ハーブガーデン の商品レビュー
ちょっと太めで自分に自信が持てない小学5年生の由美。父親は単身赴任中で仕事でいつも帰りが遅い母親と二人暮らし。学校では憧れの花蓮ちゃんに仲良くしてもらうために気を使い、家では子供が自分の生活や仕事上でのハンデになっていると電話で友達に愚痴を言う母親に気を使って、本当の自分の気持ち...
ちょっと太めで自分に自信が持てない小学5年生の由美。父親は単身赴任中で仕事でいつも帰りが遅い母親と二人暮らし。学校では憧れの花蓮ちゃんに仲良くしてもらうために気を使い、家では子供が自分の生活や仕事上でのハンデになっていると電話で友達に愚痴を言う母親に気を使って、本当の自分の気持ちを言えないでいる。ある日塾に行く途中で憧れの雑誌モデルさくらちゃんにそっくりの中学生綾芽さんと出会い、ハーブガーデンに連れて行かれる。学校の友達ともしっくりいっていない由美にとってやがてハーブガーデンが唯一の居場所となり、塾もさぼりがちになる。ある日学校をサボってハーブガーデンをお手伝いしているところを花蓮ちゃんの母親に見つかってしまい、心配して見に来てくれた花蓮ちゃんに、「かわいい花蓮ちゃんには私は似合わないからもう友達でいてくれなくていい」と伝えると、意外にも花蓮ちゃんもいやなことを我慢していることを話し始めて驚く。迎えに来た母親には叱られると思ったら「ごめんね」、と抱きしめられて今までの我慢が吹き飛んだように由美は号泣する。 ハーブガーデンでは何故か本当のことが言える。自分の本当の気持ちを言わないと周りも分かってくれないし、言うことによって見ただけでは分からない相手の本当の気持ちも分かってくる。花蓮ちゃんが本当は由美と一番仲良くしたいと思っていたことも、母親が仕事ではなく由美を一番大事に思ってくれていたことも。 ---------------------------------------------------------------------------------------- ハーブガーデンを通して成長した由美を通して描く小学生の女の子の心理描写が鋭く、ハッピーノートに続いて驚きと感動の読書となりました。
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憧れのアイドルのまねをして、空き地の草原に寝ころんでいた由美は、中学生の綾芽に出会う。アイドルみたいにきれいな綾芽に誘われるまま、連れてこられたのはハーブガーデンの中の小さなカフェ。心が少し痛んでいた由美にとって、そこは逃げ出してこれる場所になった…。 自分に自身が無くて、母親に...
憧れのアイドルのまねをして、空き地の草原に寝ころんでいた由美は、中学生の綾芽に出会う。アイドルみたいにきれいな綾芽に誘われるまま、連れてこられたのはハーブガーデンの中の小さなカフェ。心が少し痛んでいた由美にとって、そこは逃げ出してこれる場所になった…。 自分に自身が無くて、母親に愛されている実感もなくて、友だちともうまくいかない…、草野たきは、そういう女の子を書かせたら絶品。自分が思いこんでいたほど世界も周りの人たちも怖くはないと気付くまでの、ちょっと切ない辛い感じ…、雲が晴れるように壁が取り払われる時の開放感。実に読ませる物語です。
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