落ちこぼれ、バンザイ! の商品レビュー
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p3 知恵は理屈が嫌いである。マンガの言葉は詩に近い。 p8 日本語訳は、はじめは鶴書房から刊行されて、それからすばる書房になったんですが、この「ピーナッツ」を出版すると、なぜか出版社がつぶれていくんですね(笑)。 p46 「君は、トルストイの妻が、あの長い『戦争と平和』を、夫のために清書したことを知っているかい? それも手書きで七回半もなんだ」。あの『戦争と平和』を手書きで七回半、妻が清書したそうなんです。そこでいったん言葉が途切れたあと、「あとになって、トルストイは、そのんな妻を離婚してしまうんだ」って言うんですよね。 p47 それで、ぼくに向かってまず第一にした質問が、「あなたは広島、長崎に原爆が落ちたとき、どこにいたか」ということでした。 p247 「ピーナッツ」のマンガの登場人物たちは、たがいに誰かに愛されているという感じがしますよね。それが、このマンガの雰囲気をよくしている理由の一つなんでしょうね。 p258 でも知的であることでだめになるというのは、いきいきとした深い感情がもてなくなることだってことに、気づきはじめている人たちもいると思います。つまり、昔ほど、オピニオンリーダーとか、いわゆる識者の意見とかいうものが、マスメディアでも重視されなくなってきてますよね。 読了。 1,2章は講演会の対談の記録で、3章目は谷川さんの稿でした。序文にも書かれていましたが、日米の比較がくどいくらいに出てきます。面白いのですが、作者や登場人物にフォーカスした形の方が面白い気がしました。出版すると潰れる出版社の話とかシュルツ本人のお話の方が普通に面白いという。 全然ピーナッツに触れてこなかったので、一種のセラピー的な読み方がされていること、あとは遊びで性格診断をしたりするのもあるというくらいの知識。自分はライナー、あの子はルーシー、取り合いになるウッドストック、というような具合です。 みんなどこか欠けている、悩みを持っている、手放せないでいる、あるいは手放してもなお悩んでいる。たがいに誰かに愛されている、というのは端的に作品の本質を言い当てた言葉のようで拍手。 あと思うに、この作品の翻訳は本当に大変だったろうな、というのを心象心理や英文も読みながら見ると面白かったです。
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河合隼雄さんと谷川俊太郎さんという組み合わせに惹かれて買ったけど、スヌーピーやシュワルツさんを心理学的に解説するとどうなるのかとか、違った角度から見れるような工夫がされていて面白かった。
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スヌーピーは、かわいくて昔から好きなキャラクターだけど、ストーリーが大人にもメッセージを与えてくれる奥深いものだったのですね。落ち込んだとき、深刻にならずにこれでいいんだと思わせてくれる本だと思います。個性的な自分は人と違ってていいとも。
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河合隼雄氏の名前にひかれて買った本だったが、心理学と漫画のスヌーピーが一つの本にまとまっているのが面白い。堅苦しくなく、人間だれでもこんな悲哀を感じる時があるよね、というような共感を呼び起こすエピソードが解説されている。 子どもの頃読んだスヌーピーは意味がピンとこない話も多かった...
河合隼雄氏の名前にひかれて買った本だったが、心理学と漫画のスヌーピーが一つの本にまとまっているのが面白い。堅苦しくなく、人間だれでもこんな悲哀を感じる時があるよね、というような共感を呼び起こすエピソードが解説されている。 子どもの頃読んだスヌーピーは意味がピンとこない話も多かったように思うが、子どもよりもむしろ大人向けの作品だったと思うと納得。大人になった今読んでみたいと思った。
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「シュルツさんは、時代に敏感に反応しているんだけれど、その時代の移り変わりの底にある人間の不変の性質みたいなものを、ちゃんととらえている人ですね。そこのところに、自分の生きる基礎みたいなものを置いている人だと思う。だから、いつまでも古くならないんじゃないのかなぁ……。」 谷川俊...
「シュルツさんは、時代に敏感に反応しているんだけれど、その時代の移り変わりの底にある人間の不変の性質みたいなものを、ちゃんととらえている人ですね。そこのところに、自分の生きる基礎みたいなものを置いている人だと思う。だから、いつまでも古くならないんじゃないのかなぁ……。」 谷川俊太郎さん&河合隼雄さんという、なんとも素敵な好々爺たちの対談+谷川さんの詩だとか、説明だとか。 とても癒されたし、本当にSNOOPYは上で谷川さんが指摘しているように人の変わらない部分を的確に示しているのだと心から思うのでした! そこがまた、、素敵なんだよねぇ。。。 好みです。 もっともっと、スヌーピーについて語る二人のはなしを聞いていたかったなぁ、なんて思ったりもする1冊でした。 良かったです。 【6/14読了・初読・市立図書館】
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谷川さんのあとがきにジーンときた。 河合隼雄さんとシュルツさんは私たちの知らないどこかで、談笑して楽しんでいるかもしれない。 こんなにもスヌーピーが深いものだとは知らなかった。 口が悪くても悲しみが分かるルーシーが好き。 また、身体は埃だらけだけど心は誇りで満たされている...
谷川さんのあとがきにジーンときた。 河合隼雄さんとシュルツさんは私たちの知らないどこかで、談笑して楽しんでいるかもしれない。 こんなにもスヌーピーが深いものだとは知らなかった。 口が悪くても悲しみが分かるルーシーが好き。 また、身体は埃だらけだけど心は誇りで満たされているビック・ベンが気になる。“みんな毎日少しずつ大きくなっていくから怖いんだ…”というピーターパン願望の台詞に共感してしまう。
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心理学者の河合隼雄先生と詩人の谷川俊太郎さんが、 「ピーナッツ」こと「スヌーピー」の 愛すべきキャラクター達の思考法や 生き方について語り合った対談集。 河合先生が、アメリカ人と日本人の「考え方の違い」を 解説してくれているページもあり、 ちょっとした日米精神比較論になっている...
心理学者の河合隼雄先生と詩人の谷川俊太郎さんが、 「ピーナッツ」こと「スヌーピー」の 愛すべきキャラクター達の思考法や 生き方について語り合った対談集。 河合先生が、アメリカ人と日本人の「考え方の違い」を 解説してくれているページもあり、 ちょっとした日米精神比較論になっている。 長年培ってきた精神文化も違うし、 現在における感覚も、 やはり違いが大きいと思う日本とアメリカ。 共通項がなかなか見出せない両国ではあるが、 その両国の多くの人達に 長年にわたり愛されてきた「ピーナッツ」。 チャーリーブラウンに妹のサリー。 ルーシーら友人達にはたまた犬のスヌーピーが、 4コマの枠の中で動き回り、おしゃべりをして、 時にケンカし、時に悩み、 そして独自の哲学を展開する。 そんな彼らに共感を抱く私達読者は、 身を置く世界は違えども、 心痛めたり、知りたい真実は同じなのだろう。
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