二つの祖国(三) の商品レビュー
ついに始まった東京裁判。 言語モニターとして、裁判に参加する賢治。 父の見舞いでアメリカに一時戻った賢治は、リトルトウキョーの裏庭に埋めた日本刀を掘り返したことで、日本人としての血が騒ぎ出す。 東京裁判をまとめた巻、読む進めるのに苦労しました。 賢治と梛子のシーンが出てくるとホ...
ついに始まった東京裁判。 言語モニターとして、裁判に参加する賢治。 父の見舞いでアメリカに一時戻った賢治は、リトルトウキョーの裏庭に埋めた日本刀を掘り返したことで、日本人としての血が騒ぎ出す。 東京裁判をまとめた巻、読む進めるのに苦労しました。 賢治と梛子のシーンが出てくるとホッとします。(笑) 梛子とエミーを比べたら、やっぱり梛子よね、と思いますが、エミーはホントに性格的に損をしてるなと…。 彼女に起こった不幸も本人が招いたことでもあり、結果賢治との仲も上手くいかなくなるなんて。 エミーの出方次第で修復するチャンスはあったはずなのにと思います。 いよいよ最終巻。 ドラマで結末は知ってはいるものの、やはり先が気になります。 このまま次巻に進みます。
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ついに始まった、東京裁判。 南京大虐殺や、真珠湾攻撃の真相が、徐々に明かされていく。 日本は、被害国なのか、加害国なのか。 だが、敗戦国なのは、間違いない。 敗戦国が裁かれる未来とは。 その中で、賢治も、己の未来と日本の未来に揺れ動く。
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3巻は東京裁判で通訳の適正をチェックするモニターとしての仕事と、東京裁判の審理が描かれている。まさに’’小説東京裁判’’というべき内容。
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山崎豊子『二つの祖国』新潮文庫 読了。太平洋戦争に翻弄される日系アメリカ人、二世たちの物語。主人公は両国を祖国とするアイデンティティを模索し、苦悩と葛藤を抱えながらも善く生きようとするが、その信念と良心ゆえか虚しい結末を迎える。克明に刻まれる東京裁判は本作の真髄のひとつだと思う。...
山崎豊子『二つの祖国』新潮文庫 読了。太平洋戦争に翻弄される日系アメリカ人、二世たちの物語。主人公は両国を祖国とするアイデンティティを模索し、苦悩と葛藤を抱えながらも善く生きようとするが、その信念と良心ゆえか虚しい結末を迎える。克明に刻まれる東京裁判は本作の真髄のひとつだと思う。 2017/10/18
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戦争が終わり、戦争犯罪人たちを裁いた東京裁判が始まる。 東京裁判のモニター役を任された賢治は、その重圧と家庭や弟との不和から、次第に追い詰められていく。 今までは賢治たち二世の境遇がメインだったが、この巻からは東京裁判の描写にかなりの比重を置かれている。 漠然と「戦犯が国際法で裁かれたものだ」と記憶していたのだが、そんな簡単なものでは無いことを思い知った。 印象に残ったのは、日本側の被告を弁護するアメリカの弁護士である。 アメリカ人でありながら、日本の弁護に全力を尽くし、ともすれば祖国アメリカの正義にも臆せず疑問を呈す姿に感銘を受けた。
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東京裁判前半。 著者の東京裁判史観は正直、どうでもいいが、評価の誤導はいただけない。 確かに、弁護側・検察側の夫々がそれぞれの立証命題を目指して尋問を重ねていくのだが、その立証命題が、公訴事実との関係でどのような意味合いを持っているのか、ここを正しく認識していないので、著者のおかしな評価になっていくのだ。 現実を見るに、返す返すも、交渉打ち切り通告文書の交付が遅れた点、その文面が戦争開始とすら読めない内容であった点が取り返しのつかない過誤ということが良く判る。
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4巻まで読み終えて、アメリカがしたことの酷さ。これをどうして歴史で伝えないのだろうか。人種差別。ナチスよりも酷い行為。無差別殺人が、原子爆弾投下ではなかったのか。日本人の両親から生まれて、アメリカで育ち、アメリカの考え方を受けた2世。両方が祖国。複雑な思い。どちらも大切な国なのに...
4巻まで読み終えて、アメリカがしたことの酷さ。これをどうして歴史で伝えないのだろうか。人種差別。ナチスよりも酷い行為。無差別殺人が、原子爆弾投下ではなかったのか。日本人の両親から生まれて、アメリカで育ち、アメリカの考え方を受けた2世。両方が祖国。複雑な思い。どちらも大切な国なのに。
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やはりさすがという膨大な情報量。戦争を描写する上で偏向的でない表現は難しいのか、賢治の気持ちがあっち行ったりこっち行ったりするのが少し気になると言えば気になる。
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祖国とは何か、の前に、国家とは何か、個人とは何か、人間の尊厳とは何か、という問題に直面する。 国家が国家として秩序を保っている場合、即ち国民個人に利を供する場合に祖国のために報いるという考え方はごく自然であるけれども、そうでない場合にも国民が国家の犠牲となる必然性は理解できない。...
祖国とは何か、の前に、国家とは何か、個人とは何か、人間の尊厳とは何か、という問題に直面する。 国家が国家として秩序を保っている場合、即ち国民個人に利を供する場合に祖国のために報いるという考え方はごく自然であるけれども、そうでない場合にも国民が国家の犠牲となる必然性は理解できない。 かつては個人が何らかの拠り所欲しさから国家の形成と統制を望んだのだろうが、国民個人ではなく国家それ自体の利益や保身や意義すら画策し始めた時点で終わりが始まっている。 しからせば太平洋戦争が終わった時点で、否始まった時から、さらに辿れば近代国家が始まった時点から人類の一部での劣化が始まっている。 そんな深淵雄大な考えをもたらしてくれたことから不朽の名著である。 第四巻が待ち遠しくも名残惜しい。
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年明けから読み始めてようやく第3巻を読了。ついに、極東国際軍事裁判も佳境。思うことがありすぎてうまく言葉に残せないのだけれど、日本人として、この裁判のことさっぱりわかっていない自分が恥ずかしくなってしまった。ちょっと遅かったけれど、山崎豊子さんが、こういう形で残してくれた物語、き...
年明けから読み始めてようやく第3巻を読了。ついに、極東国際軍事裁判も佳境。思うことがありすぎてうまく言葉に残せないのだけれど、日本人として、この裁判のことさっぱりわかっていない自分が恥ずかしくなってしまった。ちょっと遅かったけれど、山崎豊子さんが、こういう形で残してくれた物語、きちんと手に取ることができてよかった。 さて、いよいよ第4巻。
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