GIRL の商品レビュー
Mariko Tamaki Jillian Tamaki 、訳: 谷下 孝 『GIRL(ガール)(2009)』を読んでみた。 淡い・儚い青春でした・・・
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某Tumblr方面で、Jillian Tamakiというイラストレーターを見つけて大変気に入った。なにか画集のようなものが出ていないかと探したところ、この本に行き当たる。 作家(のインタビューとか生活ぶり拝見とか)を特集した、こういうタイトルの雑誌かムック本だと思ってポチしたん...
某Tumblr方面で、Jillian Tamakiというイラストレーターを見つけて大変気に入った。なにか画集のようなものが出ていないかと探したところ、この本に行き当たる。 作家(のインタビューとか生活ぶり拝見とか)を特集した、こういうタイトルの雑誌かムック本だと思ってポチしたんだけど、いざ届いてみたら、B6版のコミックスだったので仰天したという次第(笑)。 GIRLというタイトルそのまま、ティーンエイジ女子たちの心の移ろいを写し取った作品である。 男はほとんど出てこないし(女子高が舞台だから)、きれいな顔の登場人物は一人も出てこない。舞台はトロントで、日本のマンガとはだいぶ趣が違う(むかし読んだポール・オースター原作のコミック「City of Glass」…バットマンのDavid Mazzucchelliが描いた…を彷彿とさせる)。けど、テンポは絶妙でなにより不細工な登場人物たちが徐々にかわいらしく、いとおしく見えてくる絵が素晴らしい。 また、文化習慣は違っても、女子高生の生態は(普遍的に)こんなものだろうと思わせるものがある。真剣でふざけていて、一途で散漫で、いい子でワルで、賢くてバカ。高校時代に起こりがちな事件とともに、そんな心や存在のゆらぎが鮮やかな筆致で表現されている。 作家(絵はJillian Tamaki、スクリプトはMariko Tamaki)はカナダ出身の日系三世の従姉妹同士。買う時に期待したものとはまったく違ったけど、面白いものに出合って満足。
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カナダ出身の従姉妹同士で描かれたコミックである。誰一人として美少女が出てくるわけではない。それが故、16歳という思春期のピュアな残酷さが胸を刺す。主人公スキム自身も周りも問題だらけであり、最初は魔術の空想世界に逃げ込んでいる。しかし自然と成長してしまうことがありのままに描かれてい...
カナダ出身の従姉妹同士で描かれたコミックである。誰一人として美少女が出てくるわけではない。それが故、16歳という思春期のピュアな残酷さが胸を刺す。主人公スキム自身も周りも問題だらけであり、最初は魔術の空想世界に逃げ込んでいる。しかし自然と成長してしまうことがありのままに描かれているので、思わずスキムに自分軸を重ねてしまう。それってストーリーに魅了されたってことだ。
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魔女に憧れる女子高生キムの息苦しい毎日を描いた漫画。 10代の少女に訪れる苛立ちや友情の決裂。全編を通して黒い色調が目立ち、陰鬱でイケてなくてドラマチックでもないつまらない日常の連続で起きるささやかな心の変化が写実的過ぎて、読んでいるコチラにとっても息苦しい。 作者が日系カナダ人...
魔女に憧れる女子高生キムの息苦しい毎日を描いた漫画。 10代の少女に訪れる苛立ちや友情の決裂。全編を通して黒い色調が目立ち、陰鬱でイケてなくてドラマチックでもないつまらない日常の連続で起きるささやかな心の変化が写実的過ぎて、読んでいるコチラにとっても息苦しい。 作者が日系カナダ人であり、日本の漫画の心理描写とアメコミの技法が融合しているのが面白い。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
マンガ版『ライ麦畑でつかまえて』という触れ込みだったので、ずっと興味がありました。 この度、手に入れることができ、あっという間に読み終えました。 アメリカの最も権威あるコミック賞であるイグナッツ賞、カナダのタグ・ライト賞のベストブック、ニューヨークタイムズで最も注目すべき本の一冊にに選ばれた作品です。 Jillian Tamakiというカナダ生まれ・NY在住のイラストレーターと、Mariko Tamakiというカナダ在住の日系3世にして小説家・女優・劇作家が共作しています。 このお二人は従姉妹関係にあたり、お互いの10代の思い出や体験を語り合いながらひとつの作品にしていったそうです。 High SchoolにおけるTeeneigerの心の機微がこんなにも、切なく、リアルに描かれているなんて…! 恋愛や友情・人の生死や思考というものに形を付与しようとして、思い通りにゴールに辿りつけず、感情のやりどころがなく、もがき続ける少女たちの痛々しい様子が胸を打ちます。 少なからず、私にもこういう経験があった、と誰もが思うのではないでしょうか。 学校という、特殊でごくごく小さなコミュニティーに属し、社会の切り取られた一部分しか見えていない彼女たちには、そこから抜け出したいというのと、属して役割を演じることで安心を得ていたいというアンビバレンスな感情があります。青くて苦々しい。 そして、その場所で(ある限定的な価値観の下に)勝者となる者、敗者となる者の存在。 主人公のキムは太っていることを皮肉って「SKIM(低脂肪)」と揶揄され、諦念を伴いながらも自分なりに透明な目で世界を見ている。 カナダでも日本でも、世界は違えども、Teeneigerの悲しみや喜びは変わらないものなのかもしれないと感じました。 本当におすすめです。
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