【廉価版】大江戸医聞 十八文(1) の商品レビュー
町医者・長田徳本は、牛の背に乗って、いつもほろ酔いで「どんな病気でも十八文以上はいただかずに治療する」と触れ回る、奇妙な漢方医。 当然、法外な治療費や薬代で儲けようとする同業者からは目の仇にされ、貧乏人からもまた、「そんなタダみたいな銭しかとらないのは藪だから」と陰口を叩かれるこ...
町医者・長田徳本は、牛の背に乗って、いつもほろ酔いで「どんな病気でも十八文以上はいただかずに治療する」と触れ回る、奇妙な漢方医。 当然、法外な治療費や薬代で儲けようとする同業者からは目の仇にされ、貧乏人からもまた、「そんなタダみたいな銭しかとらないのは藪だから」と陰口を叩かれることも珍しくない。 しかし腕は確かな名医であり、その上元武士の出自を持っており、いざとなれば剣の腕も立つ達人。 血の繋がらない幼い娘・おみのと共に暮らしている。また、夜鷹の「おたか」は事実上の内縁の妻として想い合う関係にあるのだが、自らもまた曰く付きの過去を持つおたかは、時折通って来て世話をし、抱かれる以上の関係に進む事を頑なに拒む。 様々な影や事情を抱えた人々と触れ合い、医術で治せる体の病や傷、治せない心の傷を描く、一話完結のドラマ。 身も蓋もなく言ってしまえば、「江戸時代を舞台にした逆ブラックジャック」的なストーリー。 平均点は軽くクリアしているのだが、おみのの存在や話し方がどうしてもピノコと被ってしまい、ついついブラックジャックと比べてしまいがちになる。 また、「佐武と市」「さんだらぼっち」などの江戸もの傑作と比べると、ややありきたりな感じは否めないかもしれない。でもこれはこれで、十分に読ませますよ。 江戸時代において、医師とはどういう社会的な位置づけにあったのか、などの蘊蓄も丁寧に描写されており、勉強になります。
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