愛のあとにくるもの の商品レビュー
(11.05.08) 辻仁成の作品が好きでたまらない… どうしてだろうと、ずっと思ってきたが、今回この作品を読み終わって分かったことがあった。 それは、辻仁成の多くの作品の共通点である『運命』的な部分に、堪らなく惹かれているのだと言うことだ。 作品の舞台は韓国のソウル。作...
(11.05.08) 辻仁成の作品が好きでたまらない… どうしてだろうと、ずっと思ってきたが、今回この作品を読み終わって分かったことがあった。 それは、辻仁成の多くの作品の共通点である『運命』的な部分に、堪らなく惹かれているのだと言うことだ。 作品の舞台は韓国のソウル。作家となった潤吾は、仕事のために訪れた韓国で、7年間想い続けた女性、紅と運命的な出会いを果たす。 昔の恋人であり、今は編集担当者として自分を支えてくれているカンナからの求婚をも振り切り、長年抱えてきた想いをぶつけるべく、無口な潤吾がついに立ち上がる。 終わり方も、これ以上ない程の素晴らしさ。現実では有り得ない美しさに、胸を打たれ、温かい気持ちになれた。 国と国との問題を乗り越えようとする二人の気持ちの強さやひたむきさ、辛抱強さが描かれている。 早く紅目線の方も読みたい! 尹東柱の詩集も一緒に注文してしまった!!!
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「別れのあと、互いに連絡をとらずに7年が過ぎた、日韓カップル」 この設定で、確実に4点以上の名作! と思いきや、ちょっとがっかり。 なんか盛り上がりにかけたな。 孔 枝泳著のパートよりは、辻 仁成 著の文体の方が好き。
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あなたは変わらない愛って信じますか? 変わらない愛。それはきっとどこかにあると思う。 そんな風にして主人公の潤吾と紅は知り合った。 国境を越えた恋愛。 それは国際恋愛と一般的には言われるけど、そんな容易いものではない 国籍、...
あなたは変わらない愛って信じますか? 変わらない愛。それはきっとどこかにあると思う。 そんな風にして主人公の潤吾と紅は知り合った。 国境を越えた恋愛。 それは国際恋愛と一般的には言われるけど、そんな容易いものではない 国籍、文化、歴史、環境、言葉を乗り越えて結ばれる愛。 主人公である潤吾は当時付き合っていた小林アンナに降られ、酷く落ち込んでいた。 しかし、そんな状況下で出会う韓国からの留学生、雀紅のひたむきさに心を惹かれ、恋人関係になる。 2人は文化や国籍の違いは問題外だと相手にしなかった。愛の力さえあれば、いかなる困難も乗り越えられるはず・・・と話し合っていた。 所属する民族が異なるというだけで、2人は同じ人間であり、明らかに男と女であり、同じように泣いたり、笑ったり怒ったりするのだからどこも違うところはないと強く確信していた。 元をたどれば、同じモンゴロイドであり、同じ類人猿であり、それらは同じ母なる海から生まれた双子なのだと・・・。 しかしそれでも2人にはついに別れがやってくる。 潤吾はどちらかというと苦学生でアルバイトをいくつも掛け持ちしながら、日々を送っていた。 逆に紅は裕福な家庭に生まれ、仕送りで生活をするお嬢様気質の留学生だったので・・・もちろん2人には時間のスレ違いが多発していた。 潤吾が深夜過ぎにアルバイトから帰ると、暗い部屋の隅に紅がいて寂しくて泣いている事が多かった。 紅は潤吾の3つ下の年齢。紅にとって日本は外国であり、もともとあった寂しさや不安は潤吾に1人ぼっちにされる事でどんどん蓄積していってしまった。 ついに紅はいう。 「私を一人ぼっちにして・・・ごめんって一言謝ればいいじゃない。」 潤吾も仕方なかった。 どうしても抜けられないバイトだった。 しかし潤吾は謝らず、頑なに言い返す。 「僕は一生懸命働いてきたんだ。遊んできた訳じゃない」 しかし紅は「悪かった、すまなかったって、君を孤独にさせたってなぜ一言言ってくれないのよ。謝ったからって、誰も罰なんか与えない。あなたたち日本人は、なんでそんな一言が言えないの?」と・・・。 そして紅はその直後黙って、祖国に帰ってしまう。 頭を冷やした主人公は紅の気持ちを考えられなかったことを反省し、謝ろうとするが彼女はもういなかった。 そしてひどく後悔するようになり、その想いをため、紅の面影を求めるように、紅に気持ちを伝えるために小説を書く。 「日本の友人、韓国の友人」が本のタイトルである。 あくまで小説だが内容は潤吾と紅の思い出がつめられたモノであった。 潤吾はこの本が韓国でも出版され、紅の手元に届く事を願う。 そして7年後、ついに韓国での出版が決まり、出版披露会に出席するため韓国に赴く。 韓国に到着すると、そこには思いもよらない偶然にも夢にまで見たあの人との再会が待ち受けていた・・・。 主人公は再会した彼女に溜め込んだ想いを告げ、誤解を解き、和解できるのか・・・。 人の気持ちを理解するにはその人と同じ立場に立ってみることが大事 人間というのは相手の事を理解しているようで実は全く理解していない場合が多い。 自分勝手に相手の気持ちを捏造しているのが不通なのである。 理解するためには・・・誤解を解くためには長い時間をかけて相手の立場にたち、理解する努力をすること。。 紅を想い、7年かけて主人公が積み上げてきたこと。 紅があの時代、どんな気持ちで生きていたか知るためにし続けてきたこと。 「伝えようとする愛」をこの本から溢れる程、感じました。 韓国の女流作家、孔枝泳とコラボレーションした作品。 最後はほろ苦いラストで、目頭が熱くなりました 彼女が書いた紅の追憶編は必須です。 嫉妬や恨みを忘れて・・・相手の幸福を祈ることが出来たら、この世界から憎しみや争いはなくなり平和になる・・・ 自分が悲惨な立場に追い込まれても、この気持ちを忘れないでいたいです
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うーん。辻さんだなぁって感じだった。 辻さんの本ってなんとなく主人公が全員同じ人のように思える。 どの主人公も、同じ想いを抱えているような。
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とにかく未練たらしく感じてしまった。私が女だから? 初めて恋愛をして、その人のことがとても忘れられなかった人ならだれでも思う感情のような気もする。 別れてしまった恋人と韓国で再会をしながら、過去の回想が入ってくる流れも、今の状況がわかりにくい。 結局愛のあとにくるものは何だったの...
とにかく未練たらしく感じてしまった。私が女だから? 初めて恋愛をして、その人のことがとても忘れられなかった人ならだれでも思う感情のような気もする。 別れてしまった恋人と韓国で再会をしながら、過去の回想が入ってくる流れも、今の状況がわかりにくい。 結局愛のあとにくるものは何だったのか?若かったからお互いが悪かったの?あまり気持ちを揺さぶられない作品だった。 唯一好きなところはと考えると、佐伯しづ子の「あなたたちはまだ若い―」の言葉が力強くて良かったかな。。。
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最後の数ページで二人の間のわだかまりがスッと消えたのが少し安易に感じられた。 でもその一方で、一度失ったもの(特に自分から手を離したもの)は 二度と取り戻せない場合があるということが、紅と潤吾からではなく、 カンナの姿から伝わってきた。 一番共感した部分は、「深刻というものはさ...
最後の数ページで二人の間のわだかまりがスッと消えたのが少し安易に感じられた。 でもその一方で、一度失ったもの(特に自分から手を離したもの)は 二度と取り戻せない場合があるということが、紅と潤吾からではなく、 カンナの姿から伝わってきた。 一番共感した部分は、「深刻というものはささやかな出来事の積み重ねの上、 幾つもの誤解の上、何気なく発した言葉の歪の上で、生じるものである」という部分。 あまりにも些細なことで、ついつい見逃してしまい、 そしていつの間にかそれが積み重なっていき、気づいたときにはもう手遅れで、 そこからどんなに修復しようとしても、もう取り返しがつかない。 本当にそんなものだよな、と思う。 最初はお互いのためを想っていたはずなのに、 いつの間にか自分のことでいっぱいいっぱいになってしまって、 失くしてはじめて相手を思いやる気持ちを失っていたことに気づくというか。 そして過ぎてしまえば、すれ違っていたことどれもが大したことではないということにも気づき、 自分の不甲斐なさを嫌なくらいに思い知るもの。 「多くは望まない。ただ自分を理解してくれるだけでいい」 ずっとそういう思いできたけれど、いろんな経験を経た今は、 実はそれが一番難しいこと、そして尚且つ自己本位な希望であるということを知った。 やっぱり、お互いに相手を思いやって、常に誠実でいることが大切なんだろうな。
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