「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ の商品レビュー
社会主義・高福祉国家キューバの画期的な政策のあれこれ。 ソ連崩壊、アメリカから輸出規制がかかり資源なく狭い国土でどう農業を営むか、住宅不足解消へコミュニティ化する大工、建主、地域など。 社会主義の弊害も示しつつ(ガチガチの官僚制で決定がおそい、など)現場の力でだんだんと改善され...
社会主義・高福祉国家キューバの画期的な政策のあれこれ。 ソ連崩壊、アメリカから輸出規制がかかり資源なく狭い国土でどう農業を営むか、住宅不足解消へコミュニティ化する大工、建主、地域など。 社会主義の弊害も示しつつ(ガチガチの官僚制で決定がおそい、など)現場の力でだんだんと改善されていっている、しかし問題は山積み。 赤とかそういうわけではないが、興味深い。結局地球にも優しくて低エネルギー経済効率よいなのは有機栽培なんだよとか。
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「防災コミュニティ(自治体研究社)」の中で、キューバは災害対策が進んでいるという記述があった。本書はその根拠となる文献である。時間がある時に読んでみたいと思う。
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▼吉田太郎『「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ』築地書館 『地球を救う新世紀農業』がおもしろかったので、新しいほうからさかのぼって吉田太郎さんの本をまた借りてきて読んでみる。これまで、吉田さんのキューバ・リポートは複数出ているそうだが、「キューバすごい、キューバいい...
▼吉田太郎『「没落先進国」キューバを日本が手本にしたいわけ』築地書館 『地球を救う新世紀農業』がおもしろかったので、新しいほうからさかのぼって吉田太郎さんの本をまた借りてきて読んでみる。これまで、吉田さんのキューバ・リポートは複数出ているそうだが、「キューバすごい、キューバいいぞ」風のものが多かったようだ。それに対して、この本では「影の部分もリポートした」と、その思いの一端をあとがきに書いている。 ▼過剰な期待に胸を膨らませるほど失望も大きい。頭に描いた理想像と実物との落差に欠点も目につき、可愛さ余って憎さ百倍。そのいい部分すら見えなくなってしまうのはあまりに惜しいし、その責任の一端は著者の一連の著作にもある。そこで、反省の意も込めて、今回は住宅や食料不足、非効率な官僚制度と広がる格差に重点を絞った取材を行った。 だが、度重なる巨大ハリケーンの襲来で甚大な物的被害を受けながらも、死傷者がほとんど出ず、被災者も路頭に迷わない。目を覆わんばかりの物質的な困窮にもかかわらず、悲惨な境遇に置かれた人は予想外に少なく、多くが亡命することなく幸せそうに生きている。やはり、今後の日本が参考にしてもよいひとつのモデルではないのか。その実感は、マイナス面の取材を重ねるにつれてむしろ強まった。(p.298) 経済成長をしなければ豊かになれないという強迫観念はもういらない。優雅でスマートであれば没落した方が、むしろ、幸せになれるのだ。質素であってもビンボー臭くないこの小さな国から、ささやかな希望を見出していただければ、本書はその役割を果たしたといえるだろう。 (p.303) つまり、「モノは貧しくとも貧困なきキューバ」が、これからの質素な社会に向けた"縮退"先進国だと、吉田さんは発想の転換を言っているのである。 教育のこと、住民参加のこと、文化のこと、街づくりのこと…「子どもたちは幸せになるために生まれてくる」という国に、もちろん影の部分、格差やモノの貧しさはあるけれど、選挙前の「成長こそがナントカ」式の主張を耳にすることの多かったこの時期に、キューバのことを知って、少しは気が晴れた。 楽しく幸せに没落していく方向を、どう探しても、各党・各候補者の主張に見出せないことは残念至極で、選挙公報やら選挙ビラを丹念に読んでみても、見えてくるのは、暗ーく不幸せに没落していく方向のような気がするのだった。 「成長こそがナントカ」って、ホンマに、みんな思ってるのであろうか。
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日本とキューバ、アメリカとロシアの2大超大国ののど元に位置する地政学的な類似以外にも、興味深い類似点を指摘している。けれども、初めのほうは引き付けられたが途中から中だるみの感は否めない。
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