フロム・ヘル(上) の商品レビュー
ずっと前に上巻だけ見つけて買ってみた。本の雰囲気はかっこいいのだが、絵もストーリーもめちゃくちゃ暗い。下巻にはトライしなかった。
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切り裂きジャックにインスパイアされたコミック。 女王陛下と犯人との関係に! 怖くてちょと気持ち悪い。でも読んでしまう。
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以前から、いろんな人の推薦を眼にしてたし、『ウォツチメン』も面白かったので、気になってた作品。ようやく読んだ。 切り裂きジャック事件を題材にしてることと、ジョセフ・メリックが出てくることは、読む前に知ってた。 最初、ちょっと挫折しそうになったけど、事件が動き始めると、俄然面白...
以前から、いろんな人の推薦を眼にしてたし、『ウォツチメン』も面白かったので、気になってた作品。ようやく読んだ。 切り裂きジャック事件を題材にしてることと、ジョセフ・メリックが出てくることは、読む前に知ってた。 最初、ちょっと挫折しそうになったけど、事件が動き始めると、俄然面白くなってきて、一気に最後まで読んでしまった。
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なんたる密度。ページ一面にみっしり描き込まれた絵も、これまでの切り裂きジャック研究やそのほかロンドンの歴史・神話・伝説を渉猟して組み立てられたストーリーも。そこまでやられてもこっちがついていけないという情報量なのだが、叩いてみると身が詰まっていてぜんぜん虚ろな部分が無い手応えが帰...
なんたる密度。ページ一面にみっしり描き込まれた絵も、これまでの切り裂きジャック研究やそのほかロンドンの歴史・神話・伝説を渉猟して組み立てられたストーリーも。そこまでやられてもこっちがついていけないという情報量なのだが、叩いてみると身が詰まっていてぜんぜん虚ろな部分が無い手応えが帰ってくる。 ストーリーにちょっとした仕掛けもあって、そこはお楽しみ。
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複数の方面からの賞賛の声を見て、普段は日本以外のマンガは読まないけど、これは試してみることに。意図的にそうしているのかもしれないけど画一的なコマ割、区別のつかない人物描写(特に女性)、吹き出しの中に詰め込まれた読みにくい字たち。日本のマンガを読み慣れていると、これらの点はかなり辛...
複数の方面からの賞賛の声を見て、普段は日本以外のマンガは読まないけど、これは試してみることに。意図的にそうしているのかもしれないけど画一的なコマ割、区別のつかない人物描写(特に女性)、吹き出しの中に詰め込まれた読みにくい字たち。日本のマンガを読み慣れていると、これらの点はかなり辛い。内容が素晴らしくても、なかなか入り込めないってのが正直なところ。内容も複雑かつ結構難解で、読み返さないと掴みづらいってのもちょっとマイナス。下巻最後に解説がついているのを発見して、それを見ながら読み進めるのが良かったかも。
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アメコミの傑作「WATCHMEN」のアランムーアによる、19世紀末にロンドンで起こった切り裂きジャック事件を題材にしたコミック。 これは「WATCHMEN」を超えるムーアの代表作と言って良いと思う。 物語の密度は濃く、生々しいほどリアルで、それゆえクライマックスのカタルシスは凄ま...
アメコミの傑作「WATCHMEN」のアランムーアによる、19世紀末にロンドンで起こった切り裂きジャック事件を題材にしたコミック。 これは「WATCHMEN」を超えるムーアの代表作と言って良いと思う。 物語の密度は濃く、生々しいほどリアルで、それゆえクライマックスのカタルシスは凄まじい。 これには全編モノクロで描かれているのが素晴らしい効果を与えていて、自らが体験しているような光明溢れる幻視のシーンなどは、カラーではあり得なかったのだなと感じる。 二度読み直したが、いつも以上に物語の情報量が多く、多重的である上、主人公たるガル博士の歴史観や世界観が独特であるので、物語の意味は断片的にしか理解できていない。 しかし、簡単に読み解かれないというのも傑作の証であると思うし、今後何度も読み直すほど感覚を直に揺さぶるものの大きな作品である。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
これも映画化されたアラン・ムーアのグラフィック・ノベル。 ジョニー・デップやヘザー・グラハムが出演した映画公開の頃は、別に映画も悪くないと思っていました。 しかしこの作品を読んでしまうと、 「この原作でなんであんなのが仕上がるねん!」と。 物語は19世紀末、ロンドンの貧民街ホワイトチャペルで起った 「切り裂きジャック」の事件をモチーフにしています。 地理的に忠実に再現したヴィクトリア朝のロンドン、 基本的に実在の登場人物 アラン・ムーアはそれらを使い、魔術的な物語を編みます。 「誰がジャックなのか?」 と言うのは、ここでは全く重きをおかれません。 そんなものは物語の始まり直後に分かります。 読者はムーアの提示する魔術や哲学、建築に隠されたもの、秘密結社などのモチーフに幻惑されるまま読み進めるしかありません。 読みながら思い出すの荒俣宏先生の「帝都物語」。 ロンドンの街での娼婦殺人で古代の神の封印を解こうとするガルは、まさに東京を滅ぼそうとする加藤保憲です。 陰惨な物語です。 誰しもにお勧めできる本ではないのですが、 今まで読んだ事のないような「コミック」が読めます。
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コミックではなく、グラフィックノベル。しかも超重量級。心に余裕がないと読み通せないというか、正月休みにようやく読み通しました。それでも、1回読んだくらいでは、読んだウチに入らないと思います。切り裂きジャックの真相を描く……というより、人間の暗部そのものを描こうという野心がうかがえ...
コミックではなく、グラフィックノベル。しかも超重量級。心に余裕がないと読み通せないというか、正月休みにようやく読み通しました。それでも、1回読んだくらいでは、読んだウチに入らないと思います。切り裂きジャックの真相を描く……というより、人間の暗部そのものを描こうという野心がうかがえます。グラフィックノヴェルという体裁のおかげで、その当時の風俗の圧倒的なリアリティにのけぞります。
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[関連リンク] boooook - 「フロム・ヘル 上」 アラン・ムーア/作 エディ・キャンベル/画 柳下毅一郎/訳 みすず書房 読了。: http://boooook.tumblr.com/post/7080557935
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『脳内の水面下の領域でおこなわれる活動はすべて魔術なのだ。吟唱詩人たちは心の中に浮かぶ言葉を拾い上げ、それを聞く者の心に植えつけ、やがて見事な花を咲かす。あるいは残虐行為・・・(後略)』-『第四章「王は汝に何を求めたるや?」』 もう「昔」と言ってもよいくらい随分前に、札幌の美術...
『脳内の水面下の領域でおこなわれる活動はすべて魔術なのだ。吟唱詩人たちは心の中に浮かぶ言葉を拾い上げ、それを聞く者の心に植えつけ、やがて見事な花を咲かす。あるいは残虐行為・・・(後略)』-『第四章「王は汝に何を求めたるや?」』 もう「昔」と言ってもよいくらい随分前に、札幌の美術館で「ムンク展」を観たことがある。「ムンク」と言えば、だれもがほとんど無思考に「叫び」と返すことができると思うけれど、当時の自分もクイズ番組の回答としての価値しかない程度の知識しか「叫び」に対して持っていなかった。だから、美術館に並べられた画たちを目の当たりにして驚愕した。「叫び」とは、あの余りにも有名な構図の一枚の絵のことではなく、夥しい数の似通った絵画からなる作品群のことだったのだ。ムンク展行きはデートのようなものだったのだが、作品に圧倒されてろくな会話もできずに、ひたすら一枚一枚「叫び」を観て行ったことを、何故か思い出した。 こういう作品を手にしてみると、日本の漫画というのが如何に「動き」を強調したデフォルメや、コマ毎に変わるアングルなどで動画的な様式に裏打ちされているのかが改めて分かったような気になる。反対に、アメコミと呼ばれるらしいジャンルに属するこの作品では、物語の進行上必要なやや説明的と感じてもしまう会話の場面や、一つの場所である程度の時間経過がある場面などで、執拗に同じ構図が繰り返される。その結果、心理的な抑圧が読み手に迫ってくる。よく見ればほんの少しずつ何かが変化しているのだけれど、そうやって意識の虫めがねの倍率を上げて読み進めていると、たちまちに息切れしそうになってしまうのだ。その、視界が極端に狭くなって呼吸が早くなるような心持ちこそ、自分がかつてムンク展で感じたものだったのを思い出したのだ。 そしてもう一つ気付いたのは、日本の劇画と似て非なるタッチの絵は、はげしい動きのある場面でも、どこか静止しているようだということ。動きにつれてポーズは変わりはするものの、そこに描かれた人物や物は、凍りついたように見えてしまう。実はムンクの「叫び」のあの人物も、今にも叫び声が聞こえてきそうに描かれていながら動きの気配がない、とも言えるように思うのである。そこにもまた「フロム・ヘル」と「叫び」の間で呼応するものがあるように自分の脳は反応している。 コミックスとは言いながら、この上下分冊の大部の作品はいわゆる漫画を読むというような「眺める」と言ってもよい速度感とは無縁の、純粋な意味での「読書」を強いる。しかもかなり重圧的な感覚を伴う読書である。切り裂きジャックをモチーフにしてはいるけれど、ここに注ぎ込まれている歴史的記述や宗教的・哲学的記述を丹念に追っていると、謎解きの妙などは副次的にすら思えてくる。社会的な歪みと人間の精神の歪み。それは英国のこの時代だけが抱えていた問題ではない。多分に現代的問題でもあり、実のところ現代的とはすなわち常に繰り返される陳腐な問題でもある、というメッセージがひたひたと迫ってくる。内容といい、絵といい、これを読んで悪夢にうなされても、少しも不思議ではない。
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