経営戦略の思考法 の商品レビュー
一年前に読んだ「組織戦略の考え方」が滅法面白かったので、同じ著者の別の本を読んでみた。 戦略論を概観するのに良かったが、特に第III部戦略思考の実践 中でも以下の三章が重圧だった。 第11章 顧客の声に耳を傾けてはいけないとき 第15章 シナジーの崩壊メカニズム 第17章 組織...
一年前に読んだ「組織戦略の考え方」が滅法面白かったので、同じ著者の別の本を読んでみた。 戦略論を概観するのに良かったが、特に第III部戦略思考の実践 中でも以下の三章が重圧だった。 第11章 顧客の声に耳を傾けてはいけないとき 第15章 シナジーの崩壊メカニズム 第17章 組織暴走の理論 以下、印象深いフレーズ P6 経営戦略に関する考え方を大まかに次の5つに分けて議論を進めていきたい。 (1) 戦略計画(planning) (2) 創発(emergence) (3) ポジショニング(positioning) (4) 経営資源(resources) (5) ゲーム(games) P143 しかし、問題は、戦略観の相違が「戦略の欠如」として認識されてしまうことである。戦略観が違うのであれば対話の相手になりうるが、「戦略がない」のであれば単に軽蔑の対象となり、対話の相手とはならない。対話がなければ、分裂が永続するだけである。それ故、「戦略がない」という誤解を避けるためには、世の中にどのような戦略観があるのかという見取り図が必要であり、その見取り図の中に自分の戦略観を位置づけ、他者の戦略親を位置づけ、互いに相対化する努力が必要であろう。その意味では、一見役に立ちそうにない戦略の学説史的な整理が、実は実務的にも大いに役立つ可能性がある。古びたイメージのつきがちな学説史も意外と役に立つのである。 P232 最終的に顧客に尽くせば尽くすほど、顧客にとっては便利で価値のある存在にはなれても、顧客がいつでも安心して買いたたける相手になっていくことになる。相手に尽くす誠実な起業が、最も相手から搾取されるというのは、随分皮肉な結果である。 P295 「多様性を重視しておけば、危機に直面したときに生き残る選択肢が多いはずだ」という考え方は、いざというときに適切な選択肢に「集中」できる柔軟性を組織が維持している場合にのみ成立するのであって、投資も権力も分散してしまって身動きのとれない組織を作ってしまえばうまくいくはずがない。多様な選択肢をもちつつ、機敏には反応できない組織は、その環境対応の遅さによって淘汰されてしまうのである。 P332 もっと悪いケースで言えば、内向きの合意形成を得意とする「落としどころ感知器」のような人材が評価されて次々と育成されていったり、談合をまとめてくるのが得意な人が評価され、それができるようになることが「大人」になることだと若手が信じているということもあるだろう。いつかは手痛い報復を受けるとしても、何年も、あるいは何十年も、そのシステムの中で人が生きていくという可能性も存在する。
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第1章 経営戦略に関する5つの考え方 p.7 われわれは既存の経営戦略に関する考え方を大まかに次の5つに分けて議論を進めていきたい。 (1)戦略計画 (2)創発 (3)ポジショニング (4)経営資源 (5)ゲーム p.95 企業間の相互作用には、常に競争と協調の両面が存在するということを強調し、一見競争相手のように見える相手にもら協調関係を築ける可能性があることを主張する。 第6章 ゲーム論的アプローチ p.111 ゲーム論的アプローチは、簡単な相互作用ではなく、複雑で長いプロセスを経る相互作用を視野に入れ始めることで、企業間の相互作用のメカニズムを明らかにし、経営戦略に関連する現象に貴重な洞察を与えてきた。その貢献が多数存在し、しかし現時点で最も活発に研究業績が生み出されている領域でもあるために、その貢献を簡単にまとめることが難しい。 第8章 3つの思考法 p.165 (メカニズム解明法に対して、)要因列挙法の問題点は、時間展開あるいは因果関係が圧縮されている点になることがかなり明確になったのではないだろうか。どれが原因で、どれが結果であるのか、ということを意識せずに要因を列挙し、そのままどれが最も差のある要因かをチェックするという思考法は、しばしば間違った結果をもたらす。 第10章 顧客ダイナミクス p.216 顧客が時とともに変わるなど、誰でも知っている常識である。しかし、顧客が年を経て学習を積み重ねるという単純な事実は、ダイナミックな戦略シナリオをうまく創るための土台になっったり、逆にその創出を難しくする予想困難な変化の源泉となったりする。 第15章 シナジーの崩壊メカニズム p.269 シナジーは確かに戦略上きわめて重要な要因である。そもそも戦略を考える意味があるのは、考えずに愚直に実行するより、少しでも戦略を考えて実行した方が効率的・効果的だからである。だから、シナジーを考えることは、戦略に関する最も本質的なことを考えることとと位置付けることができる。 p.270 とりわけ、高度に多角化が進んだ大企業では、まさにシナジー効果が重要である。大規模な多角化企業は、部品の共有化や流通チャネルの同時利用によるコスト節約を達成できたり、多様な技術的アイデアやマーケティング・ノウハウなどを組み合わせて次々に新規のアイデアを生み出せる可能性がある。
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経営戦略という様々な解釈のある言葉を過去の研究の経緯も含め丁寧に説明されている。経営企画部門だけでなく管理職になる人にも広くお勧めできる内容。
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経営戦略に関する理論概観に始まり、「思考法」という切り口をもとに実務家向けの提言を行う、理論/実務の両側面を捉えようとした一冊。 序盤の理論概観は、既知の情報が多かったが、理論発展の経緯及びその背景を事細かく記載しているため、改めて頭の中を再整理する際に読み直したい。後半部(実務側)の肝は、やはり「経営戦略の思考法」としてまとめられた3つの思考法の整理であろう。自らの主張及び他社の主張を精査する際、それらが何れの思考法を基にしたものであり、根拠は十分なのかということを意識していきたい(例;カテゴリー適用法の場合、「高収益のインテルはデバイス事業を営み、自社もデバイス事業を手掛けるため、自社も高収益になるはずだ」等の発想になる。これは例外を探せば簡単に崩れる論理であり、重要なのはなぜインテルが高収益なのか?というメカニズムを解明すること) 以下、印象に残ったポイント ・創発戦略はミドルマネジメントの自由闊達な創意工夫という文脈において、日本企業と整合性が取れていた。一方、「どうすればよいのか」という具体的な示唆に欠け、またHowを突き詰めると戦略計画派との区別が曖昧になるという理論的課題を抱えている(p.52周辺) ・RBVの視点に立つと、戦略は保有しているリソース(モノ)とフィットしている必要がある。一方、戦略を立案/実行する人間には学習能力があり、ヒトと情報は多少アンバランスな状態でも問題はない。むしろ、少しストレッチの効いた目標設定をした方が、結果的にメンバーの学習を促進させ、ダイナミックな成長を加速させることができる場合もある。これが、伊丹氏の「オーバーエクステンション」の論理(p.79周辺) ・経営戦略の思考法は、①カテゴリー適用法➁要因列挙法③メカニズム解明法の3つに分類できる。③は「なぜなぜ」を深堀り、物事の因果関係を解き明かそうとする思考法であり、相対的に時間展開・相互作用・ダイナミクスにフィットするため、筆者はこれを推奨している(p.161周辺) ・人間は実践から学ぶが、ここには幾つかの注意点がある。その1つが、苦労の過剰正当化である。人は苦労/失敗経験を通じて成長するが、中には意味のない苦労/失敗も存在するはずである。因果関係のないところに因果を創作するのではなく、冷静に「次につながる学びは何か」を抽出せねば、誤った方向に自分を導いてしまう可能性がある(p.330)
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各経営戦略を整理され、わかりやすい事例をもとに解説されている。 特に以下の4点が重要だと思われた。 ❶ p243 差別化をチャレンジャーが達成できるようになるためには、少なくともリーダー企業よりも外向きの競争思考の組織を構築していなければならない。 そして、リーダーの組織的問...
各経営戦略を整理され、わかりやすい事例をもとに解説されている。 特に以下の4点が重要だと思われた。 ❶ p243 差別化をチャレンジャーが達成できるようになるためには、少なくともリーダー企業よりも外向きの競争思考の組織を構築していなければならない。 そして、リーダーの組織的問題を捉えて、差別化するタイミングを見計らうこと。 ❷ p325 リアルな小人の相互作用を頭に描き、徹底的に「なぜ」「どうして」と言う問いにこだわりを持って考え抜けば、全てとは言わないまでも暴走と英断の違いを少しでも判断可能なレベルと明確化していく。 埋没費用を正当化の手段に使わないこと。 ❸p29 3×3のSWOT分析により、要因を結びつけて戦略の選択肢を生成する。 ❹p126 5つの戦略論を複眼的に用いていくプロセス
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沼上さん、良いなあ。学者らしい論理を重視した語り口は読んでいてある意味気持ちいい。頭をしっかりと使って読むと、使った分だけ理解が進む気がする。こちらの頑張りに対して決して裏切らない。 戦略論というものはもちろん学問なのだが、優れた戦略論の教科書を読み込むということは、一種のエン...
沼上さん、良いなあ。学者らしい論理を重視した語り口は読んでいてある意味気持ちいい。頭をしっかりと使って読むと、使った分だけ理解が進む気がする。こちらの頑張りに対して決して裏切らない。 戦略論というものはもちろん学問なのだが、優れた戦略論の教科書を読み込むということは、一種のエンターテイメントになるということを改めて認識した。
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一般的には戦略論の概観を掴む際の良本とされているが、まさにその評価通りの本。また経営コンサルタントとして思考する事を求められる身にとっては、コンサルタントとしての思考法を学ぶことができる本。 特に良かったのは下記3つ ①経営戦略を考えていくプロセス126〜127頁 ②メカニズム解...
一般的には戦略論の概観を掴む際の良本とされているが、まさにその評価通りの本。また経営コンサルタントとして思考する事を求められる身にとっては、コンサルタントとしての思考法を学ぶことができる本。 特に良かったのは下記3つ ①経営戦略を考えていくプロセス126〜127頁 ②メカニズム解明法164貢 ③人は実践から学ぶ328頁
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小田さんの「学習する組織入門」の参考文献にあがっていたので、読んでみた。 「経営戦略」論は、昔、いろいろ読んでいたが、ロジカルな分析にもとづく事前の戦略策定の限界があって、結局のところ、RBVとか、創発戦略みたいな話になるんだよね、ということで納得して、それ以上、経営戦略を深め...
小田さんの「学習する組織入門」の参考文献にあがっていたので、読んでみた。 「経営戦略」論は、昔、いろいろ読んでいたが、ロジカルな分析にもとづく事前の戦略策定の限界があって、結局のところ、RBVとか、創発戦略みたいな話になるんだよね、ということで納得して、それ以上、経営戦略を深めようという気持ちにはならなかった。 そういうなかで、久しぶりの「経営戦略論」である。 これが、本当に面白かったな。 第1部が経営戦略論の歴史みたいな感じで、5つの学派にわけて紹介してあるのだが、この切り口が素晴らしい。ミンツバーグの「戦略サファリ」は、10個に分けていたのだが、この5つで十分だし、その位置関係がとても分かりやすい。そして、これが単なる復習におわらず、これまでの戦略論が、時間的な展開とか、相互作用みたいな観点がなかったという話になる。 おお、そうそう、そこに不満をもって、シナリオプランニングとか、システム思考という方向にわたしは興味の方向を変えたんだ。 で、第2部では、いよいよ時間的要素や相互作用を織り込んだ「思考法」。要するに、システム思考なんだけど、通常の因果関係の時間的展開を考えるものに加えて、関係者間の相互作用なども考えるもの。つまり、場と時間をしっかり考える動的な思考法。事例として上がっているのは、結構、単純なものなんだけど、でもそれは後知恵で、そのとき、その場にいた人は、そういうことになかなか気付かないんだよな。 そして、第3部では、第2部の「思考法」をベースに、行動経済学やゲーム理論の成果を取り入れながら、さまざまな経営戦略論の定石的な考えを検証していく。そして、なんで、誰も望まないのに、こんなことになっちゃうのなパターンを読み解いて行く。ほんと、「あるある」です。ある意味、会社でよくある「システム原型」と言ってもいいかも。 これは、ちょっと知らぬ間に「経営戦略論」に、いろいろな進化が起きていそう。しばし、この辺の本を読んでみようと思った。 ちなみに、この本、写真からは分かりにくいけど、装丁が和のテイストもはいった素敵なものです。そういう意味でも、いい感じだな〜。
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マーケティングやファイナンスのような専門性を学ぶことも大事だが、それらの総合した思考法も重要。 その思考法は、戦略と単に言われるものでも5つあり、何も知らないで使っていると間違った方向へ会社は動いていってしまう可能性があることを示唆している。 思考法を学んだからと必ず成功するわけではない。しかし、最悪の事態は防げる。50㌫を60㌫にすることができるかもしれない。 世の中には、間違った考えが浸透している可能性もあるため、それらをゼロから考える機会になる。
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経営戦略を理解するために勧められて読んだが・・・。自分の興味の方向性の問題だと思うので,★の評価は控える。
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