棒の哀しみ の商品レビュー
全くもってハードボイルドな生き様をしていないサラリーマンが読むのも何だか恥ずかしいのですが、いつまでも「ソープに行け!」の人、的な認知をしているのも申し訳ないので、意を決して読んでみました。。 ストーリーとしては、やくざ者がのし上がっていく過程を連作短編で描いたもので、日常とは...
全くもってハードボイルドな生き様をしていないサラリーマンが読むのも何だか恥ずかしいのですが、いつまでも「ソープに行け!」の人、的な認知をしているのも申し訳ないので、意を決して読んでみました。。 ストーリーとしては、やくざ者がのし上がっていく過程を連作短編で描いたもので、日常とはかけ離れた世界だけど、その中の日常と言うべき姿が淡々と描かれています。 まさにハードボイルド小説、二部構成の前半パートは特に荒涼たる記述で、解説にも「一切の心理描写を排した第三者の視点」で書かれているとの記載があります。短編の1つ「砂時計」は舞台で見ても面白そうなミニマムな構成で、「鳩」の公園のシーン等も含めて、場面毎の見せ方の妙を感じました。 読みやすい文章にもかかわらず、読んでいて儚さ、刹那さ、ままならなさをずっしりと感じる。読み終わっても上手く自分の中で消化しきれない、引っ掛かりを感じる作品でした。 ちなみに解説は、ハードボイルドとは何たるかを含めて書かれており、私のような素人としては先に読んだ方が楽しめたかなという感じで、本著の理解を助ける補助線になりました。
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以前、著者のハードボイルドは現代劇になると嘘っぽくなるみたいなことを書いたけど、これはあまり嘘くささがない。やくざの世界という、完全に日常とは離れた世界だからかな。 成功した途端に死の恐怖を感じるとか、代紋take2みたい。
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久しぶりの北方作品である。 その昔、北方謙三の作品はかなり読んだ。 ハードボイルド、強い男になりたかった。 今回の棒の悲しみは、本屋で平積みされていた。 集英社文庫の今月の新刊とある。 裏書を見ると、2009年10月25日 第1刷とある。 しかも久々のハードボイルドと...
久しぶりの北方作品である。 その昔、北方謙三の作品はかなり読んだ。 ハードボイルド、強い男になりたかった。 今回の棒の悲しみは、本屋で平積みされていた。 集英社文庫の今月の新刊とある。 裏書を見ると、2009年10月25日 第1刷とある。 しかも久々のハードボイルドということで、思わず買ってしまった。 話自体は、いつもの如く、こだわりを持つ男の人生を描いているのだが、今回は田中というやくざ者。 組の兄貴分として、親父の跡目を狙うが、外の出されてしまう。 しかし持ち前の才覚で、本家を凌ぐ勢力になる中で、田中の内面をそっけないことばで、書き進める。 しかしどうも文庫化が最近で、実は結構前に世に出されているような感じ。 北方謙三のハードボイルド復活というわけではなさそうだ。 北方節はそのままなのだが、どうもいまひとつ、男の生き様には迫れていないようで、ちょっと期待外れかも・・・
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