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西南役伝説 の商品レビュー

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2018/11/15

『「目に一丁字なき者たちが生得的にそれを規範として生きていた倫理とはどのようにして生まれたものであったのか。その魅力にみちた人柄の中から、この世の綾を紡ぐ糸のように吐き出されるかたりかけはなにを意味するのか、生得的とはどういうことか。いうまでもなく、どこにでも居たただの一百姓一漁...

『「目に一丁字なき者たちが生得的にそれを規範として生きていた倫理とはどのようにして生まれたものであったのか。その魅力にみちた人柄の中から、この世の綾を紡ぐ糸のように吐き出されるかたりかけはなにを意味するのか、生得的とはどういうことか。いうまでもなく、どこにでも居たただの一百姓一漁師に過ぎない者の一生である。けれどもただの百姓猟師の、ごく普通の人間像が、たとえば須崎文造や有郷きくや梅田ミトを見てもわかるように、なぜに風土の陰影を伴って浮上する劇のように美しいのか、そのような人間たちがこの列島の民族の資質のもっとも深い層をなしていたことは何を意味するのか、そこに出自を持っていたであろう民族の性情は今どこにゆきつつあるのか。その思いは死せる水俣の、ありし徳性への痛恨と重なり続けているのである。そのような者たちが夢見ていたであろうあってしかるべき未来はどこへ行ったのか。あり得べくもない近代への模索をわたしは続けていた。」』 宮本常一の「土佐源氏」に感動した人なら、この中の「六道御前」読んでほしい。 それも是非、声に出して。すばらしい文章とはこういうものだと教えてくれる。

Posted byブクログ

2012/05/19

内容(「BOOK」データベースより) 西南戦争の舞台となった九州の北薩摩、天;天草島私九重などの現地に古老を訪ねた。著者の原点とでもいうべき作品。

Posted byブクログ