋の秋の夕暮れ」という歌における「なかりけり」という存在しない存在の議論にも繋がっていて面白い。 あとは、新古今歌人列伝ということで代表的な歌人の紹介がつづくのだが、すごいな〜と思ったのは、式子内親王。 いや〜、この人は歌はすごい。いわゆる新古今調とはかなり異なるストレートなど迫力の表現。なんだけど、それでも実は本歌取りなどの技術も使われたりしていて、ほんと、すごいな〜。ちょっと、そっちも読んでみよう。
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新古今和歌集が出来るまでの前段階の歌会についてとそれぞれの歌人について毒舌を振るっていて題名では想像出来ない面白い本 講義をそのまま文にした感じで読みやすいです
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