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他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス の商品レビュー

4.1

9件のお客様レビュー

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2024/05/28

ボリュームのある本で読むのと持ち運ぶのが大変だった。交渉が終わってからの記述は少し言い訳がましく感じたが、最後まで読んで筆者の覚悟を感じた。純粋過ぎて考え込んでしまったのだろうか。そのくらいの覚悟が無いと書けないのかなとも思った。しかし人生一番の仕事だったろうし交渉終了後は引き籠...

ボリュームのある本で読むのと持ち運ぶのが大変だった。交渉が終わってからの記述は少し言い訳がましく感じたが、最後まで読んで筆者の覚悟を感じた。純粋過ぎて考え込んでしまったのだろうか。そのくらいの覚悟が無いと書けないのかなとも思った。しかし人生一番の仕事だったろうし交渉終了後は引き籠ったというのも分かる気がする。繊維の事も重荷だったのだろうな。こういう秘密交渉を任されるのは本当に大変だと改めて感じた。交渉が終了した爽快感はあるのだろうが、誰ともそれを共有出来ないのは辛い。悲しい物語だった。

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2022/06/10

日米最大の 密約 佐藤・ニクソン間沖縄返還の協定が いかにして作られたか。 密約の成立させた 著者が語る 真実です。 スパイ映画?っていうか  こういうドラマとかありそうな 感じの内容でした。 当時を知る人にとっては 沖縄返還はものすごい ニュースだったと思います。 話に聞く...

日米最大の 密約 佐藤・ニクソン間沖縄返還の協定が いかにして作られたか。 密約の成立させた 著者が語る 真実です。 スパイ映画?っていうか  こういうドラマとかありそうな 感じの内容でした。 当時を知る人にとっては 沖縄返還はものすごい ニュースだったと思います。 話に聞くと パスポートが必要だったそうですね。 この返還の裏には 大きな密約が含まれていたにしても、 戦争で取られてしまった 日本の国土である 沖縄が 血を見ないで 返還されたのは 素晴らしい事ですがその代償も大きかったようですね。 今も沖縄では 大きな問題が残っています。 政治的な事や 基地によって経済が大きく関わっていたりするので部外者(本土の人間)の私は 何とも言えませんが、ただ、たまに見かける戦闘機。 この轟音はたまには いいけど、 しょっちゅう聞いていたら 嫌だろうなぁって 思います。 飛行機って 遠くで飛んでいるのを見るのは いいなぁって 思うし、 遠くに行くのに 便利になったけど、 戦闘機とかになると 必要なのかなぁって  思っちゃうのは 平和ボケしているからなのでしょうか。 戦争となると 戦闘機が活躍して  最後には 多くの難民や 悲しみや憎しみが残る。 平和ならば 人はあちこち旅行にいくから 民間機が活躍して 多くの人が 動いて経済も活発になり 多くの人が 豊かに幸せに暮らせる。 同じ飛行機でも 一方は 悲しみや憎しみを 生み出し、 もう一方では 喜びや楽しみを 生み出す。 平和がいいですよね~~~ 本の内容とは 違う感想になっちゃっていますが (あまりにも 内容が濃すぎて・・・) 結果として 核は 嫌ですが  当時は これしかなったのでしょう。 だけど、今は 世界情勢は勿論 日本も変わってきているのだから 沖縄の基地問題など 本土の人間も 他人事としてではなく きちんと考える時なのではないでしょうか。。。。

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2020/01/12

国と人生を賭けた外交交渉が痺れる。普段ワイドショーを通した偏った像しか観ることができない政治家たちとそれを支える専門家たちの矜持と覚悟を知ることができた。 後世に生きる者としては、この交渉はよい影響を残したことが実感できるが当時は国内政治にどれほどの緊張を生んだことであろ...

国と人生を賭けた外交交渉が痺れる。普段ワイドショーを通した偏った像しか観ることができない政治家たちとそれを支える専門家たちの矜持と覚悟を知ることができた。 後世に生きる者としては、この交渉はよい影響を残したことが実感できるが当時は国内政治にどれほどの緊張を生んだことであろうか。 沖縄と交換に核を受け入れるという選択は、理性的に考えれば採択すべき解である。しかし日本という被爆国の、さらには共産国家に同情的なマスコミを抱えていた国では民主的には選択され得ない。その苦しさが密約へと走らせたのではないだろうか。 民主国家or独裁国家と外交の関係についての研究を読みたくなった。

Posted byブクログ

2020/11/15

(内容に比して)ながいっ!記録性を重んじたため、"ときに煩瑣と思われるほど関係当事者の回想録、新聞記事等を引用した場合がある"とのことだが、「ときに」はいらんのじゃないかという位、全編引用大会なのである。それはそれで資料性、記録性を高めるだろうし、臨場感や時代...

(内容に比して)ながいっ!記録性を重んじたため、"ときに煩瑣と思われるほど関係当事者の回想録、新聞記事等を引用した場合がある"とのことだが、「ときに」はいらんのじゃないかという位、全編引用大会なのである。それはそれで資料性、記録性を高めるだろうし、臨場感や時代の空気を伝えてくれる(この辺はワタクシ好み)メリットはある。しかし、似たような文章を繰り返し繰り返し読まされる覚悟は要る。 背負ったタイトルは、もともと陸奥宗光の言葉。読んでみて、こういうタイトルを選択してしまう方なんだなと思う。思いっきり秘密外交かつ二重外交を、なんだかんだ言いいながら推し進めてしまうのである。この押しに少しあやかりたいくらい。 ちょうどアメリカはベトナム戦争真っ只中だったので、「沖縄返してよ」と言うには決して恵まれたタイミングではなかった。アメリカ側、特に軍部には既得権益をみすみす渡したくない気持ちがあった。沖縄に必ずしも核が必要でなくとも「多々ますます弁ず」と言うわけだ。しかし、より大きな絵、すなわち日米両国の政治的な同盟関係の強化、を描いて交渉に臨んだ政府は立派。 この当時の日米関係には今やない緊張感があったのだと思う。まだ左翼に力があった時代と言う事もできる。あまり正面から触れられていないが70年の安保改定も米側にプレッシャーとなっていたのではないか。親米政権がつぶれて米軍基地が維持できなくなることを、ある程度は真剣に心配しているのだ。1968年から1969年と言えばそういう時代であった。それが40年経つと「ルーピー」くらいの話にしかならんのだから、よく言えば日米関係の成熟ではあるが複雑な気持ちだ。 1969年の佐藤-ニクソン会談により1972年の返還が決まったときの沖縄の反応も注意を引く。決して歓迎一色ではなく、核に関する文言が曖昧である点を不審に思い、安保条約は強化されて基地が多く残る状況に前途多難を予想している。それは現時点に至るまで解決されずに引きずったままだ。 ニクソンが沖縄に絡めてきた繊維交渉については著者は思い出すのもイヤという風であるが、沖縄のようなイシューと違って、多くの利害関係者を調整する技術的な側面のある繊維交渉では、秘密交渉スタイルは十分には機能しなかったこともあるのではないか。もともと、著者も、カウンターパートのキッシンジャーも、経済問題に興味が薄いということもあるだろう。

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2017/05/03

「核抜き・本土並み」との公約を掲げ、時の首相・佐藤栄作はアメリカ・ ニクソン政権と交渉に入る。しかし、ヴェトナム戦争が激化するなかで アメリカはどうしても沖縄をアジアへの要石として自由に使用したいと の思惑があった。 当然、表の交渉を担うのは外務省である。そしてもう一つ...

「核抜き・本土並み」との公約を掲げ、時の首相・佐藤栄作はアメリカ・ ニクソン政権と交渉に入る。しかし、ヴェトナム戦争が激化するなかで アメリカはどうしても沖縄をアジアへの要石として自由に使用したいと の思惑があった。 当然、表の交渉を担うのは外務省である。そしてもう一つ、水面下での 日米交渉のチャネルがあった。それを任されたのが政治学者であった 本書の著者、若泉敬である。 圧倒される作品である。2段組み600ページ超という物理的な面だけで はなく、核密約までに至る交渉の過程の緻密な描写にもだ。 「沖縄の祖国復帰が実現しない限り、日本の戦後は終わったとは言え ない」。佐藤栄作の強い思いを実現しようと、アメリカ側の思惑を探る 為とは言え、一民間人がハルペリンやキッシンジャーといった面々と の腹の探り合いをするのだものな。 沖縄返還交渉はアメリカ側にいいように利用されたのではないかと 思う。アメリカにとって施政権がどちらにあるかは必ずしも問題では なかった。基地さえ思い通りに試用できればいいのだから。 だから、「核抜き・本土並み」の「核抜き」に難癖をつける。ニクソンが アメリカ国内で繊維産業の保護を公約としたことに絡めて、繊維問題 を持ち出して来るんだもの。 「有事の際の核の持ち込みやむなし」。ベストとは言えないが、ベター な着地点がここだったのかと思う。 日本政府は、否、長らく続いた自民党政権は密約の存在を否定し続け てきたが、機密解除になりアメリカ公文書館で公開されている文書から は密約が存在したことが明らかになっているし、2009年にはそれまで 存在しないと言われていた核持ち込みと繊維問題について作成した 日米秘密合意議事録が佐藤栄作宅で発見されている。 黒子に徹した若泉敬はその後、研究生活に戻り、政治の世界からは 離れて行った。それでも本書を執筆したのは「歴史への責任感」から だったのだろう。 その責任はあまりにも重かったのではないか。本書の英語版が発行 された後、若泉は自死している。なので、本書は佐藤栄作の密使の 遺書なのかもしれない。 すべての交渉過程を白日に下に晒し、黒子は去った。核密約の現実 をどう受け止め、沖縄の問題を解決するのか。今を生きる人々に残さ れた課題ではないだろうか。

Posted byブクログ

2016/12/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2009年(底本1994年)刊。著者は元京都産業大学教授。  1971年沖縄返還協定締結は戦後史のエポック・メイキングな出来事だが、その陰で日米間の国益(経済も含む)を賭けた鬩ぎ合いを繰り広げていた。  その一端は沖縄米軍基地内の核兵器保持を目指すニクソン政権の思惑と、被爆国として非核三原則を掲げる佐藤栄作政権の思惑とが対峙することに見えるが、そこに高度成長期の日本に対する、米国の(繊維面での)封じ込めが密に絡んできた。  本書は、沖縄返還交渉の中、佐藤首相の個人的密使として苦闘し、密約策定に関与した著者の体験。  そして他の関係人の著作や報道内容とを備に対比させることによって返還交渉の内実を開陳・暴露しようとした書である。  流石なのは、学者らしく、他者の著作等を引用して、交渉の多面性を開陳しようとする姿勢である。これがないと結局、自己の主張を言いっ放しするだけの書に堕してしまい、その検証作業を他人に委ねざるを得なくなってしまう危険がある。  本書はその危険を回避しつつ、所謂「密約」(①核兵器保持密約、②繊維業密約、③借入軍用地の原状回復費他の財政密約の3つ)の中での①②の成立過程を描述。故に史料的価値も十分だ。  他方、本書から浮かび上がるのが、①外交交渉はいかに相手の弱点を先に発見し、其処を突けるか。②①の観点でのニクソン・キッシンジャーラインの強かさ。沖縄返還を受けたいという日本=佐藤らの弱点を存分に突く一方、③①の観点での米の弱点、ベトナム泥沼、米の繊維問題の日本の準備・検討不足(=ニクソン政権の拠り所に対する事前リサーチ不備)が露呈した感じだ。  さらに本書の研究書的叙述の点から言えば、些かの問題点も見受けられる。  すなわち、①事実上、19世紀的植民地支配と同視できる返還前の沖縄に関する情報や意見、彼らの反応を十分叙述しないこと(著者の動きが官邸寄りだからだろうが)。  ②繊維問題に関しての著者自身の検討不足という点だ。交渉当時ならまだしも、本書は事後の書なので、公刊史料からでもよいのでその内実と、自分の交渉経過との関係性をもう少し言及すべきだったように思う。  とはいえ、かれらの沖縄返還交渉過程の生々しさは他書の追随を許さない。「沖縄」を考える上での必読書であることは論を待たないだろう。

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2011/07/01

言わずとしれた、佐藤政権の沖縄返還、核の密約をした若泉敬氏の著作。 ハードカバー版ではなく新装版では軽くなったのだが、それでも単行本631Pは長い。長い著作よりも、短い方がお好みならば「評伝 若泉敬」(新書)の方がよいかもしれない。 内容は、詳細に、核の密約に至る様子が描かれ...

言わずとしれた、佐藤政権の沖縄返還、核の密約をした若泉敬氏の著作。 ハードカバー版ではなく新装版では軽くなったのだが、それでも単行本631Pは長い。長い著作よりも、短い方がお好みならば「評伝 若泉敬」(新書)の方がよいかもしれない。 内容は、詳細に、核の密約に至る様子が描かれており、民主党政権になり核の密約が明らかにされたことで、若泉敬氏の著作の信頼性が確認された。 この交渉により、結果的に沖縄住民を苦しませることになったことに良心の呵責を覚えつつ、日清戦争の外務大臣陸奥宗光の著作の結びにある「これ以外の方法はなかったと信じたい」という言葉を引用してのことである。人は何も望まなくても、自分が人を傷付けることはあり得る。それに対して権力に貪欲になりきれなかった人の悲しさだろうか。 また、新装版の解説を外交ジャーナリスト手島龍一氏がつとめているのも興味深い。

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2011/02/08

若泉敬『他策ナカリシヲ信ゼムト欲スー核密約の真実』 (新装版2009/初刊1994)を読む。 1972年に実現した沖縄返還交渉に当たって、 外務省ルートとは別に 大統領国家安全保障特別補佐官キッシンジャーの カウンターパートを務めた男の残した書である。 本土並みの返還を要求する...

若泉敬『他策ナカリシヲ信ゼムト欲スー核密約の真実』 (新装版2009/初刊1994)を読む。 1972年に実現した沖縄返還交渉に当たって、 外務省ルートとは別に 大統領国家安全保障特別補佐官キッシンジャーの カウンターパートを務めた男の残した書である。 本土並みの返還を要求する日本と 緊急時の核持ち込みを確保したいアメリカの間で、 佐藤総理とニクソン大統領が世紀の大事業実現を図る。 「核密約」は沖縄返還実現のための必要悪だったことを 当事者は誰よりも自覚していた。 その思いが陸奥宗光の書の一節から採った書名となった。 若泉は自らの体験・記録とともに 多くの関係者の証言・回顧を丹念に集め 歴史の証言者たることを望み、本書をしたためる。 が、同時に国家秘密を漏洩した者の責任をとって 英語版刊行を果たした1996年、命を絶つ。 沖縄は依然として基地移転問題の解決がつかず混迷を極めるが、 そもそも戦争で失った領土を外交交渉で回復すること自体、 世界史で希有のことである。 それがどうして実現したか、 本書を読むことで徐々に理解が深まる。 その歴史に密やかに貢献した男の存在を 僕たちは決して軽んじてはならないと思うのだ。 副題の「核密約の真実」は 軽装版刊行時に編集者がつけたと思われる。 民主党への政権交代で騒ぎになった沖縄の核について 本書は歴史の事実とともに日米の考え方のギャップを 克明に記している。 守屋武昌『「普天間」交渉秘録』(2010)とともに 日米関係と沖縄について考えるための必読書。 (文中敬称略)

Posted byブクログ

2010/02/28

なぜこれほど米国に人脈を持っていた国際政治学者がその後論壇で忘れ去られてしまったのだろうか。繊維交渉に関する記述が省略されたことも気になる。一種の奇書と言うべきか。

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