壁の本 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
偶然入ったBook Barで、たまたま見つけた本。 こうした出会いは楽しいもの。 また、内容も、街を歩いていて、たまたま出会った、なんの変哲もない「壁」を、写真的技巧は特に用いずに素直に写し取ったもの。だけど、どうにもこうにも目を引いてしまうのは、それこそ、作者の感性に他ならない。 「壁」全体を撮ったものは少ない(いや、ほとんどない)。一部を切り取ったに過ぎないけど、だからこそ、どの部分を、いかに切り取るかはすべて作者の意思だ。 フレーミングが秀逸で、色彩バランスに富んでいて絵画作品のような趣がある。質感の捉え方も巧いなと思ったが、どうりで、テキスタイル作家としての活動歴もあるようだ。見返し(きき、遊び共)にさりげなく布っぽいというか不織布っぽい紙を挟んでいる装丁も作者のセンスなのではなかろうか。 ジャクソン・ポロックの絵のようだと思って見てると、後半に「名画」と題して、数枚の作品が並べて掲示しているページもあり、クレイ壁、ポロック壁、キーファー壁と銘打ってある。だよねー笑 経年劣化も含め、味わいのある壁の表情たち。これから、街歩きの時には、ついついいろんな壁を眺めてしまいそうになるだろうな。
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壁の写真がただただ掲載されているだけなのにどうしてこんなに面白い。 壁という生活に馴染んだものに注目する面白さと、本来壁が持つ個性や人々の存在の跡。 それに加えてこの編集の仕方。遠い場所にある壁同士が妙にシンクロしていて秀逸。
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たしかにおもしろいなと思う壁に時々出会う。 でもこの人のすごいところは、それを徹底的に追い続け、 写真集にするところ。 最近以前に増して壁に注目してしまう自分がいる。
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野ざらしにさらされ、雨とか風とかにもまれてもまれて個性的な味わい深いものがにじみ出てくるんだな。 わたしも社会にもまれまくらなければ、豊かな表情出せませんよ。 朽ちてきてるものなのに、とても上品な芸術です。
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無作為なアート。 明日には形を変えていくかもしれないアート。 生命力さえ感じる。 そんな瞬間を切り取った作品。
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「街中に絵があふれている。」 帯文にそう謳われるとおり、壁写真の画集というべき本。写真のキャプションはそれぞれ、壁の撮影された街名になっている。 著者の言う壁とは、「地球に対して垂直な平面」のこと。 都市のさまざまな垂直平面を踏査して、肉眼でそれを確かめ、テクスチャアに触れ...
「街中に絵があふれている。」 帯文にそう謳われるとおり、壁写真の画集というべき本。写真のキャプションはそれぞれ、壁の撮影された街名になっている。 著者の言う壁とは、「地球に対して垂直な平面」のこと。 都市のさまざまな垂直平面を踏査して、肉眼でそれを確かめ、テクスチャアに触れて、レンズを近づける。眺めては凝視し、覗う。 都会ならではの時間変遷のなか、剥き出しになっていく壁の破綻のあらわれを、珍奇なものとして蒐めて巡るという点では、路上観察学会の精神と何ら変わりないように見える。しかし、壁の痕跡の肌理を、アートとして取り扱うような蛮行の意志は見られない。むしろ、「摩滅の賦」(四方田犬彦)といった滅び朽ちゆくものの、刹那の美を捉えるという感覚に近い。 壁というものが、幾重もの平面の折り畳まれた人工かつ自然の歴史の一部であるということ。先代の平面を覆い隠す当代の平面もまたみずから後代に隠されていくか、そのまま剥き出しのまま綻んで朽ちていく。そうした平面の多層な自然を、単層のテクスチャアとして扱う態度は、おそらく画家にはないものだ。 一枚の写真に収めるという、写真家の歴史を記録したいという意識のほうが勝っているようだ。
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本屋さんで積んであったことで出会った本。 キレイだったりイヤされたり、絵はがきのような写真は イマイチぐっとこない私。 街の壁をひたすら撮った写真が集めてある本。 こーんなのにぐっときてしまう。
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普段から壁とかいろんなところの デザイン性を見つけたりするけど、 こんな風に写真集をだしている人が いるなんてびっくり。おもしろいです。
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ぶち当たるもの。 さえぎるもの。 乗り越えるもの。 だけど、立ち止まって眺めてみると、以外におもしろい表情をしているかもしれない。 そんな「壁」たくさんあります。
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