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吉備大臣入唐絵巻 の商品レビュー

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2012/04/19

(2012.04.12読了)(2012.03.30借入) 東京国立博物館で開催中の「ボストン美術館展」で、「吉備大臣入唐絵巻」4巻を見てきたので、この本を借りてきて、読んでみました。 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」 主催:NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社 会場:...

(2012.04.12読了)(2012.03.30借入) 東京国立博物館で開催中の「ボストン美術館展」で、「吉備大臣入唐絵巻」4巻を見てきたので、この本を借りてきて、読んでみました。 特別展「ボストン美術館 日本美術の至宝」 主催:NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社 会場:東京国立博物館 平成館 会期:2012年3月20日(火・祝)~6月10日(日) 吉備真備の生涯について読めるのだろうと期待していたのですが、卑弥呼の話から後白河法皇まで、実に長い時代の話が盛り込まれています。 専門書ではないためでしょうか、何を根拠にそのような話しになってしまうのかは、読みとることができませんでした。ある種のトンデモ本を読まされている感じです。 厳密な論証を望む人には向かないといえます。面白ければ、構わないという人には、著者と一緒に楽しく読める本だろうと思います。 【目次】 プロローグ フィクションかノンフィクションか? 序章 『吉備大臣入唐絵巻』の謎 第一章 絵巻に描かれた弥生時代 「到来楼」の謎 第二章 絵巻に描かれた天平時代 天平の遣唐使たちの苦難 第三章 平安末期を描いた絵巻 後白河法皇は何を伝えたかったのか エピローグ その後の『吉備大臣入唐絵巻』 あとがき 参考文献 ●『吉備大臣入唐絵巻』の制作年代(5頁) 平安時代末期、後白河法皇のサロンにおいて制作された ●『吉備大臣入唐絵巻』の原作(5頁) 平安時代後期の学者、大江匡房が語った説話を筆録して成立した吉備大臣物語(「吉備大臣入唐間事」)に題材を取ったものである。 ●「吉備大臣入唐間事」 はるばる唐に遣わされた吉備大臣が、かの地で「到来楼」という名の高楼に閉じ込められて執拗ないじめに遭いながらも、数々の難題・難問を切り抜けて、ようやく故国日本への帰国を果たすことができた、という入唐冒険譚である。 ●主人公のモデル(5頁) モデルは、天平時代、称徳天皇の時代に右大臣にまで上った吉備真備という人物である。真備は、養老元年(717)に、第八次遣唐使に伴って派遣された留学生の一人として23歳にして入唐し、彼の地で17年間学問を修めた。さらに天平勝宝三年(751)にも、第十次遣唐使の副使に選ばれ、再び唐の都、長安の土を踏んでいる。 ●『吉備大臣入唐絵巻』のあらすじ(23頁) 遣唐使として中国に渡った吉備大臣は、彼の地で「到来楼」という楼に幽閉されて、唐朝から『文選』の知識比べ、囲碁の勝負、『野馬台の詩』の読み下しなど、様々な難題や勝負事を強いられて執拗ないじめに遭う。がしかし、楼に住む鬼の助けを借りながら、これらの勝負にすべて勝ち、最後は自らの智恵をもって計った唐土の日月を封じるという策略が効を奏して、ようやく無事に帰国することができた ●「到来楼」(63頁) 物語の作者は、「到来楼」を物語の中心に据えることで、この物語のメインテーマは弥生時代にあり、吉備大臣物語/絵巻は、天平時代の歴史に埋もれた事件のみならず、卑弥呼をめぐって展開した弥生時代の歴史に埋もれた事件をも語っていることを、読者や閲覧者に訴えていたのである。 ●遣唐使の廃止(165頁) 平安時代に至り、宇多天皇の寛平六年(894)に、菅原道真の建議によって遣唐使は廃止される。廃止の理由は、安史の乱以降、唐朝は衰退期に入り、国内の混乱が続いていたこと、入唐が遣唐使や留学生にとって、もはや学問や知見を深めるといった意義をもたなくなったこと、さらに生還率が低かったことによるとされている。 ●信西(184頁) 信西、俗名藤原通憲は、当時、あの保元の乱の藤原頼長と双璧をなし、当代随一の学者といわれていた人物である。小納言どまりといったように官位が思うようにならず、天養元年(1144)に出家して名を信西と改めている。しかし後白河法皇が天皇となる頃より、にわかに重用されるようになり、1156年の保元の乱では崇徳上皇方を破るのに貢献するのである。後白河院政が開始されると、平清盛と結んで権勢を誇るようになるが、その三年後の平治元年(1159)の平治の乱において、院内でライバル関係にあった藤原信頼によって殺害されている。 ☆関連図書(既読) 「後白河院」井上靖著、新潮文庫、1975.09.30 「清盛」三田誠広著、集英社、2000.12.20 (2012年4月19日・記)

Posted byブクログ

2012/02/19
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源平合戦の時代(あるいは終わってから?)、時の治天の君・後白河法皇の命により作られた『吉備大臣入唐絵巻』。 そこに込められた真意を考察しています。 吉備真備と思われる日本の大臣が、遣唐使として渡った唐で受難し、阿倍仲麻呂と思われる人物の化身である"鬼"と力を合わせて危機を乗り切る物語ですが、それが作られた目的とは? 魏志倭人伝、野馬台詩、日本書紀などから、多面的に考察。 「阿豆那比之罪」(あづないのつみ)というのがキーワードのようです。 一つの物語の中に、邪馬台国、天平時代、遣唐使、そして平家物語の世界と、幾つもの故事が重ねられてるそうですねw これらの故事について知ることができるのはいいですが、ちょっと論理が飛躍し過ぎじゃない?と思う点もしばしば(^O^; ついでに、制作を命じた後白河院は、  「文にあらず、武にもあらず、能もなく、芸もなし」 と、父・鳥羽院から酷評され、また師である藤原信西からも、  「和漢の間比類少なき暗主」 と酷評された、今様狂いでバリバリの俗物でしたが、これだけの物の制作を命じるほど、教養があったの? 源頼朝からも「日ノ本一の大天狗」と評されたトラブルメーカーでしたからねwww 果たして本当にこれら全ての故事が込められているのかどうかは別として、個々の故事について、特に古代日本史について詳しく知ることはできます(^-^) ニン、トン♪

Posted byブクログ