百鼠 の商品レビュー
百鼠、雲の上の不思議な世界 視界全てが雲で埋め尽くされた中に立ち尽くした事がある。一寸先闇といった絶望感満載の中にいると、空気の流れや、光の流れがよくわかる。ひとつひとつの粒子が無数に集まっている。イリヤの言うようにさまざまな白ではなく、いくつもの色を隠し持った無限の鼠色だったの...
百鼠、雲の上の不思議な世界 視界全てが雲で埋め尽くされた中に立ち尽くした事がある。一寸先闇といった絶望感満載の中にいると、空気の流れや、光の流れがよくわかる。ひとつひとつの粒子が無数に集まっている。イリヤの言うようにさまざまな白ではなく、いくつもの色を隠し持った無限の鼠色だったのかと、ふと思い出した。 「この雲の中に全てが含まれているのを知っていたから‥その全てとはそれはつまり無数の一人称のことではなかったか」
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いつもとはまた少し違う風味の吉田篤弘ワールドだったな・・・摩訶不思議スパイス気持ち多めで、ちょっと湿り気がある・・・???何だろう・・・・・・。
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しっかりとした文学、という佇まい。 吉田氏の文章には、やっぱり何かある。 全体的に不思議な空気感が漂う。 氏の、長大な作品というのも読んでみたいなー。
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いつもながらの吉田節。長編小説?の第一章だけを三編まとめてある。(あとがきに詳しい経緯) 最初の「一角獣」が個人的には気に入った。6歳の主人公と大人になった主人公の邂逅。6歳の主人公が、大人の自分に語る言葉が胸に突き刺さる。
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どれもこれもこれで終わり?と思っていたら、あとがきですべて納得させられたw 偽りのない3つの始まりの物語。やはり百鼠ですかね。黒パン食べたい。
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百鼠を読みたくなって、再読。 こんな話だったけ?と驚いた。 残っていた印象よりも、 希望があった。 百鼠が、鼠色の種類であることも 忘れていた。 現実にありえそうもないのに、 なつかしいまちが、いい。
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表題の「百鼠」が特に良かった。雲の美しさが目に浮かぶようだったし、世界観に惹かれた。なんとなく「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」を彷彿とさせた。 また読みたい。 2014/12/4
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再読。 小説における人称の重要性。これまであまり意識したことがなかったが、「圏外へ」を読んで、物語る主体が誰なのかは、物語のすべてに関わる大切な事柄であることに気づかされた。 「百鼠」はそれ自体がテーマとなっているが、他の物語もまた、作家の立ち位置に思いを馳せると、微妙な揺ら...
再読。 小説における人称の重要性。これまであまり意識したことがなかったが、「圏外へ」を読んで、物語る主体が誰なのかは、物語のすべてに関わる大切な事柄であることに気づかされた。 「百鼠」はそれ自体がテーマとなっているが、他の物語もまた、作家の立ち位置に思いを馳せると、微妙な揺らぎが体感されて、また心地よい。 吉田篤弘の小説は、どれも作家自身の存在を肌に感じてしまう。錯覚かもしれないが。そうして何だか、自分も書きたくなってしまう。 おそらく書き始めたとたん筆はとまり、神の降臨を待つことになるのだろうが。 ふわふわした読みごこちがとても好き。あらためて吉田篤弘大好き。
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『一角獣』が面白かった。 『百鼠』も独特な世界観が良かったです。 長編になる可能性がある、ってあとがきにあったので長編になったらまた読みたい^^ 小説家に言葉を送る仕事っていぅ発想が面白いな。
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『一角獣』『百鼠』『到来』の3編が収録されているが、どの作品も『長編の第一章』というコンセプトで書かれている。 最初の『一角獣』が一番好きかな。ちょっと内田百間を思い出すような……。
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