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長井健司を覚えていますか の商品レビュー

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2017/08/19

響き渡る銃声。逃げ惑う人々。そして、路上に横たわる彼だけが 残された。ビデオカメラを握った右手を掲げて。 スー・チー女史の軟禁が解かれる以前の2007年9月27日。軍事 政権下のミャンマーで、取材中の日本人ジャーナリストが命を 落とした。 長井健司。テレビの現場からフリーラン...

響き渡る銃声。逃げ惑う人々。そして、路上に横たわる彼だけが 残された。ビデオカメラを握った右手を掲げて。 スー・チー女史の軟禁が解かれる以前の2007年9月27日。軍事 政権下のミャンマーで、取材中の日本人ジャーナリストが命を 落とした。 長井健司。テレビの現場からフリーランスのジャーナリストになり、 アフガニスタンやイラクでも取材活動を続けた人だった。 スクープを放った訳ではない。それでも彼が関わったいくつかの ドキュメンタリーをテレビで見た。そこには弱者に対すると、 とてつもない正義感が漂っていた。 「伝えなければいけないものが、そこにあるから」 危険なことは百も承知している。だが、そこで起っていることを、 事実を伝えなければならない。それがジャーナリストの仕事な のだから。 そうやって、日本人も含め、これまで多くのジャーナリストが 亡くなった。 「『悪いことは悪い』と、俺は棺桶に片足を突っ込むまで言い続け るんだ」 その「悪いこと」のひとつが、ミャンマーの軍事政権による市民へ の弾圧だった。臣民や僧侶たちが参加したデモを撮影中、政権側 の兵士の放った銃弾が彼を襲った。 狙い撃ちだったという。外国人ジャーナリストを狙い撃ちしたとの 証言もある。都合の悪いことを、自国の外へ持ち出されたくない。 だから、彼が銃弾に倒れた時、その手にあったビデオカメラも 返却されていなのだ。そこにはきっと、彼を撃った兵士の姿が 映し出されていたことだろう。 彼らジャーナリストたちが戦地や紛争地から伝える情報は 貴重だ。でも、もう誰も命を散らさずに帰って来て欲しい。

Posted byブクログ

2009/10/04

読みやすさ:★★★☆(3.8) 推奨度:  ★★★★★(5) 好み:   ★★★★★(5) この本読んで、「考えさせられます」なんていう感想はチープ。 覚えていますか? と言われて、率直に「忘れていました」 毎日新聞の一面にのっていた、彼の最期の姿は 記憶の片隅に残ってい...

読みやすさ:★★★☆(3.8) 推奨度:  ★★★★★(5) 好み:   ★★★★★(5) この本読んで、「考えさせられます」なんていう感想はチープ。 覚えていますか? と言われて、率直に「忘れていました」 毎日新聞の一面にのっていた、彼の最期の姿は 記憶の片隅に残っていた。 勇猛果敢な人だと思い込んでいたし、 戦場ジャーナリストなんて「特別な人」だと思い込んでいたけど、 撃たれるにいたるまでの彼の人生は、 決して私たちからかけ離れたサイヤ人みたいな生活ではなくて むしろ、 素朴で純粋で ちょっと子どもっぽくてワガママな 少年みたいなオッサンだったことを感じた。 戦場のリアリティは、 弾丸とびかう戦地の中ではなくて 人々の息づく生活の中にある。 あれだよ。 日本の戦争にしても、空襲なんて戦争の小さな一コマじゃないか。 防空壕ほったり、食べ物なくて着るもの売ったり、 弾丸つくるのに、おばーちゃんが銀歯抜いたり...。 そういう、ちいさな戦争に もっともっと目を向けて、 生活目線で「戦争」を実感しなきゃね。 っていうか、この人の取材はそんな取材だったんだね。 あと、テロだなんだって騒いでるけど テロリストからみたテロってなんでしょうねって目線がかわる。 被害者ぶってる方が、案外加害者かもしれませんよ。 この本と勇午(マンガ)の1巻はイスラーム原理主義について、 本当にきちんと描かれていて 相手を正しく理解することの大事さを痛感する。 人それぞれ感じるものは、色々だと思うけど。 かわいそうとか、感動とか、 そういう余計な修飾はぜんぶ捨てて ありのままに感じてほしい。

Posted byブクログ