実録 神戸芸能社 の商品レビュー
不世出の侠客と謳われた山口組三代目組長 田岡一雄にはもうひとつの顔があった。それは、現在の芸能界の基礎を作ったと言われる興業会社「神戸芸能社」の代表取締役。 戦後復興と歩調を合わすかのように隆盛を遂げ、一時期芸能界を牛耳っていた神戸芸能社。所属タレントは美空ひばりを筆頭に、鶴田...
不世出の侠客と謳われた山口組三代目組長 田岡一雄にはもうひとつの顔があった。それは、現在の芸能界の基礎を作ったと言われる興業会社「神戸芸能社」の代表取締役。 戦後復興と歩調を合わすかのように隆盛を遂げ、一時期芸能界を牛耳っていた神戸芸能社。所属タレントは美空ひばりを筆頭に、鶴田浩二・里見浩太朗・山城新伍・北島三郎・力道山・坂本九・橋幸夫・西郷輝彦…ら、枚挙にいとまなく、卓越したマネジメントぶりを求めてタレントから所属を希望してきたという。 興行はその土地土地において、今も昔も芸能人が様々なイベントを行なう。大相撲の巡業も、興業のひとつ。本来、興業は土地や会場を一時借用して商いを行う。そのために興行主はその土地を仕切っている顔役や地回りのヤクザに筋を通すのが習わし。とはいえ、“仁義”を通したからと言って、必ずしも円滑にいくとは限らない。また、興行主だって、海千山千の山師的な輩が跋扈し、客入りが悪いと言って契約したギャラを渋る者もいる。 そんな荒涼とした戦後の興業界をビジネスチャンスと捉えたのが田岡一雄。具体的なマネジメントとして、 ⑴現場に先乗りする。 ⑵悪質な興行主との間に立ち、話をつける。 ⑶段取りを整える。 ⑷芸能人を駅まで迎え、イベント終了まで立ち会う。 ⑸時にはギャラを立て替えをする。 代紋をチラつかせることで、円滑に興業が開催でき、また培った独自のノウハウをもって一興行屋から芸能プロダクションへとなり、主要都市に支社を置き、西日本エリアの興行権を得るまでの急成長を遂げていく。 ただ、その隆盛も長続きはせず、1964年警視庁は「組織暴力犯罪取締本部」を設置。暴力団の全国一斉取締まり(第一次頂上作戦)を断行。これにより稼ぎ頭の美空ひばりのコンサート会場使用拒否が相次いだり、神戸芸能社は表立っての活動ができなくなっていく。 まぁ、タレントからすれば、ギャラも保証され、安心して芸を披露できる。俳優・歌手・タレントがこぞって所属したのも頷ける話。 本書を読むと、芸能ビジネスに反社会勢力との関わりがいかに根深く巣喰い、そうたやすく断ち切れない関係であることをうかがい知れる一冊。
Posted by
山口組三代目のもう一つの顔について本当によく分かった。こんな時代だからこそ、田岡のような人物がまたれる。
Posted by
山口組の立場から見た芸能社。田岡三代目は魅力ある人だったんだろう。それが、正義かどうかは別にして、、、
Posted by
- 1