偏愛ムラタ美術館 の商品レビュー
村田喜代子さん独自の目線で好きな絵画を語る。 「それらの絵が具体的に小説の題材とか、素材として登場するわけではない」と村田さんは言うが、小説を読みながら、この絵画に出会ってインスピレーションを受けたのだろう、この絵から感じる感覚は小説からも感じる、など繋がるような発見(読者の思い...
村田喜代子さん独自の目線で好きな絵画を語る。 「それらの絵が具体的に小説の題材とか、素材として登場するわけではない」と村田さんは言うが、小説を読みながら、この絵画に出会ってインスピレーションを受けたのだろう、この絵から感じる感覚は小説からも感じる、など繋がるような発見(読者の思い込み?)がまた嬉しい。
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芥川賞作家のムラタさんの偏愛美術エッセイである。 新聞でオススメされていたので手に取った。 ゴッホが模写した日本の浮世絵。 「シュガーレスの花々」と、ムラタさんが評す、ボタニカルアートの数々。 老人ホームで絵画の才能を開花させた82歳の東勝吉は、要介護2の元・木こりだった。 儒者の富岡鉄斎は、富士山の山頂から見た絵画の真ん中に「絶頂」と書き入れた。 河鍋暁斎の『地獄極楽めぐり図』は「人界・仏界が入り混じった奇妙な群像のオーケストラ的絵巻」 素朴派(ナイーブ・アート)と呼ばれるボーシャンの絵の実物を初めて鑑賞したムラタさんは『楽園』を「モノ・マニアと幼児性が合体したボーシャン・ファンタジーの傑作」と書く。 時代ごとの『受胎告知』見比べ。 活火山の昭和新山を噴火中に克明に記録した郵便局員の三松正男。 ルドンの「黒」と、寺山修司の「暗黒」。 清姫の「待って」の無言の声が聞こえるような小林古径の『清姫 日高川』 様々な島の姿を描いて収めた野見山暁治の絵本『しま』は「抽象なのに具象にみえる」という。 その松の絵を見て「これは動くぞ」と思った村山槐多の『松の群』『松と榎』『風景・松』 埋めつくしの構図が特徴の大道あや『しかけ花火』『薬草』『野育ち』などは「空間恐怖」的な心の内奥の強迫観念があったのではないかとムラタさんは推測されている。 フアン・サンチェス・コタンの『マルメロとキャベツとメロンとキュウリ』は「絶対的な透徹感と無時間性は、意味ありげな比喩などはじき飛ばしてしまうからだ。そうなるとただ見つめるしかない。好きな絵ほど永遠に謎を明かせない。」 炭坑で働いていた山本作兵衛の炭坑画は「色数は少ないのに、どこか錦絵のようなあでやかさがある。」 桜井浜江の松の抽象画は「松の木が持っている生命力、瑞々しさ、太さ、幹や枝の捻れ、などが渾然一体となって、松の風車みたいにびゅんびゅん回っている。」 ブールデルの『レダと白鳥』シリーズは「ああでもない、こうでもない、ああもする、こうもする、の交接百態図の天真爛漫のおおらかさが気持ちいい」のだそう。 私は、絵画には全く詳しくないが、ムラタさんの筆にかかると、その絵画の脈動が波打つように感じられる。ページをめくって、どんな絵画が現れるのか、、、こちらの胸も高まった。 読んで、観ると、もう、へえー、ふーんだけでは通り過ぎることが出来なくなるのである。 「芸術というのは引き算みたいだと思う。自然から意図的にいろいろ引いていって、世界を整理する。音楽は世界から目に見えるものと、手に触れるものを引いてしまった。彫刻は世界から言葉や音曲など耳に聞こえるものを引いてしまった。 絵画は耳に聞こえるものと口で伝え得るものを引いてしまった。(略)」p203
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ゴッホに鉄斎、ルドンに暁斎、山本作兵衛……小説家ならではの切り口で内外の名画、珍画、ナイーブ・アートを探訪。驚きと偏愛にまみれつつ、絵と対話する楽しさを開拓します。カラー図版多数。
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なんともおもしろい。 著者、村田喜代子さんの本は、私は読んだことはありません。 でも、読んでみたくなりました。 村田さんの、絵の選び方がまさに偏愛! どの章も、その絵への特別な思いが、自信を持って書かれています。 こんなに自信満々に語られたら、ぜひ、その絵を見たくなりま...
なんともおもしろい。 著者、村田喜代子さんの本は、私は読んだことはありません。 でも、読んでみたくなりました。 村田さんの、絵の選び方がまさに偏愛! どの章も、その絵への特別な思いが、自信を持って書かれています。 こんなに自信満々に語られたら、ぜひ、その絵を見たくなります。 そして、村田さんの持っている、すこぶる、瑞々しい感覚でつづられた小説も読んでみたくなります。 楽しい、時間が過ごせるいい本です。
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河鍋暁斎、ボーシャン、小林古径、大道あや このうちの 一人でも 気になる「絵描き」が いるなら この「本」はお薦め それはそれは 心の底から堪能できる 作者と作品が満載です ぜひ 続編を!!
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