恋愛迷子 の商品レビュー
自分と境遇が近い人が主人公だと、どうしても自分に置き換えて読んでしまいます。なので自分の気持ちと沿わないと強い違和感がありますが、合うところや共感できるところがあると何度も何度も読み返す。この作品はその二つが半々くらいにありました。絶望や虚無というほどではないけれど、幸せな自分が...
自分と境遇が近い人が主人公だと、どうしても自分に置き換えて読んでしまいます。なので自分の気持ちと沿わないと強い違和感がありますが、合うところや共感できるところがあると何度も何度も読み返す。この作品はその二つが半々くらいにありました。絶望や虚無というほどではないけれど、幸せな自分が想像できない。地に足をつけて生きていきたい、このままでは良くないと思っているんだけど行動に移せない。前に進める人、現実を生きられる人にはわからないんだろうなと卑屈に考えてしまうことも多々あるし、一人で過ごす夜には嫌な妄想ばかりが膨らんで消えてしまえたらいいのにと気がついたら呼吸が浅くなっている。この辺の感覚、すごくよく分かるんですよ。自分の心のうちを読まれたかのように。それだけに、ラストの綾乃の原動力になる出来事は弱いかな、と。なんだそれくらいで打破できるのか、と拗ねてしまう。自分と綾乃が別人である以上当たり前なんですけどね。知らないご近所さんと付き合う気持ちを持ってるし。独り暮らしもちゃんと出来てるし。 もうちょっとディープな話を書く作家さんだと思ってたのでちょっと拍子抜けもしましたが、シンプルにまとまっているので読みやすかったです。
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