「データで読む」英語教育の常識。 の商品レビュー
英語教育に関わる様々なデータを紹介しながら、今後の研究や指導の参考とするもの。データの内容は「日本の学校で英語を履修する人はどのくらいいるか」といった、教育の環境を調査したもの、「日本人のTOEFL受験者の総得点(平均値)から何がみえるか」といった日本人英語の特質に関するもの、...
英語教育に関わる様々なデータを紹介しながら、今後の研究や指導の参考とするもの。データの内容は「日本の学校で英語を履修する人はどのくらいいるか」といった、教育の環境を調査したもの、「日本人のTOEFL受験者の総得点(平均値)から何がみえるか」といった日本人英語の特質に関するもの、「みておぼえるほうが聞いておぼえるより効果的か」、「(クローズテストで)選択肢をつけるとどうなるか」など語彙や文法、4技能の指導や評価に関するもの、「コミュニケーション活動は文法の習得にも有効か」など第二言語習得に関するものなど、テーマは多岐に渡る。 興味深いデータが幾つも提示されているが、中でも「文法規則の説明と例文はどちらを先にするか」(pp.46-7)、「フォーカス・オン・フォームの指導技術と指導理念」(p.54)、リスニングにおいて「スピードとポーズはどちらがより影響するか」(pp.69-70)、「読めるとは何ができることか」(p.99)、「読みの認知プロセスはどのようなものか」(pp.106-7)あたりが面白かった。 どのデータも今後の指導のヒントにはなるが、「これが良い、これが悪い」ということを述べるものではないので、このデータをもとに試行錯誤していくことが必要である。というか、こういう視点があるのか、という考えの幅を広げるもので、英語教育の論文を書く時には、テーマの設定や先行研究のまとめに役立つものになると思う。そんなことよりも、もう少しおれが統計についてしっかり勉強しとけば良かった、という本だった。(14/11/02)
Posted by
- 1