30の失敗でわかる日本史 の商品レビュー
失敗と言う切り口から日本史を語る本。筆者の解釈も書かれているので、史実だけでなしに、どうしてこうなったのか、ということがわかりやすく入ってくる。現代にも通じるところもあり、世の中の動きを改めて解釈するきっかけになった。
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タイトル通り、日本史上で失敗とされる事柄を30項目とりあげて解説した本。 著者は東進ハイスクールの講師のため、ピンポイントを的確におさえて、テンポよく流れを説明してくれます。 膨大な長い歴史の説明ではなく、着目箇所の切り取り方式。 まず「日本はなぜ古来よりアミニズムの宗教観に根...
タイトル通り、日本史上で失敗とされる事柄を30項目とりあげて解説した本。 著者は東進ハイスクールの講師のため、ピンポイントを的確におさえて、テンポよく流れを説明してくれます。 膨大な長い歴史の説明ではなく、着目箇所の切り取り方式。 まず「日本はなぜ古来よりアミニズムの宗教観に根ざしているのか」の説明がわかりやすく、すっきりしました。 狭い平野でめまぐるしく気候が変わる日本にいながら、風土や気候に影響されやすい狩猟・採集文化を送ってきた古代日本人。 食料不足の慢性的な飢餓状態の中で、自分たちの生活は自然に左右される、つまり自然に霊力が存在するという考えが誕生したとのことです。 別所で、砂漠など自然環境の厳しい場所では一神教が信奉されてきたと聞きましたが、それとはまた違うベクトルに向かったということでしょうか。 昔は、持統天皇や称徳天皇など、女帝が多かったという印象を持っていましたが、性別におおらかだったわけではなく、あくまで男性天皇が成人するまでのつなぎ的な存在だったと知りました。 また、家康が、春日局の訴えを聞き入れ、出来の良い二番孫ではなく出来の悪い一番孫の家光を三代目跡継ぎにしたのは何故だろうと不思議でしたが、これは長男が家を継ぐべきだということを世間に知らしめるためだったとのこと。 今ではそれが当たり前ですが、当時は感覚が違っており、「天下持ち回り」という下克上を正当化する戦国時代の考え方が主流だったのを変えさせた、画期的な考え方だったようです。 「幕藩体制による幕府の政治に、大名は口出ししないかわり、幕府も諸大名の反省に関知しない」というのが、江戸幕府の不文律であり、この暗黙の協定により、幕藩体制は存続してきたのですが、海外からの開国要求に困った老中が朝廷や諸大名に相談をしたため、そのことが盤石な幕藩体制を崩す要因となり、その後わずか15年で徳川幕府は終焉を迎えたということも知りました。 時代の変化に対応できなくなり、崩れるべくして崩れていった徳川幕府。 遠因がわかると、歴史もわかりやすくなります。 後醍醐天皇の失敗は、彼があまりに学者肌すぎたから、という見方も新鮮。 過ぎてみなければ、歴史の失敗はわからないものですが、まとめられていると時代の分かれ目での判断がその後の歴史を大きく変えていったということがわかり、「歴史は生き物だ」と改めて感じられました。
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