凶悪 の商品レビュー
死刑の実刑判決を受けた受刑者が、別の殺人事件を新潮雑誌記者に話し、記者が裏を取り、記事として報道した。受刑者の証言から計画殺人の主犯の悪徳不動産業者が浮かび上がる。筆者が実録を描いたノンフィクションドキュメント。
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世間に知られていなかった事件を明らかにするため、著者が取材していくノンフィクション。読み応えがあるし、あえて不適切な表現をするけどすごいエンタメ的に書かれていて面白かった。当該人物の「先生」呼びが気味悪さを醸し出しているし、死刑囚の本当の目的は…まだ何か隠しているのでは…という疑...
世間に知られていなかった事件を明らかにするため、著者が取材していくノンフィクション。読み応えがあるし、あえて不適切な表現をするけどすごいエンタメ的に書かれていて面白かった。当該人物の「先生」呼びが気味悪さを醸し出しているし、死刑囚の本当の目的は…まだ何か隠しているのでは…という疑念を抱きながら奇妙な結束で真相に迫っていく複雑な心境もよくわかる。それにしても多額の負債を抱えた人や不動産を持つ孤独な老人に接触して組織的に身ぐるみはがして殺人も厭わない連中がそこかしこに存在しているのだという事が怖すぎる
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面会を繰り返す中で、記者と死刑囚の信頼関係が深まってゆく様は、実話であるがゆえに、心に迫るものがあった。 地道な取材・調査を重ね、ついに巨悪が暴き出されたとき、記者の執念を見せつけられた気がした。
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人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生"と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。 記者は逡巡しながらも、確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪"...
人を殺し、その死を巧みに金に換える“先生"と呼ばれる男がいる──雑誌記者が聞いた驚愕の証言。だが、告発者は元ヤクザで、しかも拘置所に収監中の殺人犯だった。 記者は逡巡しながらも、確信する。告発は本物だ! やがて、元ヤクザと記者の追及は警察を動かし、真の“凶悪"を追い詰めてゆく。白熱の犯罪ドキュメント。
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死刑囚が獄中から、世間では明らかになっていない保険金殺人事件を告発し、それによって新たに関係者が捕らえられ無期懲役の判決が下されたという実話。 そんな展開があるのかという驚き、人間はそんな汚いことができるのかという事件内容へのインパクト、獄中の人間と雑誌記者との交流、いろいろな複...
死刑囚が獄中から、世間では明らかになっていない保険金殺人事件を告発し、それによって新たに関係者が捕らえられ無期懲役の判決が下されたという実話。 そんな展開があるのかという驚き、人間はそんな汚いことができるのかという事件内容へのインパクト、獄中の人間と雑誌記者との交流、いろいろな複雑な感情が読んでいて刺激されるノンフィクション。
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2007年発行の本。 いまはどうなっているのだろう。 ネットで調べればすぐにわかるだろうけど、なんかこわいような、知りたいような。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
死刑囚が明るみになっていない三件の殺人事件を告白する。 まるで映画や小説のような話ですが、2005年に報じられて世間に明るみになった実際にあった事件です。 その残虐な犯行手口と主犯は捕まることなく今も普通に生活を続けているという事実は、世間に大きなインパクトを与えたここと思えますが、実は、この事件について何も覚えていません。 事件関係者の心象はこの本を読めば分かるのですが、この事件に世間がどのような反応を示したのか、その点もとても気になったのに何も覚えていない自分が恨めしい。
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延命目的、復讐心、贖罪。死刑判決を受けた人が、公になっていない 事件を獄中から告発するには、様々な動機があるのだろう。 東京・小菅拘置所に収監されている知人を介して新潮社の編集者に もたらされた情報は、のちに「上申書殺人事件」と呼ばれるように なる事件のきっかけだった。...
延命目的、復讐心、贖罪。死刑判決を受けた人が、公になっていない 事件を獄中から告発するには、様々な動機があるのだろう。 東京・小菅拘置所に収監されている知人を介して新潮社の編集者に もたらされた情報は、のちに「上申書殺人事件」と呼ばれるように なる事件のきっかけだった。 告発を行ったのは元暴力団員。身寄りのない資産家、借金苦に陥った 会社経営者等を殺害し、大金を手にした「先生」と呼ばれる不動産 ブローカーがいる。 最初は懐疑的な思いを抱いた編集者だが、元暴力団員との手紙のやり 取り・面会を通じて得た情報の裏付け取材をするうちに、告発が信頼 に値するものだと感じ、月刊誌「新潮45」に記事を掲載する。 隠され続けて来た事件の内容の酷さに背筋が寒くなると共に、この 不動産ブローカーが係わった事件以外にも日本国内で失踪や自殺・ 病死として片づけられた裏側で、似たような事件が隠匿され続け ているのではないかと感じた。 元暴力団員が告発した事件は3件だが、「上申書殺人事件」として 不動産ブローカーが裁かれたのは事件に関連した会社経営者の家族 が自白した1件のみ。 事件の衝撃もさることながら、雑誌メディアが掲載した記事が警察・ 検察を動かした稀有な例であろうと思う。 「新潮45」が本事件を掲載したのは2005年。「文庫版あとがき」で は雑誌メディアの可能性に紙数を割いている。安倍チルドレンの杉田 水脈議員の論文掲載をきっかけとして休刊してしまった今になってみ れば虚しさが残る。 表に出ていない事件を掘り起したノンフィクションとしては秀逸だし、 各事件の内容が生々しく迫って来る。ただ、時系列が行ったり来たり するのはもう少し整理できなかったかと感じた。
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ただのノンフィクションではなかった。書き手の取材によって、闇に葬られた犯罪を浮き彫りにして犯人を逮捕させるまでに至った力作だ。また実際にこんなドラマのような事件がおきて、公にならないケースがあるのかとぞっとした。
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実際に映画化されたようだが、まさに、ドラマや映画の世界の話。ノンフィクションというのが恐ろしい。 内容が内容なだけに、途中、気分が悪くなりましたが、怖いもの見たさで、最後まで一気に読んでしまいました。 今回、プライドを持った記者の執念で警察を動かし、闇に葬られた事件を明るみ出来た...
実際に映画化されたようだが、まさに、ドラマや映画の世界の話。ノンフィクションというのが恐ろしい。 内容が内容なだけに、途中、気分が悪くなりましたが、怖いもの見たさで、最後まで一気に読んでしまいました。 今回、プライドを持った記者の執念で警察を動かし、闇に葬られた事件を明るみ出来たが、忽然と人が消えたり、タイミングよく人が亡くなるという、人の死を何とも思わない人間が創り出した、今まで知らなかった凶悪な世界が、もしかしたら、この世には沢山存在するのかも知れない。
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