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社会史とは何か の商品レビュー

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2016/03/02

 論文集といってよいのか分かりませんが、読んだ印象ではもっと間口の広い本だと思いました。1章では学問としての社会史の在り方、客観性の在り方に対する考えを表明しており、つづく2章と3章ではそれに従って社会史的な考察をおこなっています。4章はより身近な考察で、随筆といってよいでしょう...

 論文集といってよいのか分かりませんが、読んだ印象ではもっと間口の広い本だと思いました。1章では学問としての社会史の在り方、客観性の在り方に対する考えを表明しており、つづく2章と3章ではそれに従って社会史的な考察をおこなっています。4章はより身近な考察で、随筆といってよいでしょう。  社会史とはいいますが、筆者が描こうとするのは「社会全体」というよりもその社会で生きた「人びと」です。ここに、筆者による社会史の面白さ、そして親しみやすさがあります。とくに、グリム童話のメルヘン的な要素やティル・オイレンシュピーゲルの社会的な背景を考察している論文は、気軽に面白く読めると思います(「民衆本『ウーレンシュピーゲル』を読む」、「メルヘンにみる中世人のこころ」)。  筆者の社会史的な考察を読むことで、そこにある歴史的な断絶が途方もないものだということに気がつきます。これについてもっとも象徴的な考察が「中世へのタイム・マシーン」です。この文章では、ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』を取り上げ、エーコが中世ヨーロッパの修道院を描くために現代的な人間を用意せざるを得なかったということが語られています。中世そのものと、それを再現し、見る我々との断絶を感じる、刺激のある文章でした。

Posted byブクログ

2011/06/29

社会史とは何かという問いに関して集めた論文集のような1冊。正確には論文以外のものも入っています。しかし、社会史がどうあるべきか、ひいては学問がどうあるべきかという点に関して非常に参考になりました。ヨーロッパ中世を私たちの現代に引き付けるその叙述は素晴らしいと思いました。

Posted byブクログ