耽溺れる… の商品レビュー
調教が続くだけの後半にもう一捻り欲しい
マドンナメイト文庫でデビューした作家の次作がフランス書院文庫というのはかなり珍しいのではなかろうか。33歳の義母とその娘(義妹)16歳を調教する悪魔主人公(義息)18歳の開発・調教話である。義母や義妹の心情描写を主軸に書かれているので、女から牝に堕ちていく過程が被虐的である。亡夫...
マドンナメイト文庫でデビューした作家の次作がフランス書院文庫というのはかなり珍しいのではなかろうか。33歳の義母とその娘(義妹)16歳を調教する悪魔主人公(義息)18歳の開発・調教話である。義母や義妹の心情描写を主軸に書かれているので、女から牝に堕ちていく過程が被虐的である。亡夫の葬儀当夜(あらすじには『三日後から』とあるが、序章の章題が『葬儀の夜に』である)にいきなり義息から襲われる冒頭から義母の陥落までの前半は素晴らしい流れ。突然の襲撃で混乱し困惑する義母だが、その秘密の本性が決定的に示された亡父の遺品によって拒絶の手段を絶たれ、好いように扱われてしまう展開が悩ましくも艶めかしい。ところが、この義母の本性によって前半で早くも完堕ちしてしまうため、残念なことに後半があんまり面白くないのである。愉悦に浸るあまり、義息に向かって思わず敬語でおねだりしてしまい、はっと我に帰るような演出もあるのだが、どちらにせよ後半はどうしても義息からの調教が続くだけの展開になってしまっている。途中から娘が堕ちるまでを挿み込んで、しかもそれを義母に見せ付けるような形にして展開に起伏を持たせてはいるが、そもそも主人公にメロメロな娘なので、義母と主人公の関係を知って激しいショックは受けるものの、母と同じ血筋だからと案外あっさり納得してしまい、すぐに母娘揃ってのご奉仕である。最後までなかなか堕ち切らない流れであれば義母の抵抗と拒絶が最後まで描けたように思えて残念である。あと、語尾が『~されるのね』や、『~なのね』ばかりな義母の独白表現にも一工夫が欲しいところ。藤堂慎太郎作品を思い出してしまったのは、ある意味皮肉である。嗜虐的な主人公にかしずく被虐的なヒロインが好物な諸兄にお薦めする。
DSK
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