ゼロから考える経済学 の商品レビュー
(2010/2/23) 副題は「未来のために考えておきたいこと」 このままの経済の考えでは地球が滅びる。ゼロから考え直そうという切り出しで始まったこの経済論文。 その意気込みや葦と思って読み始めたが、読み進めるうちにちょっと違和感、かなり違和感を覚えるところとなった。 支配で...
(2010/2/23) 副題は「未来のために考えておきたいこと」 このままの経済の考えでは地球が滅びる。ゼロから考え直そうという切り出しで始まったこの経済論文。 その意気込みや葦と思って読み始めたが、読み進めるうちにちょっと違和感、かなり違和感を覚えるところとなった。 支配でなく思いやりの経済学(ケアリング・エコノミクス)が必要ととなえ、思いやりに根ざした、人が生きていくために必要な活動が、経済外の活動と捉えられていたと批判。それを替えないと地球が、生命が危ないと訴える。 環境を汚す企業が、環境を元に戻すほうでなく、訴訟にお金をかける。弁護士への支払いがGDPに加算されるのはおかしいという。それは確かにそう。 しかし、具体的な指標の提案は出てこない。 でないと思う。 長期的に地球を考えての活動は数値化できないはず。 この著者に矛盾を感じるのは、男性社会による指標を批判しながら、結局活動の成果を男性が作った社会の指標と堂時限のところに求めていること。そう、著者は女性。 そもそも太古の時代から生活の中心は女性で、女性たちが生命をつないできた。男はDNAの運び屋。福岡伸一さんの本の受け売りだが。女性が中心。それを、腕力を持った男がその社会性でシステムを作り、自分たちに都合のいい指標を用意した。それが世界を支配しているように見えているのが現代。 その指標を女性がほしがっても意味はない。それは男が勝手に作ったもの。 著者がねらう「思いやり」を、男性のシステムの指標に求めても意味はなかろう。 主張はいいのだから、男性による社会システムの概念まで破壊してほしかった。 [目次] 序章 より良い世界のための経済学 第1章 新しい経済学が必要だ 第2章 視野を広げて見る経済システム 第3章 思いやりは金銭的にも利益になる 第4章 経済のダブル・スタンダード 第5章 すべてをつなげて全体像をつくる 第6章 支配の経済システム 第7章 パートナーシップの経済システム 第8章 科学技術、仕事、脱工業化時代 第9章 私たちは誰で、どこにいるのか 第10章 思いやりの革命
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フォトリ8冊目。資本主義も社会主義も無視してきた「生命を維持すること」の価値観を最優先するポスト近代社会、経済の勧め。経済学、gender、思想、歴史認識など、学問の枠を超えて考察、提案がなされ、その意味でもパートナーシップに基づく未来像を示しています。 今の社会、の枠組みの枠中では「ケアワーク」が「愛情」や「神聖さ」で言い含められ、ペイも地位も貶められていることがわかりました。 現在は私が感じる以上に危機的で、パラダイムシフトの日は近いことを予感させてくれます。
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国家規模で短期に大金を稼ぐ方法 「武器、麻薬、偽札」 その対極の考え方「思いやりの経済システム」という価値観 そこが私の琴線に触れた とくに教育をはじめとする子どもに対する投資は 確かに長期間を要するが、「人を育てる風土」こそが 国の発展や成長を促すものという考え方を提唱している また、思いやりを必要とされる女性の仕事 育児、介護、家事等が無償であることについても 女性の社会的地位の正しいあり方について考えさせられる内容 無償で黙って家事、育児に勤しむ女性の仕事を「無償」と考えることは 女性の地位を低くしていないだろうか、と思った かといって男尊女卑の逆流がいいということでは決して無く 誰もがパートナーシップという対等な関係でいこう、「支配」ではなくという本 これが2013年の私のテーマ本 「思いやり」を基盤に築く経済システム これが実現して誰もがお互いやさしくなれるような社会が確率されることを切に願って!
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何かがおかしい経済。 何かがおかしい政治。 何かがおかしい常識。 それを知って、ではどうするのか? その答えの1つの参考になる1冊。
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これまで、社会を考える視点、論点(福祉・教育への投資の重要性、外部不経済、男女関係のあり方など)に、個々には触れてきたけれど、それをどうまとめようかと考えていたところに、この本を紹介された。リーアン・アイスラーさんは、この本で「思いやりの経済」として統合して、分かりやすいビジョン...
これまで、社会を考える視点、論点(福祉・教育への投資の重要性、外部不経済、男女関係のあり方など)に、個々には触れてきたけれど、それをどうまとめようかと考えていたところに、この本を紹介された。リーアン・アイスラーさんは、この本で「思いやりの経済」として統合して、分かりやすいビジョンを提示してくれている。読む価値のある一冊。 企業人、公共セクターの人、市民活動家、アーティスト、教育者、あらゆる人に手にとってほしい。
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Care, Caregivingをキーワードに経済学を再構築しようという意欲的な提案の本。本書を読むときには、最も必要とするものを念頭に読んでほしいという。著者は、思いやりやパートナーシップが大切だと考える。にもかかわらず、これまでの経済学では軽視されてきた、と。 これまで中心...
Care, Caregivingをキーワードに経済学を再構築しようという意欲的な提案の本。本書を読むときには、最も必要とするものを念頭に読んでほしいという。著者は、思いやりやパートナーシップが大切だと考える。にもかかわらず、これまでの経済学では軽視されてきた、と。 これまで中心的に考えられてきた市場経済。しかし、経済には他にも、家庭経済、地域非貨幣経済、不法経済、自然環境経済、政府経済といった分野がある。そして、最も大切な「資本」でもある人を育む場である家庭経済こそが、中心経済であるという。 市場経済はからの反論に対しては思いやりがよく見られる社会のほうが、市場経済にとってもプラスになっていると反論する。 時代の流れの半歩先を行く、もしくは、時代の流れを作り出す思想だ。
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著者は、社会学、法学、経済学、哲学など学んでいるので、偏りのない思想をもっていると思えました。 「私達人間にはこれほど偉大な思いやりと理性と創造性があるのに、なぜ私達の世界では、これほどまでに多くの残酷で無神経な行為や破壊が行われていきたのだろうか?」 からはじまり、 ...
著者は、社会学、法学、経済学、哲学など学んでいるので、偏りのない思想をもっていると思えました。 「私達人間にはこれほど偉大な思いやりと理性と創造性があるのに、なぜ私達の世界では、これほどまでに多くの残酷で無神経な行為や破壊が行われていきたのだろうか?」 からはじまり、 「思いやりや世話をする」という考えの重要性をときながら、 どのように世界を変えていかなといけないのかということをいっています。 論点は、 「支配のシステムからパートナーシップ(思いやり)のシステムへの移行が必要である。」 というところ。 歴史的な事実から、 そして、社会、精神学的に、 支配のシステムが及ぼす数々のマイナスの影響。 そして、パートナーシップのシステムがもたらす、 一国、そして世界的なプラスを説いています。 あらたな経済の見方ができる。 そんな本です。
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