怠惰への讃歌 の商品レビュー
1日8時間どころか10時間以上労働している私にとってはうんうんと理想的な考えに頷きつつ、現実はこの本が書かれてから50年以上経った今でも変わらない(持てるものは資産が増え続け、持たざるものは働き続けるしかない構造が鮮明になった)のだなあと少しやるせなさは感じた。
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※このレビューにはネタバレを含みます
ティム・フェリス『俺の生存戦略』で言及 ・1日4時間の労働で、生活の必需品と生活を快適にするものを得るには十分 ・余暇ができたときには、人々は疲れていないから、職業に使わない時間を公共的に意味のある研究に注ぎ込むことができる。 ・その研究は人々の生活に必需のものではないので、邪魔をされない。
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15篇のエッセイが載っているが、書名にもなっている1章の「怠惰への讃歌」が胸に刺さる。 テクノロジーの発展で生産性が上がっているのに、労働時間は減らない。 「労働は美徳」という価値観が人間たちを暇にさせない。 1日のほとんどを仕事に費やし、残りはそれの回復に費やすような人生には...
15篇のエッセイが載っているが、書名にもなっている1章の「怠惰への讃歌」が胸に刺さる。 テクノロジーの発展で生産性が上がっているのに、労働時間は減らない。 「労働は美徳」という価値観が人間たちを暇にさせない。 1日のほとんどを仕事に費やし、残りはそれの回復に費やすような人生にはしたくない。 学校や教育機関、親からの教育では「従順であること」・「受動的や集団的であること」を良いことと刷り込まれる。 それが勤労の道徳=奴隷の道徳を増殖させている。 みんな忙しい、みんな暇がない、みんなが買っているから自分も買う、そんな空気を読んで一本調子の現代になっていく。 「もっと生産!もっと消費!」をやめたいと強く感じる本だった。
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1930年代に書かれたイギリスの哲学者ラッセルの社会批評的エッセイ。 ・仕事そのものは立派なものだという信念が、多くの害悪をこの世にもたらしている ・幸福と繁栄に到る道は、組織的に仕事を減らしていくにある ひまの分配。ひまを上手く使うとは。 もはや感動した。
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いかにも英国らしいシニカルなユーモアのあるエッセー集。 生産効率の上がった現代では1日4時間労働にして閑暇を人生のために使うべきという表題作は、現代のワークシェアリング論の祖形ともいえるが、働く根本の意味を閑暇を得るためとする根本的な議論である。 貨幣への過度の崇拝(現代版マ...
いかにも英国らしいシニカルなユーモアのあるエッセー集。 生産効率の上がった現代では1日4時間労働にして閑暇を人生のために使うべきという表題作は、現代のワークシェアリング論の祖形ともいえるが、働く根本の意味を閑暇を得るためとする根本的な議論である。 貨幣への過度の崇拝(現代版マイダス王)への批判も、いわゆる資本原理主義批判に通ずる部分はあるが、情緒ではなく論理によっている。 ファシズム、共産主義といった「極論」への批判は全く同感。社会計画に重きを置いているのは古臭いが、市場メカニズムへの理解は、適切な規制方法も含めてこの時代より格段に進んだと言うべきであろう。 アメリカの標準化、画一化を皮肉りつつも、ある程度共感しているのはおもしろい。
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> 歴史的に見ても、地主たちが快適な怠惰を求めたことが労働賛美の源泉でもあるのだ。彼らは絶対に、他の人々も自分たちと同じように振舞うことを望まない。 世の中の価値観は、権力者たちによって作られている。 昔も今も、それは変わらない。 いま、ただ勤勉に働くこと以上に、クリ...
> 歴史的に見ても、地主たちが快適な怠惰を求めたことが労働賛美の源泉でもあるのだ。彼らは絶対に、他の人々も自分たちと同じように振舞うことを望まない。 世の中の価値観は、権力者たちによって作られている。 昔も今も、それは変わらない。 いま、ただ勤勉に働くこと以上に、クリエイティブに働くことが賛美されているけど、新世代のネットビジネスを支配している人達がそれを望んでいるのかもしれない。 社会的背景はさておき、クリエイティビティの本質は、他人の評価に惑わされず、自分自身で価値を見出すことにある。その価値が何なのかを考え、それを求めて実際に行動してみる余裕を持つことが、この本がいうところの「怠惰」を意味していると思う。 真面目に実践すると、その「怠惰」は決して楽ではなく、むしろ予測できない苦難に遭うかもしれないけど、それを恐れて無難に生きようとする弱い心が、まさに支配者の搾取を許す元凶のようだ。ちゃんと「怠惰」するには強い意志がいる。
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「あんまり働かなくても幸せに暮らせる」社会を目指そうというラッセルの理想は素敵だ。技術が発展し、経済的に豊かになっても、まだ不安が伴う社会はおかしい。 なぜ政治家たちは右も左も「働け、働け、死ぬまで働け」と号令をかけるのか。 人口が減るから、働かなければならないのか。 働くことも...
「あんまり働かなくても幸せに暮らせる」社会を目指そうというラッセルの理想は素敵だ。技術が発展し、経済的に豊かになっても、まだ不安が伴う社会はおかしい。 なぜ政治家たちは右も左も「働け、働け、死ぬまで働け」と号令をかけるのか。 人口が減るから、働かなければならないのか。 働くことも含めて「やりたいことができる、やりたいことがなければ、何もしなくても、普通に『文化的な暮らしが』(決して『最低限の』ではない)社会を目指したい。表題作も含めたラッセルのとぼけたユートピア論をimagineしましょう。 巻末の塩野谷祐一先生の解説も素晴らしい。
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生産に重きを置きすぎて狂ってしまった現代を見事に指摘している。 これが1930年前後に書かれたものには思えない。 もちろん現代から見ると妙なことも書いてあるが、そこはご愛敬。 新しい解説のほうはよくまとまっていてよかった
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141101 中央図書館 ラッセルといえば入試英語であった時代は、とうに過ぎた。この本におさめられたエッセイも、WW2前に書かれた相当に古いもの。その時代のイギリスの良識を体現する頭脳が、共産主義とファシストが世界を荒らしつつある様子を見つめている。そして、穏健な社会主義的考え方...
141101 中央図書館 ラッセルといえば入試英語であった時代は、とうに過ぎた。この本におさめられたエッセイも、WW2前に書かれた相当に古いもの。その時代のイギリスの良識を体現する頭脳が、共産主義とファシストが世界を荒らしつつある様子を見つめている。そして、穏健な社会主義的考え方をベースに世界を見つめ直す思索を、正確で輪郭のはっきりした平易な言葉で語る。乱暴で性急なもの、思考より先に試行錯誤の行動という20世紀型の社会原理にほのかな嫌悪感をいだく様子が見て取れる。 ラッセルはケインズとも交友があったという。社会をとらえる見方に共通するものがあるだろう。
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「怠惰への賛歌」というと聞こえは悪いが要するに「ゆとりのススメ」であり、「もっとヒマになれ!」との事らしい。労働を徳とみなすのが現代社会の害悪であり、幸福と繁栄への道は労働時間を組織的に減らす事。そのためにワークシェアリングによる4時間労働を推奨している。そして、生存を保障する水...
「怠惰への賛歌」というと聞こえは悪いが要するに「ゆとりのススメ」であり、「もっとヒマになれ!」との事らしい。労働を徳とみなすのが現代社会の害悪であり、幸福と繁栄への道は労働時間を組織的に減らす事。そのためにワークシェアリングによる4時間労働を推奨している。そして、生存を保障する水準を十分に超えている場合はその所得の余剰をヒマに配分する必要あると。で、問われるのがヒマになって何をするのか?だが、それは文明と教育に依存するらしい。よって、ヒマに耐えられないという人は文明も教育もないという事だろう。 解説にある、学校(school)の語源がギリシャ語のヒマであるという事には驚いた。だから、学校とは労働の技術を学ぶところではなく、ヒマのあり方を学ぶところらしい。よって、ビジネス・スクール(忙しい・ヒマ)の撞着語法はブラックユーモアであるには笑った。 本書はエッセイ集なので表題以外のも数多くあるのだが、ちょっと古臭くて現代には合わないと思われるものも結構あるのが難点。
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