人形のBWH の商品レビュー

丸谷才一【著】

2020/11/23

なんちゅうか、ちょっと高尚なゴシップという感じのエッセイ。日本の政治家や新聞記者の話なんかはあんまり関心がないのだが、まあ読まされてしまう。それにしても、エロ話の多いこと！ほんとに好きだね。
・いろいろな替え歌の話
　　支那と言うのに日本でいじる
　　これじゃ満州がたまりませぬ
　陸軍を批判しているようで、実は卑猥な歌だよ。
・方広寺の鐘の「国家安康」の銘は、清韓の確信的な仕業ではなかったか。
・林家木久蔵の電話は痔によくないという説に吉行淳之介が驚いたという話
・南北朝問題のあれこれ
・ミシュランの文章のひどさ
・西園寺公望の若いころの話ー丸谷才一は公望も大好き
・モンパルナスのキキの無毛症をめぐってのレオナルド・フジタやキスリング、マン・レイなどの話ー結構露骨なんだよなあ。
・軍人は嫌いだが、ロンメル将軍だけは気になる。
・中国で書かれた閨房術の本を抜粋して日本語に訳した本が藤原道長に渡り、その愛人の紫式部が読んでいたのではないか。ーこういうことになると、丸谷才一の想像力はいきいきと飛躍するんだよね。源氏物語にもその本のことは生かされていて、浮舟は匂宮のテクニックにやられてしまたんじゃないかと想像している。やれやれ。
・江戸時代には、宮本武蔵より荒木又右衛門の方が格上だった。宮本武蔵が有名になったのは、菊池寛が褒めてからで、菊池の勧めで吉川英治が「宮本武蔵」を書いた。鍵谷の辻の決闘のそもそもの始まりは男色のことから
・犬のおかげでクロマニヨン人は生き延びた。
・千夜一夜物語はなぜ1001なのか。偶数は縁起が悪いとか、千に一を足して多さを強調したとかいろいろ説がある。
・道鏡は巨根でも小心で政治的野心はなかった。

2009/12/29

歴史的仮名遣いがどうにも気になる、といふか好きである。なぜ好きなのかは、自分でもよくわからない。文法的にどう学んでよいのか、そのあたりはさつぱりなので、この丸谷本をテキストにして、その文例から丸暗記的学習を、と決め込んでゐる。メモ書きの分量もずいぶんふえたけど、まだ自在に使へない。悔しい。